サブスクビジネスが躓く想定外の要因

サブスクリプションは、今や、誰もが知るビジネスとなっており、様々なサービスが続々と誕生しています。

従来のビジネスからの転換も増加しているため、今後さらにサービスは増えていくと予想されています。

しかし、これらすべてのサービスが成功できるわけではありません。

安易に参入したことで苦戦するケースも多く、サブスクから撤退する企業も多くあるのです。

そこで今回の記事では、サブスクビジネスが躓く要因について説明したいと思います。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

サブスクは簡単に成功できるビジネスではない!

サブスクリプションサービスは、一定の金額を支払うことにより、一定の期間商品やサービスを利用できる権利を得るという仕組みとして知られています。

サブスクには、この他にも定期購入型、従量課金型などいくつかの異なる仕組みがありますが、一般的には、前者の定額制の仕組みが広く普及しています。

このサブスクサービスが、短期間で急成長したのにはいくつかの理由がありますが、ビジネスとして広く普及したのには、企業側に大きなメリットがあることが大きな理由なのです。

サブスクでは、企業と消費者が契約を交わし、定められた月額の利用料を支払うことで、商品やサービスが提供されます。

この利用料は月々一括で支払われるため、企業側は安定した収益が見込めるのです。

そのため、従来のビジネスに限界を感じた企業が、続々とこのビジネスへの転換を始めているのです。

しかし、この安定した収益というのは、契約した消費者が継続して利用してくれることが前提となっています。

この点を安易に考えている企業が意外と多く、これらの企業はサブスクというビジネスを甘く考えているといえるのです。

サブスクの失敗事例

サブスクビジネスは、現在ではあらゆる業種に広まり、様々なサービスが提供されています。

しかし、このビジネスは、安易に転換できるような、簡単なビジネスではなく、すぐに安定した収益が得られるわけではないのです。

実際に、サブスクビジネスへの転換を図った多くの企業が、集客に苦労したり、早期に撤退をしているのです。

これらの企業が失敗した理由はそれぞれに異なりますが、共通しているのは、事前に想定していた展開とは大きく異なったということです。

具体的な例として、男性用カミソリのサブスクサービス「TokyoShaveClub」は、想定していたほど顧客を集めることができず、サブスクビジネスから撤退をしています。

このサービスは、アメリカで大成功を収めているカミソリを扱うブランド「DollarShaveClub」のモデルを日本に持ち込んだものであり、アメリカほどではなくとも、顧客を集めることが可能と考えられていました。

しかし、アメリカと日本のカミソリの市場環境は異なるため、アメリカほどには大きな注目を集めることができず、顧客を集めることができなかったのです。

これは、アメリカで大きく成功したビジネスであったため、日本でも成功できると安易に考えたことが失敗の理由であり、事前の想定が甘く、想定外の結果となったケースです。

しかし、アメリカと日本の小売市場が大きく異なるものであることは、事前に分かっていることであり、想定が甘すぎたと言わざるを得ないような事例でもあります。

また、大手通販サイトZOZOTOWNもおまかせ定期便というサブスクサービスを提供しましたが、これもまた想定外の理由で撤退しています。

このサービスは、ZOZOTOWNの商品の中から、顧客一人一人の嗜好に合わせたアイテムをセレクトしてくれるというものです。

自身で服を選ぶのが面倒と言う人や、自身で選ばないような商品が届くため新たな発見があるなどと好評の声も多く聞かれていましたが、短期間でサービスを停止しています。

その理由は、既存の顧客の利用が想定外に少なく、基本料金200円という設定では収益を確保することができなかったためとされています。

既存顧客の利用を想定し、価格設定を低くしたにもかかわらず、ふたを開けてみれば、サービスの利用者のほとんどが、このサービスを目当てに入会した新規の利用者であったのです。

そもそも、洋服をレコメンドするという仕組みのビジネスはコストがかかり、利用者が増えるごとにこのコストはさらにかさんでいきます。

それでも、既存の顧客の利用であれば、安価な価格設定であっても収益の回収は可能と考えられますが、誰でも簡単にサービスを利用できたために、価格のお得さにつられた新規のユーザーが想定外に集まり、ビジネスとして成り立たないと判断されたようです。

しかしこれは、想定外に新規の利用が多かったというよりも、既存の顧客が求めているサービスではなかったといったほうが良い事例です。

既存の顧客の利用を見込んでサービスを提供するのであれば、既存の顧客がどのようなサービスを求めているのかを事前にしっかりと把握する必要があったと考えられます。つまり、事前の想定自体に問題があり、早期に撤退せざるをえなくなったのです。

まとめ

このように、サブスクサービスの中には、大手の企業であっても、サービスの提供を取りやめているケースがみられます。

そして、それらの企業がサービスから撤退した理由は、今回説明したように、想定外の結果となったからなのです。

しかし、想定外と言えば聞こえは良いかもしれませんが、実際には、事前の想定が甘かったと考えられるケースがほとんどです。

サブスクにおいては、成功例ばかりが取り上げられるため、サブスクへの転換を行えば成功できると安易に考えられていますが、サブスクビジネスはそれほど甘くありません。

簡単に成功できるとは考えず、失敗の事例を参考にすることも重要なのです。