D2Cは、商品の企画から販売までを自社で一貫して行うビジネスモデルであり、ECサイトにおいて、消費者に直接販売を行います。
現在は、実店舗を持つブランドも増えてきていますが、その場合でも、基本的には販売はECサイトです。
ブランドの世界観やストーリーを重要視するため、ECサイトにもそれらを反映させるのが一般的となっていますが、実は、それよりも重要なことがあり、それが、UXデザインなのです。
そこで今回の記事では、D2CビジネスにおけるUXデザインの重要性について説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
UXとは、ユーザーエクスペリエンスの略称で、ユーザー(消費者)が、製品やサービスを通して得ることができる体験を意味しており、UXデザインは、その体験を設計することです。
現代は、モノが溢れ、その品質も向上しており、従来のように製品の機能や見た目だけでは、競合との差別化を図ることが難しくなっています。
そこで、求められるようになったのが、製品やサービスそのものではなく、それらから得られる体験、つまりUXなのです。
そして、企業はユーザーにより良い体験を提供するために、UXデザインに注力するようになったのです。
UXは、先ほども述べたように、ユーザーが、製品やサービスを通して得ることができる体験のことです。
この体験には、ユーザーがブランドや製品、サービスを認知し、それを購入、使用した後にまた購入したい、良いサービスだったと言った感想を持つまでの一連の過程、すべてが含まれています。
そのため、UXデザインでは、製品やサービスを通じたユーザーの体験のすべてをより良いモノにする必要があるのです。
そして、そのより良い体験を提供するためには、ユーザーの心理を深く理解することが大切なのです。
ユーザーがブランドや製品、サービスを認知し、購入するためには、ECサイトを訪れ、そこで商品を購入する必要があります。
しかし、多くのユーザーはECサイトをを訪れた時点では、購入するかどうか決断をしているわけでは無いのです。
そのため、どんなに小さな問題であっても、何か問題が起こった場合、ユーザーは、簡単にそのサイトを離脱してしまいます。
例えば、ECサイトが使いにくい、購入方法が分かりにくい、商品が見にくい、個人情報を登録するのが不安と言ったことで、ユーザーは購入を諦めてしまうのです。
そして、このような問題は、当然、ユーザーにとって良い体験とはなりません。
ECサイトを利用するユーザーにとって良い体験とは、まず、ストレスを感じないこと、つまり、分かりやすい、使いやすい、見やすい、安全であることなのです。
ユーザーは、これらが満たされていれば、ストレスを感じることなくサイトを利用することができます。
ストレスを感じずに、スムーズに、そのECサイトでの目的を達成することが、ユーザーにとっての良質な体験となるのです。
そして、このように良い体験をすることができれば、それが結果として、エンゲージメントに繋がっていくのです。
ただし、D2Cブランドでは、ECサイトで商品を売ることだけを目的としているわけではありません。
ブランドの世界観を反映させ、ブランドの理念やストーリーをユーザーに伝えていくと言う目的があります。
この目的を果たすためには、文字コンテンツを掲載する必要がありますが、これにも分かりやすさが求められるのです。
この分かりやすさとは、頭を使わなくても、誰にでも容易く理解できることであり、堅苦しい表現や難しい表現などは避けなくてはなりません。
また、人間の脳は、物語形式にするほうが、情報を処理しやすくなると言われています。
そのため、ユーザーにストレスを与えることなく、理念やストーリを受け入れてもらうには、ユーザが読んで面白いと思うような物語を作り出すことが重要となるのです。
実際に、ユーザーから支持の高いD2Cブランドのサイトには、分かりやすく魅力的なストーリーが掲載されており、難しい内容のコンテンツは存在していません。
多くの人に伝えるためには、誰にでも理解できる、簡単で分かりやすい物語を作り出すことが必要なのです。
現代の消費者は、モノを購入し、所有することを好まなくなっており、積極的に消費活動を行わなくなっていると言われています。
そして、このような消費者が重きを置くようになっているのが、商品やサービスを通して得ることができる体験です。
この体験にこそ価値があり、より良い体験ができることを求めているのです。
企業やブランドは、その消費者の変化に応える必要があり、そのために、UXへの関心が高まっているのです。
D2Cブランドにおいても、これは同様であり、他のブランドとの差別化を図るためには、商品やサービスそのものだけではなく、どれだけ良い体験を提供するかどうかが重要となっているのです。