企業や個人が小売店舗や流通業者を介すことなく自社Webサイトで直接消費者に商品を販売する、D2Cビジネスモデルが今、もっとも話題に上がる言葉のひとつでしょう。
アメリカで爆発的な人気があるビジネスモデルですが、ここ数年で日本でもスタートアップ企業を中心にD2Cビジネスを始める企業が多くなってきており、投資家や企業から熱い視線を浴びています。
なぜここまでD2Cビジネスが注目されているのか、それにはインターネットとスマートフォンの普及が考えられるでしょう。
特に若い世代においては、ECだけで買い物を完結させる方も多くなってきているのです。
ECの歴史を振り返ってみると、1990年代後半からインターネットを通じて商品を買うことができるようになり、そこから約30年が経っています。
年々EC利用者は増加傾向にあり、右肩上がりで増え続けており、さらにインターネットを介して得ることができるユーザーの行動ログも飛躍的に増え続けています。
この状態にテクノロジーの革新が追いついてきて、「データドリブン」という考えを持ち、収集したデータをビジネスやマーケティングに実践することが出来るようになりました。
D2Cビジネスを行う上でも、データドリブンは欠かせない要素になることでしょう。
そこで今回は、D2Cビジネスの売り上げを大きく伸ばす「データドリブン」とは何か、詳しくお話させていただきたいと思います。
D2Cビジネスに関する知識を増やしたいと思われている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
データドリブンとは何か、まずはその言葉の意味を見てみましょう。
ドリブンを英語表記にすると「driven」であり、driveの過去分詞になりますが、
直訳すると「走らせる」という意味があります。
そこに「データ」という言葉を合わせることで、常にデータを元に状況を分析し、データによってあらゆる決定を行うことを意味します。
そもそもECにおいて、CTRやCVR、CPAなどのデータは古くからよく用いられるので、この指標をもとにした広告などの施策の費用対効果を判断することは基本的です。
ですが、これだけではデータドリブンとは言えないでしょう。
ECビジネスを展開する上で収集することができるCTRやCVR、CPAはもちろん、特にD2Cビジネスで重要なLTVやチャーンレートなどのさまざまな指標や広告、SNS、オウンドメディアなどの全ての顧客とのタッチポイントで収集することができる、顧客の行動データが含まれるのです。
これらすべてのデータを活用することで、マーケティング戦略の立案、顧客とのコミュニケーション設計や商品開発、物流最適化など、ありとあらゆる選択肢を行うことこそ、データドリブンなのです。
非常に簡単な見方でECを見てみると、「期待値」と「実値」との差が見えてくるでしょう。
ECにおける期待値は、ユーザーがそのブランドに対してかける期待のことであり、実値はそのユーザーが実際に感じるものであると考えてください。
この実値が期待値を上回ることができれば、おそらくユーザーは継続して利用してくれることでしょう。
ですがもし、実値が期待値を下回ってしまえば、ユーザーは二度と商品を購入することはないでしょう。
そして、実値が期待値を上回った差が大きければ大きいほど、自然とLTVは高くなりますが、上回ったとしてもあまり差がなければ一度の購入で終わってしまうかもしれません。
つまり、いかに広告で期待値を作り上げるかということがLTVにかかわってくるのです。
もちろんD2Cビジネスを行う上では、さまざまな指標から多くのデータを得るべきなのですが、
その本質を突き詰めていくとやはり全ては「期待値」と「実値」に紐づいてくるのです。
ある妊活サプリのD2Cブランドは、細胞の活性化として素晴らしく先進的な商品を定期購入として提供を始めました。
ですがビジネススタート当初は、年間で約100個程度しか販売することができず、商品のリニューアルを余儀なくされてしまったのです。
そこでユーザーの期待値そのものを変えることを検討し、同じ商品でありながらも妊活サプリではなく40台以上向けのアンチエイジングサプリとして提供を始めたのです。
妊活という非常に限定的なニーズから、アンチエイジングという間口の広いニーズに変更し、販売価格を変更した後、なんと約3カ月ほどで受注数が6,000件を超えるほどになり、販売額が3,000万円という驚異的な売上を出したのです。
この事例こそまさに、データドリブンなD2Cビジネスの代表例と言えるでしょう。
以上、D2Cビジネスの売り上げを伸ばす「データドリブン」とは何か、ということについてお話させていただきました。
マーケティングにおいて、「ユーザーの声を聞く」ということが重視されますが、D2Cビジネスの場合、一人のユーザーの声のみを聞いて反映させるのではありません。
D2Cビジネスの場合、すべてのユーザーが残した行動データが重要で、
その膨大なデータ新見を見出し、新たな仮説を立て、PDCAを回すことで、ようやく成果を上げることができるのです。
データドリブンは人への理解が求められるものだからこそ、ユーザーの声をしっかり聞き、データドリブンでD2Cビジネスの成果を上げていきましょう。