商品を購入して利用するのではなく、利用したいときに料金を支払って使用する、サブスクリプションビジネスが注目を集めています。
従来までであれば、ソフトウェアやデジタルコンテンツが中心としてサブスクリプションビジネスが広がっていたのですが、今では自動車やファッションなど、その幅はどんどん拡大しており、今後もさらにサブスクリプション市場が拡大することが予想されているのです。
サブスクリプションビジネスを行う上では、マーケティングリサーチを行うことは欠かせません。
サブスクリプションビジネスでは、顧客体験価値に注目しなければならないのですが、この顧客体験価値に着目するための「CX戦略」に取り組む上で、非常に重要な指標こそ「NPS」です。
NPSについてしっかり理解しておかなければ、サブスクリプションビジネスを効率良く行うことはできません。
そこで今回は、サブスクリプションビジネスにおけるNPSの計算方法と顧客満足度の違いについて、詳しくお話させていただきたいと思います。
サブスクリプションビジネスにご興味を持たれている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
NPSとは、Net Promoter Scoreの頭文字を取った略称であり、顧客が企業に対して、そして商品やサービスにどれくらい愛着を持っているか、という顧客ロイヤリティを測る指標です。
CX戦略に取り組む上では、顧客ロイヤルティは非常に重要な指標となりますし、顧客体験価値を向上させリピーターの獲得やビジネス業績の向上にも繋げることができるのです。
NPSの計算方法は、「この商品やサービスを知人や同僚にどれくらい勧めたいですか?」という質問に対し、顧客に0~10までの11段階で回答してもらいます。
そして、0~6と回答した人を「批判者」、7~8と回答した人を「中立者」、9~10と回答した人を「推奨者」と分類しましょう。
そこから「推奨者の割合(%)」-「批判者の割合(%)」という方法により、NPSを出します。
NPSでの「推奨者」は、商品やサービスへの愛着が強いので、顧客ロイヤリティが高い傾向にあるのです。
サブスクリプションビジネスを行う上で、CX戦略の効果を測る上でNPSと共に活用される指標に「顧客満足度」がありますよね。
顧客満足度はCustomer Satisfactionの略称である、CSATであり、顧客が商品やサービスに対する満足度を意味します。
「定義の幅広さ」と「長期的な収益との関連性」が、大きな違いでしょう。
定義の幅広さに関しては、上記で説明した通りNPSは、この商品やサービスを知人や同僚にどれくらい勧めたいですか?という質問により、顧客ロイヤリティを測定していきます。
ですが顧客満足度では、企業によって行うアンケート項目が異なり、満足の定義も異なるので、これが大きな違いでしょう。
長期的な収益との関連性に関しては、NPSでは顧客の将来の行動を想定した質問が軸になっていますので、この商品やサービスを、知人や同僚にどれくらい勧めたいか、という質問であり、その一方での顧客満足度では、測った時点における満足度を指標としていますので、そこで「満足」と回答していたとしても将来的には顧客の購入単価の向上や再購入を見込むことができません。
つまり、NPSは将来性を見込んだ満足度の指標、そして顧客満足度は現時点での満足度の指標なのです。
NPSは将来の購入に繋がる指標ですので、企業の長期的な収益性を見るうえでも有効活用されるのです。
NPSを活用し、分析する際は、業界内での自社の評価を比較することと、サイレントマジョリティーを忘れないことが重要です。
NPSの平均は、業種によって異なりますので、自社への業界平均値や業界内の競合との数値を比較することで、自社への顧客満足度を把握することができます。
そして、商品やサービスに対する意思を示さない、サイレントマジョリティーと呼ばれるお客様が多い場合、このサイレントマジョリティーの割合が高くなってしまうので、正確に顧客情報を把握することができなくなり、現状を反映できていない分析結果になってしまうのです。
NPS活用時には、サイレントマジョリティーに存在を忘れず、自社の規模に対し適切な顧客数から回答を獲得することを目標としましょう。
以上、サブスクリプションビジネスにおけるNPSの計算方法と顧客満足度の違いについてお話させていただきました。
NPSは自社の課題を把握することができますし、効果的な改善活動にも取り組むことができますので、自社サブスクリプションビジネスにも非常に良い影響を与えるでしょう。
ぜひこの機会にNPSの理解を深め、効率良くサブスクリプションビジネスを行ってくださいね。