ここ数年でビジネスを巡る環境が大きく変わってきています。
その変化の中心となっているものが、新たなビジネスモデルとして注目されている「サブスクリプションビジネス」でしょう。
近年企業としても、ソフトウェアや関連システムを「所有」するよりも「利用」することにメリットを感じ、その方法を取ることが圧倒的に多くなってきました。
SaaSと言われる「Software as a Service」も、サブスクリプションとして利用することが当たり前になってきており、オンライン上で利用することのできるSaaSの市場規模は年々増加傾向にあるでしょう。
そしてこのようにSaaSサブスクリプションビジネスを行う企業にとって、「NRR」と呼ばれる指標こそ、非常に重要であることが考えられているのです。
「NRR」はサブスクリプションビジネス以外の現代ビジネスにおいても、必要不可欠な指標とされていますので、特にビジネスの立ち上げとしてスタートアップを行いたい方にとってはこの知識を得ておきたいと考えることでしょう。
そこで今回は、SaaSサブスクリプションビジネスを行う上で欠かせない「NRR」について、詳しくお話ししていきたいと思います。
今後SaaSサブスクリプションビジネスを検討されている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって今後の参考になさってくださいね。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
まずは「NRR」についてお話ししていきたいと思います。
NRRは、「Net Revenue Retention」の頭文字を取った略語であり、売り上げ維持率のことを意味します。
特にサブスクリプションビジネスを展開する企業が多く用いる指標であり、対象となる月の売り上げ数値を算出し、そしてそこから来年の同時期にはどれほどの売り上げ規模になっているか、という予想計画を立てることができるのです。
基本的な考えとしては、一般的に算出した数値が100%を上回っている場合、アップセルを用いた売り上げが成功していることが考えられます。
またこの数値が高くなる傾向にある企業は、「成長率が早い」と考えられますので、安定した経営を行うことができている、と考えることができるのでしょう。
いわゆる、この数値を向上させればさせるほど、経営が安定し楽になるということなのです。
このような指標を検討されている方では、NRRとMRRを混同して考えてしまう方も多いかと思います。
これら二つはまったく違いますので、注意が必要です。
MRRとは、「Monthly Recurring Revenue」の頭文字を取った略語であり、月額経常収益という意味を持っています。
つまり、ひと月にサブスクリプションなどのビジネスによる確実な収益はどれくらいになるのか、ということを表した数値を算出させることができます。
このMRRは、NRRを算出するときにも必要になってきますので、理解しておくべきポイントでしょう。
実際にNRRを求めるにはどのような計算式が当てはまるのでしょうか。
NRRは、「当月の合計MRR+アップグレードMRR+新規契約MRR-ダウングレードMRR-解約MRR/当月の合計MRR」により算出することができます。
この結果により、100%に満たない数値が出た場合には、この先の経営状況が下降傾向になってしまう恐れがありますので、次なる施策を考案する必要があるでしょう。
基本的には100%以上の維持率を保ち続けてこそ、今の経営状況に安心できるのです。
まずはNRRを100%以上にすることを目標としなければなりませんので、そのために提供サービス内容の改善や料金プランの見直しなどが必要になってくるでしょう。
そしてその際には解約率も重視しなければなりません。
もちろん提供しているサービス内容によっても異なりますが、基本的には解約率が「5%」を目安として考えてみてください。
つまり、NRRを向上させるには、解約率の低下を合わせて考えなければなりませんし、そのためには「カスタマーサクセス」との関係性も重要視しなければなりません。
ですので、カスタマーサクセスに注力し、解約率を低下させるための施策を考案することもまた、NRRの向上を考える上では非常に重要なポイントなのです。
以上、SaaSサブスクリプションビジネスを行う上で欠かせない「NRR」についてお話しさせていただきました。
新規事業としてサブスクリプションビジネスを考えられている方にとっては、このようなポイントは非常に重要となるかと思います。
このようなことをしっかり理解することで、今後のビジネスにも非常に役に立ち、ビジネスをより拡大させるにはどうすれば良いのか、ということも明確に分かってきますので、ぜひこの機会に「NRR」についての知識を深めてくださいね。