D2Cビジネスでは、そもそも世界観を構築しファンを生み出すことが求められていました。
それにもかかわらず、市場が拡大し、競争が激しくなったために、従来のビジネスのように、新規の顧客を獲得することばかりに注力するブランドが増えていたのです。
しかし、現在は、多くのビジネスでファンの存在が重要視され始め、D2Cビジネスにおいても、世界観の構築とファンを生み出すことの重要性が再認識されているのです。
そこで今回の記事では、D2Cブランドにファンが欠かせない理由について説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
ファンとは、そもそも熱狂的なと言う意味を持つファナティックと言う言葉の略称で、熱狂的と言う意味から転じて、特定の人物や作品、事象などに対する愛好者や支持者のことを表しています。
このファンの、分かりやすい例が、ミュージシャンやアイドルグループなどのファンですが、人物だけにとどまらず、アニメや漫画などの作品にもファンは多く生み出されており、世界中にファンがいるケースも多く見られます。
ビジネスにおいても、このファンを作り出す事は重要と考えられています。
従来でも、高級ブランドや有名ブランドなどには、必ず熱狂的なファンが存在しています。
そして、このファンを重要視する考えは、近年さらに強まってきているのです。
これは、特に、D2Cブランドにおいては顕著となっています。
実際に、D2Cブランドに対して、2022年に行われたアンケート調査では、現在最も注力している課題はと言う質問に対し、最も多い回答が、ファンを作り出す事となっています。
年実施された同じ調査では、この回答は上位に入ってはおらず、最も多かった回答が、新規顧客の獲得でした。
これは、この年に行われた、同じような調査でも同様の結果となっていました。
しかし、それが、1年後には、順位が大きく入れ替わり、新規顧客の獲得は順位を大きく下げ、ファンを作り出すことがトップとなったのです。
昨年は、ほとんどのD2Cブランドが新規の顧客の獲得に注力していたにも関わらず、たった1年後の現在では、ファンを生み出すことが最も重要であると考えられているのです。
そして、この調査でファンを生み出すことに注力していると答えたD2Cブランドは、具体的には、値引きなどで関心を引くのではなく、顧客との長期的な関係性の構築や、顧客との接点を増やし、顧客をより深く理解することを目指していると回答しています。
つまり、これは、新規の顧客の獲得に注力したものの、それでは成功することができなかったということであり、それよりも顧客と積極的に関わり、ブランドのファンを作り出すことのほうが重要であると多くのブランドが気付いたということなのです。
なぜ、D2Cビジネスにおいても、ファンを生み出すことが重要視されているのかと言うと、それは、消費者がそのブランドのファンとなった場合、簡単に離れることはないと考えられているからです。
ミュージシャンのファンを例にとって考えてみると、ミュージシャンのファンと言うのは、ほとんどが、その人物だけでなく、その楽曲やそのミュージシャンが作り上げた世界観に魅力を感じ、ファンとなります。
そして、そのファンである期間が長くなればなるほど、その忠誠心や愛着心と言うのは強固なものとなるのです。
例え、世間に広く知られるようなヒット曲が生まれなくても、スキャンダルがスクープされても、ミュージシャンのファンは簡単には離れてはいかないのです。
これは、先ほども述べたように、ミュージシャンには、その楽曲も含めて、独自の世界観が構築されており、ファンはそれに共感しているからです。
これが、一介のタレントであった場合、同じようにはいきません。
例えそのタレントが、有名であっても、世界観が構築されていなければ、熱狂的なファンは生まれません。
有名なタレントであれば、消費者が目にする機会も多く、好感を持つ人も大勢います。
しかし、その程度では、そのタレントに何か問題が起った際には、すぐに離れていってしまうのです。
このようなことから、多くのビジネスで、ファンを生み出すことが求められるようになったのです。
特に、D2Cのような新しいビジネスの場合、ブランド名や企業名は全く消費者に知られておらず、全く何もない状態からブランドをスタートさせます。
そのため、ブランドの世界観を構築し、それをSNSなどのデジタルを活用して消費者に訴求し、ファンを作り出すことが重要となるのです。
前述のアンケート結果のように、一時は、新規の顧客の獲得に注力するD2Cブランドも多いようですが、結局は、ファンを作り出すことのほうが重要であると考えるようになるのです。
D2Cビジネスは、新しく立ち上げられるケースが多く、それ故に、スタート時には、消費者に全く知られていないことがほとんどです。
成功しているD2Cブランドは、そこから、SNSなどを活用し、地道にファンを作り出してきたのです。
現在は、D2Cブランドが増え過ぎていることから、その方法では、消費者の関心を引くことが難しく、広告などに頼るケースも増えています。
しかし、そのように集められた消費者が顧客として定着する可能性は低く、その点に気付いたブランドが、結局、ファンを作り出すことを求めるようになっているのです。