サブスクリプションは、ここ数年の間に消費者の間に広く浸透していますが、中には、従来の定額制のモデルと混同しているケースもあるようです。
確かに、サブスクの代表的なサービスは、定額課金の仕組みを採用していることが多いですが、これはあくまでも仕組みにすぎません。
定額制モデルは、サブスクの中の一つの種類であり、他にも様々な課金の仕組みがあるのです。
それにもかかわらず、サブスクと言うと定額制と捉えられてしまうことが多いのです。
そこで今回の記事では、定額制に捉われるサブスクについて説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
サブスクリプションは、商品やサービスに対して料金を支払うのではなく、商品やサービスを利用する権利を得ることに対して、定められた料金を支払う仕組みとして知られています。
これは、従来で言うところの定額制モデルですが、この定額制の課金の仕組みだけがサブスクリプションではないのです。
サブスク=定額制と思われているのは、サブスクの代表的なサービスである、動画や音楽などのデジタル配信サービスがこの仕組みを採用しているからです。
しかし、サブスクには、他にも様々なサービスがあり、その種類は現在も続々と増え続けています。
そして、それらのサービスの中には、定額課金ではない仕組みのサービスも多くあるのです。
定額課金の仕組みのサブスクサービスが広く普及していることから、サブスクは、先ほど述べた、「商品やサービスに対して料金を支払うのではなく、商品やサービスを利用する権利を得ることに対して、定められた料金を支払う仕組みのサービス」であると思われているのです。
しかし、定額制は、サブスクの課金の仕組みの一つであるに過ぎず、サブスクの本質ではありません。
サブスクと言うビジネスをあえて説明するのであれば、サブスクとは、商品やサービスを利用を通じ、顧客に価値のある体験を提供し続けることにより、顧客との継続的な関係性を構築していくビジネスモデルなのです。
このように、サブスクとは、定額制と一括りにされるようなものではなく、もっと広い概念で捉えるべきビジネスモデルであるのです。
そして、最も重要なのは、仕組みではなく、顧客との関係性を構築する事を重視しているということなのです。
サブスクが、顧客との関係性を重要と考えるのは、このビジネスが、顧客に継続して利用してもらわなくては成り立たないものであるからです。
そのためには、顧客が満足する商品やサービスを常に提供し続け、顧客にサービスに対する愛着心を持ってもらわなければならないのです。
これが達成できているサービスこそがサブスクであり、定額制と言った課金の仕組みに捉われる必要はないのです。
例えば、昨今よく見られる飲食店のサブスクを例にとって考えて見ると、このサブスクが単に月額料金を支払うだけで食べ放題と言うサービスを打ち出しているのであれば、これは定額課金の仕組みではありますが、収益を伸ばすことには繋がらないのです。
その理由は、このサービスを利用する顧客の多くが、どれだけ食べれば元をとれるか、お得になるかということに終始してしまうからです。
このサービスにより、顧客が来店する頻度は増えるかもしれませんが、顧客自身が得をすることだけを考えているため、収益には繋がりません。
そして、これらの顧客は、同じようなサービスが誕生し、それがさらにお得であると考えれば、すぐにそちらに移行してしまいます。
これは、このサブスクサービスが、顧客との関係性を構築できていないため、顧客は、サービスに対してお得かどうかと言う程度の関心しか持っていないからなのです。
顧客に、食べ放題と言うこと以上の価値を提供し、関係性を構築することができていれば、顧客は簡単に別のサービスに移行することはありません。
このお店にいくことで、お得な食べ放題ということ以上の、何らかの付加価値を提供することが重要なのです。
具体的には、行列のできる店であれば、行列に並ばなくても良いと言う価値を与える、食べ放題とは別に好きなメニューをオーダーできるようにする、優良顧客だけにイベントを開催するなど、食べ放題にだけにとどまらない、顧客が来店したくなるような価値を提供することにより、顧客はそのサービスを継続して利用してくれるようになるのです。
このように、サブスクに求められるのは、顧客が満足するような価値を提供する事なのです。
これにより、顧客はサービスを継続して利用してくれるようになり、関係性が構築されていくのです。
そして、これには、定額制であることは関係ありません。そのサービスの内容に定額課金の仕組みが適しているのであればそれで良いですが、他の仕組みが適していることもあるのです。
むしろ、様々な仕組みをうまく組み合わせ、顧客の多様なニーズに応えていくことが重要なことなのです。