食品サブスクリプションは成功するか?

サブスクリプションは、近年著しい成長を遂げているビジネスモデルであり、その流れに乗ってあらゆる分野でサービスが提供されています。

その中で、食品分野は比較的参入が遅れていましたが、最近になって様々なサービスが提供され始めています。

しかし、食品分野は、そもそもECと相性が悪いと言われてきており、サブスクリプションにおいてもその点が問題となっています。

そこで今回の記事では、食品系サブスクリプションについて説明したいと思います。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

食品業界とECは相性が悪い?

食品業界はそもそもECと相性が悪いと言われており、あらゆる業界の中で最もEC化が遅れています。

この食品業界のEC化が進まない大きな理由として、生鮮食品を取り扱う際の物流拠点の問題が挙げられます。

実際に、独自の物流拠点を確保できる大手企業は、食品のEC化に成功をしており、小さなECサイトがこれに対抗するのは非常に困難だと言えます。

また、食品類、特に生鮮食品は実際に手に取り鮮度や状態を確認してから、購入したいと考えるユーザーがほとんどであり、その点でスーパーやコンビニなどに関わないと言うことも大きな理由です。

いくら、商品の説明や画像などで商品の状態を伝えても、やはり鮮度を確認でき、その場で購入できる実店舗にはかなわないのです。

さらに、食品ECには、配送料と言う大きな問題もあります。食品類は比較的低価格帯のものが多く、大量に購入しなければ配送料が無料にならないため、高い配送料を支払ってまでECで購入する意味がないと考えるユーザーが多いのです。

食品業界のサブスクリプションサービス

食品ECには、上記のような問題点があり、サブスクリプション市場への参入も後れを取っていました。

そのような状況の中で、そういった問題点をアイデアや工夫によってクリアした食品サブスクリプションが誕生し、注目を集めています。

今注目されている食品サブスクリプションの代表的なものとして挙げられるのが「Oisix(オイシックス)」です。Oisixは食品宅配専門スーパーとして、2000年に立ち上げられた会社ですが、近年ではサブスクリプション市場に進出し、成功を収めています。

Oisixのサブスクリプションサービスは、有機野菜などの食材を提供し、月額使用料5.300円~で17品前後の食材が毎週自宅に届けられるサービスです。

4.000品以上の食材を取り揃えており、その中からユーザーの嗜好や季節などに合わせて商品をセレクトしています。

ユーザーの好みに合わせてコースを選択することも可能で、食材が届くコース、レシピに沿った食材が届くコース、子供のいるご家庭向けのコースがあります。

この中で、特にレシピに沿った食材が届けられるサービスは人気が高く、主菜と副菜の2品を20分と短時間で作ることができることから仕事に忙しい主婦から高い支持を得ています。

このOisixのサービスが成功を収めているのは、多様化するユーザーのニーズに沿ったサービスを提供できていると言うことが大きな理由であると言えます。

毎日の献立を考えるのが大変と言う働く主婦や、育児中や介護中で買い物に行くのが大変と言う方、またご高齢で買い物になかなか行けないと言ったユーザーから高い支持を得ることができているのです。

注文方法も分かりやすく、アプリを使用して手軽に購入できると言うのも支持を得ている大きな理由です。

次に挙げられるのが、おやつのサブスクリプションサービス「snaq.me(スナックミー)」です。

このサービスは、月額1.980円で8種類のおやつが届けられ、この組み合わせは1.000億以上に上り、ユーザーがあらかじめ登録した好みなどに合わせてセレクトされます。

このサービスが支持を得ているのは、おやつの種類や組み合わせが豊富であること、ユーザーに合わせて最適な商品をセレクトしていることにあります。

独自のアルゴリズム診断を採用し、ユーザーが求めている商品を的確にセレクトすることができるシステムを導入しているため、ユーザーの好みに合わせた商品を届けることができるのです。

また、包装にもこだわり、女性が喜びそうな可愛らしい包装で届けられますので、ギフトととして利用するユーザーも多いようです。

さらに、生鮮食品ではないため、配送に手間やコストがかからないという点も成功の理由の一つと言えます。

この2つのサブスクリプションサービスは、それぞれ内容は大きく異なりますが、女性から高い支持を得ていると言う共通点があります。

そして、女性ユーザーの多いInstaglamなどのSNSが認知度の向上に大きく貢献していることも成功の要因であると言えます。

まとめ

上記のように、EC化が難しいと言われた食品分野においても、斬新なアイデアや創意工夫によってサブスクリプションサービスで成功を収めている企業があります。

これらの成功例は、ユーザーのニーズの多様化にうまく合わせることができていることが勝因と言えます。

ユーザーのライフスタイルは以前とは大きく変化しており、毎日実店舗に買い物に行くことが難しいユーザーも増えています。

また、膨大な商品の中から選択すると言う行為に疲れているユーザーも多いのです。

こういったユーザーのニーズの変化を敏感にキャッチし、柔軟に対応していくことが、今後のサブスクリプションサービスに必要なことだと言えるでしょう。