サブスクリプション(サブスク)は、一定の金額を支払うことにより、一定の期間商品やサービスを利用する権利を得る、継続課金型のビジネスモデルです。
このモデルは、近年著しく成長を続け、現在では一般の消費者にも広く普及しています。
そもそも、このサブスクリプションモデルは、ソフトウエア、音楽、動画配信などのデジタル系の実体を持たないサービスとして認知されてきましたが、現在では、ファッション、コスメ、食品、自動車など、実体のあるモノにも取り入れられるようになっています。
しかし、そのすべてのサービスが成功しているわけではありません。
成功できるのは、サブスクを理解している一握りのサービスなのです。
そこで今回の記事では、サブスクを成功させる3つの視点について説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
現在市場では、実際に多くの企業が、サブスクビジネスへ移行を行っていますが、サブスクがここまで広く認知されたのは、いち早くサブスクを導入したソフトウェアなどの配信サービスとサブスクの相性が非常に良かったからなのです。
サブスクビジネスは、デジタルマーケティングと密接に結びついており、企業が消費者とデジタルを通じて直接繋がることができる現在において、最も適したビジネスモデルであり、デジタルを最大限に活用する配信サービスはそのビジネスモデルに最適なサービスなのです。
従来では、ソフトウェアもCDやDVDと同様に、箱に収められ、それを高価な値段で販売していました。
しかし、その販売方式を、ソフトウェア大手のアドビシステムズがいち早くサブスク方式に変更したのです。
ソフトウェアは高価なものであり、さらに、アドビシステムズは映像制作やWEB制作のプロが使用することが多かったため、この決断は業界に衝撃を与えます。
そのままの販売方式でもまだ需要があるにもかかわらず、月々一定の金額で利用できるサブスク方式に変更したわけですから、その驚きは衝撃的だったのです。
このアドビシステムズの大胆な改革は、結果として、成功をおさめます。
利用しやすい方式となったため、従来のビジネスでは縁の無かった新しい顧客層を開拓することができ、収益が著しく向上したのです。
このアドビシステムズが行った改革は、具体的には従来の高額なソフトウェアを購入してもらう販売方式から、月額料金を支払うことで、ソフトウェアを利用できるサブスク方式への変更であり、その際に、トライアル期間などを設け、気軽にサービスを試せるようにしたことです。
これにより利用のハードルが下がり、今まで購入をためらっていた層を取り込むことが可能となりました。
さらに、クラウドを利用してサービスを提供する仕組みであるため、顧客の利用状況を正確に把握することができ、顧客に最も適したタイミングでアップグレードを促すことが可能となったのです。
これにより、アドビシステムズは、従来のソフトウェアを売って終わりと言う売り切り型のビジネスでは得ることができなかった、顧客満足度の向上を実現することができたのです。
このアドビシステムズの成功から、多くの企業が従来のモノを売るビジネスから、顧客に必要なサービスを提供し利用してもらうサブスクビジネスへ転換を図りだしたのです。
しかし、先ほども述べたように、アドビシステムズが成功をしたのは、ソフトウェアと言う商品がそもそもデジタル配信に向いた商品であり、アップデートのし易さなどからもサブスクビジネスとの相性が良かったからです。
これは、音楽や動画などの配信サービスも同様です。
それ故に、現在においてもデジタル配信のサブスクは人気を保っています。
しかし、これがモノのサブスクとなると話は違ってきます。
そもそも、それほどデジタルの相性が良いわけではない商品やサービスを取り扱う場合、配信サービスよりもビジネスを移行することが難しくなってくるのです。
しかし、従来のビジネスでは物が売れなくなっている現代では、サブスクビジネスのような新しいビジネスモデルへの移行は必要不可欠なことです。
そのため、多くの企業がサブスクへの変換を図っているのですが、その多くがサブスクとは名ばかりのビジネスであり、そのままではサブスクとして成功することなどあり得ないと言うような状況なのです。
これらの企業は、サブスクを定額課金モデルと認識し、その仕組みさえ変更すれば良いと考えている様ですが、定額課金はサブスクの仕組みにしかすぎません。
サブスクビジネスが新しいビジネスモデルとされるのは、そのビジネスの在り方が消費者のニーズが大きく変化している現代に適したものだからなのです。
現在の消費者は、従来のようにモノを購入し所有する事よりも、必要な時に必要なだけ利用できる事に価値があると考えています。
その価値観に最適化したビジネスモデルがサブスクなのです。
従って、サブスクビジネスは、消費者の価値観に合わせていくこと、すなわち消費者の視点でビジネスを構築することが重要となるのです。
そして、この消費者の視点に立って考える際に、3つのポイントに注意する必要があります。
まず1つ目のポイントが、提供しようとしている商品やサービスが、消費者にとってメリットがあり、魅力的であるかということです。
従来のビジネスでは、企業が提供したいと考える商品やサービスが提供されていましたが、サブスクでは商品ありきではなく、消費者のニーズに合致しているのかということが重要となります。
2つ目のポイントは、消費者が納得する料金やサービスの内容になっているかと言うことです。
商品やサービス自体が魅力的であっても、料金やサービスの形態に問題があれば、消費者から選ばれることはありません。
サブスクは、継続利用が前提のビジネスですから、できる限り長く継続してもらうためには、プランを複数用意するなど、消費者自身が選択できる仕組みを作ることが大切なのです。
3つ目のポイントは、消費者が長く継続して利用したいと考える内容になっているかということです。
前述のように、サブスクで収益を上げるには、消費者に継続して利用してもらわなくてはなりません。
新規で顧客を獲得することができても、すぐに解約されてしまっては意味がないのです。
従って、サービスを契約してくれた消費者に対しても、継続利用を促し、解約を防止するために、様々な施策を行う必要があるのです。
顧客の利用状況を把握し、コミュニケーションをとり続けると言う方法もその一つです。
コミュニケーションをとり続けることで、サービスの改善などに繋がり、結果として顧客満足度を上げることもできるのです。
以上のように、サブスクビジネスとは、従来のビジネスの仕組みを変えれば良いと言うような単純なものではありません。
従来とは考え方から異なるものであり、どの立場に立って見るのかと言う、視点から変える必要があるのです。
現在では多くの企業がサブスクビジネスを導入していますが、その多くが、企業の視点のままビジネスを行っており、そのままの状態ではサブスクビジネスとして成功するわけがないのです。
サブスクは、消費者のニーズに合わせたビジネスであり、消費者の視点に立つことができなければ、成功はできないのです。