D2Cに必要なのは顧客第一主義ではない?!

現在は、あらゆるビジネスにおいて、顧客の視点に立つ、顧客を重視すると言った、顧客第一主義が主流となってきています。

そして、そのために、多くの企業が、顧客と積極的にコミュニケーションをとり、顧客の声をビジネスに取り入れているのです。

しかし、顧客の声をそのまま受け取ることが、顧客を第一に考えていると言うわけではないのです。

そこで今回の記事では、D2Cに求められる顧客第一主義について説明したいと思います。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

顧客の声を聞くことが顧客第一主義ではない?!

D2Cビジネスは、顧客の視点に立ち、顧客のニーズに即した商品を提供することが求められています。

これは、D2Cビジネスに限ったことではなく、近年では、あらゆるビジネスにおいて、顧客を起点としたビジネスが求められるようになっているのです。

そして、既に、世界中の多くの企業が、顧客を第一に考え、顧客の意見や要望を積極的に取り入れながら、商品やサービスを提供しています。

しかし、注意しなければならないのが、顧客の意見や要望をそのまま取り入れるだけではいけないということです。

現在は、これまでとは異なり、SNSなどを通じて、顧客と直接コミュニケーションをとれるようになっています。

ブランドは、これにより、実際の顧客の声を聞き、それを商品に反映させているのです。

これは、決して悪いことではありませんし、顧客の声を最優先に考えることは、現在のビジネスにおいて最も重要なことです。

しかし、それは、顧客の声をそのまま受け取るということではないのです。

顧客とのコミュニケーションの中で、顧客が発する意見や要望は、上辺のことにすぎません。

実は、顧客自身もどのような商品が自身に必要なのか、自身が本当に求めているものを完全に理解しているわけではないのです。

そのため、顧客の声をそのまま形にしても、顧客のニーズに即した商品を作ることはできないのです。

では、顧客の声を聞かなくて良いのかと言うと、そうではありません。

顧客とのコミュニケーションの中で、聞き出した顧客の意見や要望をさらに深堀りし、顧客が本当に求めているものを探り出すことが必要なのです。

そして、それを基に、商品として形にしていくのです。

この概念を分かりやすく説明するために良く用いられるのが、ドイツのレビット博士が提唱したドリルの穴理論です。

この理論は、ドリルを求めて買い物に来た顧客が本当に求めているのは、ドリルを買うことではなく、穴を開ける事であるというものです。

つまり、この顧客は、ドリルそのものを買うことにこだわっているのではなく、穴を開けたいのであり、穴を開けると言う自身に課せられた課題を解決したいと考えていると言うことなのです。

これまでのビジネスであれば、顧客がドリルを求めているのであれば、より性能の良いドリルを提供しようと考えるのが普通です。

しかし、本当に顧客が求めているのは、性能の良いドリルではなく、課題を解決することなのです。

ブランドや企業が顧客に提供し無ければならないのは、この課題を解決できる商品です。

顧客の視点に立つということは、ここまで顧客のニーズを深堀りして、顧客が求めているものを探り出す事なのです。

顧客のニーズを掘り下げることが重要!

このように、顧客の視点に立ち、顧客を第一に考えると言うことは、顧客の声をそのまま取り入れる事ではなく、顧客のニーズを深く掘り下げて探りだし、それを解決することなのです。

実際に、多くの企業が、これを実践することで、画期的な商品やサービスを提供し、成功しています。

その代表的な事例が、アメリカのUberです。

アメリカでは、タクシーに乗りたくてもなかなか捕まえることができず、さらに、運良く捕まえることができたとしても、会計が複雑で分かりにくく、態度の悪いドライバーに当たることもあります。

このような状況の場合、普通であれば、タクシーを増やしたり、サービスを改善することにより、顧客のニーズを満たせると考えます。

しかし、Uberはこのような安易な発想ではなく、顧客の課題をさらに掘り下げて考え、ライドシェアと言う画期的なサービスを生み出したのです。

また日本の企業にも、このニーズの掘り下げによって、画期的な商品を生み出した事例があります。

それが、任天堂です。

任天堂は、これまでファミコンなど多くの人気ゲームを提供してきましたが、それらは、ファミリーと名がついていながら、実際には、一人で遊ぶことがほとんどでした。

さらに、子供がゲームに熱中しすぎてしまうケースも多くみられるようになり、子供にゲームをさせない家庭や時間制限をする家庭などが増えていたのです。

ここで、通常であれば、制限をかけられる機能を追加するなどの改善策により、ニーズを満たせると考えますが、任天堂は、そこからさらに掘り下げて考え、画期的な家族で楽しむためのゲーム「Nintendo Wii」を開発したのです。

これにより、部屋で一人でゲームをするのではなく、リビングで家族が集まってゲームをすると言う、顧客の本当のニーズを満たすことに成功したのです。

まとめ

現在では、D2Cビジネスに限らず、あらゆるビジネスにおいて、顧客を重視し、まず第一に顧客のことを考える顧客第一主義が求められるようになっています。

しかし、今回説明したように、顧客第一主義とは、顧客の声をそのまま受け取る事ではないのです。

人の心の中には、その人自身も気付いていない心理があります。

それは、ただ会話を交わす程度では、表面には出てこないものです。

本当に、顧客を第一に考えるのであれば、顧客自身も気づいていないその心理を探り出すことが重要であり、それによって、ブランドはこれまでにない画期的な商品やサービスを生み出すことができるのです。