現代はモノが売れない時代になっていると言われ、従来のように、商品は購入し所有するものという概念も薄くなってきています。
そのような状況の中で、注目されているのがサブスクリプションサービスであり、中でも、最近人気が高まっているのがアパレル系のサブスクリプションです。
このサービスは、洋服をレンタルすると言う、今までにないサービスが売りとなっており、若い女性を中心に支持されています。
そこで今回の記事では、アパレル系サブスクリプションの人気の理由について説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
サブスクリプションは、代金を支払うことで、商品やサービスを一定の期間利用する権利を得ることのできるサービスであり、現在大流行しています。
このサービスは、ソフトウェアや音楽配信、動画配信などから注目され始めたサービスですが、あらゆる分野に進出しています。
このサブスクリプションがここまで注目を集めているのは、サービスを提供する側にとって魅力的なメリットがあるからです。
サブスクリプションは基本的に長期的な継続利用が前提となります。
そのため、解約されない限り顧客は料金を払い続けることとなり、安定した収益が期待できるのです。
また、従来の売り切り型よりも、商品やサービスの価格が下がるため、新規顧客の獲得が容易となります。
このような理由から、サブスクリプションビジネスは儲かると認識されており、ビジネスに参入する会社が後を絶たないのです。
しかし、このサブスクリプションは、ビジネスにおいては大流行していますが、消費者の間で流行しているのかと言うと、少し温度差があるようです。
サブスクリプションの代表的なサービスである音楽配信や動画配信は、ある程度認識されていますが、そのほかのサービスは大流行と言うほど、幅広く認識されていません。
新しいものに敏感な若年層や女性の間では注目されていますが、他の年代では、どのサービスがサブスクリプションなのか分からないという声も多いのです。
このようなことから、現在のサブスクリプション市場は、参入する会社は増加していますが、成功している会社はそれほど多くないのです。
安易に参入したため、収益を上げられず早期に撤退するというケースも増加しているのです。
このようなサブスクリプションの状況の中で健闘しているのが、若い女性を中心に人気を集めているアパレル系のサブスクリプションです。
その中でも特に支持されているのが国内外で30種以上のブランドを展開している企業が提供する「メチャカリ」と言うサービスです。
このサービスは、月に5.800円の料金を支払うことで、自社ブランドを含むおよそ50ブランドのファッションアイテムを何度でも借りることのできるサービスです。
2015年にサービスを開始し、2019年に会員数が13.000人に達し、さらに、年間で広告宣伝費を除いた黒字化にも成功しています。
そもそもサブスクリプションサービスは、それだけで収益化できているケースは少なく、ファッションのジャンルでそれを達成するというのは驚異的と言えます。
この驚異的な黒字化の主な要因は、メチャカリが行っている独自のビジネスモデルにあります。
洋服を貸し出す場合、ほかのユーザーにも使用された洋服を共有するというシステムを想像しますが、このサービスで取り扱う商品はすべて新品となります。
そして、その商品をユーザーから返却された後に、中古品として販売し収益を得るのです。
つまり、会員から月額料金を徴収し、さらに、レンタルした商品を販売して収益を上げているわけです。
また、自社ECでも商品の販売を行っているため、物流コストを下げられるという点も黒字化の要因の一つです。
そもそもアパレルは、ECとは相性の悪い業種とされてきました。洋服や靴と言ったファッションアイテムは試着が必要であり、ECではサイズ感が分からないからです。
また、アパレル商品は基本的に、購入して所有するものと言う概念が強く、レンタルに抵抗を感じる消費者も多く存在しています。
このような問題があるにもかかわらず、メチャカリが人気を博しているのは、消費者のライフスタイルの変化が背景にあると考えられます。
現代では、ファッションに関心はあっても、店舗に足を運んで試着をする時間がない消費者が多くなっています。
そういった消費者がこのサービスをうまく利用しているのです。
このサービスは借り放題であるわけですから、自宅に届いた後にサイズが合わなかったり、似合わないデザインであったりしても、無料で交換することが可能です。
つまり、自宅で試着を行い、時間をかけずにファッションを楽しんでいるのです。
さらにメチャカリで扱っているのは新品であり、買取も可能となるわけですからレンタルに対する抵抗感も感じなくなります。
そう言った消費者のニーズとこのサービスがうまく合致し、利便性の高いサービスとして受け入れられたのです。
サブスクリプションで成功するためには、洋服を試着して購入する時間のない顧客に、借り放題で洋服を提供すると言うように顧客のニーズに合ったサービスを提供することが重要となります。
顧客のライフスタイルに沿って、顧客にとって価値のあるサービスを提供していくことが大切なのです。
そして、そのサービスを継続して提供するためには、メチャカリのように収益化をすることも必要です。
この2つのことをどちらも実現させなくては、サブスクリプションにおいて成功することはできないのです。