成功するサブスクリプションは何が違うのか?

近年、サブスクリプションは様々な分野に広がり、現在においても成長を続けています。

しかし、サブスクリプションは安易に参入し成功できるほど、簡単なビジネスではありません。

成功している企業ばかりが注目されていますが、実際に多くの企業がサブスクリプションビジネスに失敗し、撤退を余儀なくされているのです。

そこで今回の記事では、成功するサブスクリプションの違いについて説明したいと思います。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

成長し続けるサブスクリプション市場

サブスクリプション市場は拡大化を続けており、2019年の市場規模は6.485億円と、2018年と比べ15%と大きく伸長しています。

今後もその成長は続くことが予想されており、2023年には8.623億円に達すると言われています。

しかもこの調査結果は、娯楽、教育、食品、ファッションなどの8分野に限られた結果であり、その他の分野のサービスは含まれていません。

そのため、サブスクリプションと銘打ったすべてのサービスを含めて考えれば、市場規模は1兆円を超えるのではないかとも言われているのです。

サブスクリプションが、ここまで拡大したのは、利用者だけでなく、提供する側にもメリットが大きいということが挙げられます。

サービスを提供する企業側からすると、毎月決まった金額が入ると言うことは、非常に大きなメリットと言えます。

収益が安定するわけですから、経営計画が立てやすくなりますし、新規参入もしやすくなるのです。

また、毎月決まった金額を支払うと言うことは、利用者側にもメリットになります。

金額が決まっているわけですから、使いすぎてしまうということが無いのです。

そもそも、サブスクリプションのサービス形態は、日本では従来から行われてきたものです。

代表的なものとして、新聞配達や牛乳配達、雑誌の定期購読などがあり、どれもなじみ深いサービスばかりなのです。

現在のサブスクリプションサービスは、これらのサービスが名前を変えたようなものであり、ここまで広く普及したのは、消費者に受け入れやすいサービス形態であったからだとも言えるのです。

このように、サブスクリプションは、利用する側にも、提供する側にもメリットのあるサービスであり、モノが売れなくなってきている現在においては、参入する企業が増加するのも当然と言えます。

しかし、いくらメリットが大きいからと言って、安易に参入しても、ビジネスとして成功するとは限りません。

サブスクリプションは簡単に成功できるビジネスではないのです。

サブスクリプションは顧客との関係性の構築が大切!

サブスクリプションは、獲得した顧客にいかに長く継続して利用してもらうかを重要視するビジネスであり、そのために顧客の情報を詳細に分析し、サービスを改善し続けていく必要があります。

そして、それを実践するためには、顧客との関係性を構築する必要があるのです。

具体的な例として、アドビシステムズは、従来の売り切り型のビジネスを、5年かけてサブスクリプション型に移行させ成功を収めています。

これは、サブスクリプション型の製品を多機能型の利便性の高い設計とし、従来の製品よりもサブスクリプション型の製品のほうがより使いやすく、利便性が高いということを、5年の長い時間をかけて顧客に浸透させ、顧客自らがサブスクリプション型を選択するように導いていったのです。

そして、これは顧客側から見ても、実際にサブスクリプション型の製品の利便性は高く、また、定額制になったことでコストの削減にも繋がり、損をするどころか得をしたことになるわけです。

つまり、アドビシステムズはどちらにも損にならないように、上手にサブスクリプションビジネスに移行することに成功したと言うことになります。

この場合の成功の要因は、顧客が納得できるように時間をかけたこと、移行が顧客の損失にはならなかったことであり、あくまでも顧客のことを優先して考えた結果がこの成功に繋がっていると言えるのです。

このアドビシステムズのようなIT関連のサービスはサブスクリプションと親和性が高い傾向があります。

実際に他のIT関連のサブスクリプションも多くは好調を維持している様です。

その理由は、IT関連のサービスは配信で提供され、配送コストがかからないという点にあり、これは提供者側にとって非常に大きなメリットとなります。

また、利用者側にとっても、配信で利用できるサービスと言うのは、余計な手間のかからないメリットの大きいサービスです。

こういったことから考えても、IT関連のサブスクリプションは今後も成長を続けることができると予想されるのです。

上記のように、サービスを配信するIT関連やデジタルコンテンツのサブスクリプションは、配送コストがかからないため、成功しやすいサービスと言えます。

配送コストは変化するものであり、サブスクリプションにおいても料金設定を難しくするのです。

そのため、モノを提供するサブスクリプションは配信型のサブスクリプションよりも成功するためのハードルが高くなります。

しかし、中には、その配送と言う形態を上手く利用し、成功を収めている企業も存在するのです。

その成功例として挙げられるのが、知育玩具のサブスクリプションサービスである「トイサブ!」です。

このサービスは、月額使用料を支払うことで、知育玩具を一定の期間借りることができるというサービスです。

そして、トイサブ!では、この玩具の配送の際に、利用した感想を記入するシートを同梱し、玩具の返却の際にこのシートを回収するという施策を行っています。

この施策によって、実際の顧客の声を聞くことが可能となり、どのようなおもちゃを好むのか、どのような遊び方をしていたかと言った詳細なデータを集めることができるようになっているのです。

そして、そのデータを蓄積させ詳細に分析することにより、どの顧客にどのおもちゃが良いのかと言う玩具のマッチングの精度を高めているのです。

これにより、顧客の満足度も向上し、継続利用率97%を維持することができているのです。

この成功例から言えるのは、実際の顧客の声を聞き、それを次に活かしていくことがいかに重要かということです。

サブスクリプションは継続利用が前提となるビジネスですから、顧客が何を求めているのか、不満な点はどこかと言うことを、上記の成功例のような施策を行うことにより、追求していかなくてはならないのです。

まとめ

サブスクリプションは、顧客にいかに継続して利用してもらえるかが重要となるビジネスです。

実際に成功してるサービスと言うのは、今回説明した成功例を見ても分かるように、顧客のことを最優先に考え、様々な工夫を行っているのです。

あくまでも、顧客の視点に立ち、顧客が使いやすいサービスであることが、サブスクリプションを成功させる秘訣でもあるのです。