サブスクビジネスに応用可能な「ランチェスター戦略」

今消費者の価値観が「モノ」から「コト」へ変わっているため、商品やサービスの提供方法も大きく変わっています。

従来であれば、売り切り型ビジネスが主流であったため、消費者はモノを購入し所有することに価値をかんじていたのですが、今では必要なときに必要なサービスを受け、所有するのではなくシェアをすることに価値を感じる方が多くなってきているのです。

このようなビジネスモデルに合ったビジネスこそ、今流行している「サブスクリプションビジネス」ですよね。

サブスクリプションビジネスはまだまだ日本国内での成功事例は少ないのですが、今大手企業をはじめ多くの企業がサブスクリプションの導入を始めているのです。

サブスクリプションビジネスを行う企業は、非常にさまざまな戦略を考案し、ビジネスを進めていくのですが、戦争理論である「ランチェスター戦略」も、サブスクリプションビジネスに応用することができることをご存知でしょうか。

そこで今回は、サブスクリプションビジネスに応用可能な「ランチェスター戦略」についてお話ししていきたいと思います。

今後サブスクリプションビジネスの展開を検討されている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

ランチェスター戦略とは

ランチェスター戦略とは、第一次大戦の頃イギリスの航空工学研究者により提唱された「戦争理論」です。

伝統的な戦闘方式と近代的な戦闘方式を比較すると、戦闘力の求め方が異なることが分析され、この比較こそビジネスにも応用できると考えられている戦略なのです。

日本でもこのランチェスター戦略を取り入れ、応用している経営理論を掲げている企業は多いので、サブスクリプションビジネスにも十分に応用できると考えられているのです。

ランチェスター戦略のルールと二つの法則

ルール

ランチェスター戦略は、戦闘の勝敗を表す理論ですので、軍隊の強さや力である「戦闘力」は、武器と兵力数で決まると言われています。

「武器」は、敵と味方の武器性能を比率化した「武器効率」で捉えますので、敵の2倍の性能を持った武器で戦闘すると、こちらの武器効率は「2」になりますし、敵がこちらよりも2倍の腕前を持っているのであればこちらの武器効率は0.5になります。

そして兵力数は、兵士の数、戦車や戦闘機の数であり物量です。

これら武器効率と兵力数を合わせたものこそ、軍隊の戦闘力になるのです。

ランチェスター戦略を用いて戦うためには、二つの法則を理解しなければなりませんので、ひとつずつ見ていきましょう。

第一法則

ランチェスター戦略の第一法則は、原始的な戦いである一騎打ち、局地戦、接近戦が想定されています。

シンプルに、「戦闘力=武器効率×兵力数」という法則であり、同じ武器効率の敵と戦うと、必ず数の多い方が勝つという考えです。

つまり、敵に勝ちたいのであれば敵を上回る武器、もしくは兵力数を用意すれば良いということなのです。

第二法則

ランチェスター戦略の第二法則は、近代的な広域の戦いが想定されています。

確率兵器と言われる近代武器を用いて、集団が同時に複数の敵に攻撃を行う戦闘を、確率戦と言い、この確率戦こそ、第二法則が適用されるでしょう。

マシンガンで敵と撃ち合う集団戦をイメージすると分かりやすいでしょう。

この第二法則は「戦闘力=武器効率×兵力数の2乗」とされており、第一法則との違いは兵力数が2乗であるということです。

2乗ということは、10であれば100、100であれば10,000になりますので、かなり大きくなります。

つまり兵力が多い方こそ圧倒的に有利であり、兵力が少ない場合は第二法則の戦いに勝つことは難しいのです。

第一法則では単純に兵力の差こそ実力の差であったので、武器効率さえあげれば弱者も強者に勝つことができる可能性がありますので、第一の法則は「弱者の戦略」とも呼ばれているのです。

ランチェスター戦略をビジネスに応用するには

ランチェスター戦略は、企業間の戦争に応用することができます。

例えて言うと、戦闘力は顧客開拓し売り上げを上げて利益を確保する「営業力」、武器は「商品力」、兵力は「販売力」とたとえましょう。

もう少し細かく見ると、質的経営資源である「情報力」「技術開発力」「品質」「性能」「ブランド付加価値」「顧客対応力」「営業者スキル」が武器になります。

そして量的経営資源である「社員数」「営業者数」「販売代理店担当者数」「製造現場設備機器数」「売り場」が兵力です。

この質的経営資源と量的経営資源の二つを掛け合わせたものこそ、企業の営業力を決めるものになるのです。

ビジネスに応用する場合は、特定の商品や地域、販路、顧客層、顧客などの部分的な競争をする場合であれば、「第一法則」が適用され、総合的、全体的な戦争であれば「第二法則」が適用されるでしょう。

第二法則であれば、量的経営資源が2乗のパワーになるということですので、中小企業や業界二番手以下の企業であれば、量的経営資源が乏しくなってしまいますので、部分的な戦争に持ち込むことができなければ、勝つことは難しいのです。

まとめ

以上、サブスクリプションビジネスに応用可能な「ランチェスター戦略」についてお話しさせていただきました。

このランチェスター戦略は、基本的にはBtoCサブスクリプションだけでなく、BtoBサブスクリプションにも応用することができると考えられているビジネス戦略でありますので、この戦略を正しく理解し、ランチェスター戦略から導かれる手法を有効活用してみてはいかがでしょうか。