現代の消費者の価値観に合ったビジネスモデルとして今注目を集めているものが「サブスクリプション」です。
サブスクリプションビジネスにおいて最重要視しなければならないものと言えば「顧客満足度」でしょう。
サブスクリプションビジネスを成功させるためには、商品やサービスを販売するだけでなく、高いリテンション率やアップセル、クロスセルを実現させることがポイントなのです。
顧客満足度が十分でなければ、企業はおよそ半数以上もの収益増加の機会を逃してしまっているということも、ある調査結果で分かっているのです。
顧客体験を高めるためには、顧客関係管理である「CRM」重要であり、サブスクリプションビジネスのような「モノ」から「コト」へ、「所有」から「利用」へ、消費者の価値観が変化しているからこそ、この企業戦略の変項が重要なのです。
つまり顧客体験を高めるために欠かせない戦略こそ「CRM」なのです。
そこで今回は、サブスクリプションビジネスに必要な「CRM」の基本的な考え方について、詳しくお話ししていきたいと思います。
今後サブスクリプションビジネスの導入を検討されている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
CRMは、消費者のニーズが多様化し大量生産をして大量販売することが通用しなくなった1990年代後半に登場しました。
全体最適化を目的とした経営戦略として理解が広まり、当初は「SFA」や「MA」のようなツールや機能を指す言葉ではありませんでした。
経営戦略としてのCRMがメインの考えではあったのですが、2006年以降テクノロジーの目まぐるしい進化により、ビッグデータの活用が進んだので、CRMは新たに「プラットフォーム」として再注目を集めることになったのです。
そして今では、MAやSFA、BI、AIが活用され実用化されるにつれて、見込顧客データをCRMで管理し、それぞれに最適なコミュニケーションを実現する「One to Oneマーケティング」が現れ、CRMの認識が大きく変わってきたのです。
CRMの役割で最も重要なポイントは「顧客情報の管理」でしょう。
この顧客情報こそ企業にとっての大きな資産であり、顧客の購入履歴や商品やサービスに対する意見などの情報を得て蓄積することで、今現状顧客ニーズに応えることができているのか、今のサポート体制は十分なのか、ということを把握することができるのです。
また、これを継続して長期的に情報を蓄積することで、商品開発やサービスの改善、マーケティングに関する重要な知見を得ることができますし、新たな顧客ニーズの発掘や休眠顧客のピックアップもすることができるのです。
サブスクリプションビジネスでは、顧客ニーズを細かく正確に把握し、要望を満たす商材を用意し提供することが大切です。
顧客のプライベート空間に自然に入り込み、コミュニケーションを取りながら自然と欲しいものを聞き出すことこそ、CRMが目指す顧客関係管理なのです。
たとえばヤマト運輸では「LINE」を利用して再配達依頼が完了する仕組みを作り、大幅なコミュニケーションの改善を行っています。
またBtoC業界では、チャット形式を多く導入されており、ユーザー走りたい情報を即座に知ることができるようになっています。
そして、AmazonやZOZOTOWNが発信するメールマガジンも大きく進歩しており、過去の購買履歴や閲覧履歴から、顧客ひとりひとりに最適な商品をおすすめするシステムを導入しており、コミュニケーションの質は圧倒的に向上しているのです。
なぜサブスクリプションとしてビジネスが成立しているのでしょうか。
その理由は商品やサービスが優れているから、競合が弱いから、営業担当者が優秀だから、などさまざまな理由があるのですが、最終的には顧客のエンゲージメントがビジネスを支えていることが分かるでしょう。
従来の経営資源は「ヒト」「カネ」「モノ」が基本であり、現代ビジネスでは「情報」「エンゲージメント」がプラスされています。
つまり、サブスクリプションビジネスを成功させるために顧客情報を蓄積すること、そして顧客とのコミュニケーションを最適化することも、最終的には「エンゲージ」を得ることを目的としているのです。
顧客視点に立ってエンゲージメントを重視した戦略が必要であり、顧客エンゲージメントを高めることこそ長期的な利益に繋がることを理解しましょう。
以上、サブスクリプションビジネスに必要な「CRM」の基本的な考え方について詳しくお話しさせていただきました。
CRMのそもそもの目的は、顧客により良い成功体験を提供することです。
このより良い成功体験こそ、サブスクリプションビジネスに大きな影響を与えますので、CRMはツールや機能と捉えるのではなく、顧客へ成功体験を提供するための戦略だと考えてください。
まだCRMに対する知識が十分でない方は、まずこの基本的な考え方を理解し、CRMによって蓄積された顧客情報をどう使うのか、どう分析しどのような応えを得て、何を顧客に提供するか、ということを考えてくださいね。