現在、ビジネスにおいて重要視されている概念に、ブランドエクイティと言うものがあります。
これは、ブランドを作り出すためには、欠かせないものと言われており、D2Cブランドにおいても重要視されるようになっています。
そこで今回の記事では、D2Cで重要視されるブランドエクイティについて説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
ブランドと聞くと人は、高級ブランドや有名ブランドのことを思い浮かべることが多いですが、それらはブランドの中の一部にすぎません。
高級かどうかや有名かどうかは問題ではなく、例え安価な商品であってもブランドとなり得ますし、小さな企業であってもブランドを持つことは可能なのです。
しかし、企業がブランドを作り出したからと言って、それがすぐにブランドとして認知してもらえるわけではありません。
ブランドとなるためには、そのブランドの価値を高め、消費者から認知され、支持されなくてはなりません。
そして、そのために重要視されているのが、ブランドエクイティなのです。
このブランドエクイティとは、ブランドが持っている資産の集合体のことを表しています。
例えば、高級ブランドでは、ブランドが商品の価格などに大きな影響を与えています。
これが、ブランドの形の無い価値であり、この価値を表したものがブランドエクイティなのです。
ただし、この概念は、通常の資産だけを指しているのではありません。
一般的に資産とは利益となるもの、また生み出すものを指しますが、この概念では、その中に負債も含めて表されます。
つまり、ブランドの良い面だけではなく、悪い面も含めた総合的な価値を表しているのです。
この概念を確立することは、消費者にも企業にも大きなメリットをもたらします。
消費者からすると、これが確立されたブランドは、商品を購入することに安心感があり、商品やブランドに対しても信頼感を持つことができるのです。
一方、企業からすると、顧客満足度を高めることができるため、リピーターを増やすことができ、それを継続していけば、ブランドに対し、愛着や信頼を持ってもらうことができるようになるのです。
さらに、企業にとって大きなメリットとなるのが、競合との差別化が可能となるという点です。
これにより価格競争から解放され、安定した経営ができるようにもなるのです。
この概念は、5つの要素から成り立っており、まずは、これらを理解することが必要です。
その1つ目の要素が、名前の認知です。
これはブランドの名前がどれくらい知られているかと言う度合いのことを指しています。
一般に名が広く知られているブランドのほうが、より安心感があるため、消費者から選ばれる可能性が高くなるのです。
2つ目の要素が、知覚品質です。これは、消費者がそのブランドに対して持っている、品質のイメージのことを指しています。
3つ目の要素が、ブランドロイヤルティです。
これは、ブランドにどれだけ愛着を持っているか、その度合いを表しています。
これを向上させることができれば、リピート率も向上し、経営を安定させることができるようになります。
4つ目の要素が、ブランド連想です。
これは、消費者がブランドの名前を聞いたときに思い浮かべるイメージのことを指しています。
最後の5つ目の要素が、その他の所有権のある資産です。
これは、ブランドが持つ、ブランドの他の形のない資産のことであり、商標権や特許などがこれに該当します。
D2Cブランドにおいても、この概念は重要とされていますが、時間をかけて構築していくものであるため、確立しているケースはそう多くありません。
しかし、ブランドとして長く成長していくためには、欠かせないことであるのです。
例えば、D2Cブランドではありませんが、この概念の構築に成功しているのが、無印良品です。
このブランドは、1998年に上場を果たしていますが、それ以降、現在に至るまで長く成長し続けているのです。
そして、この成功の要因が、ブランドエクイティなのです。
一般的に、ブランドはカテゴリーを絞って、その中で上を目指していきますが、このブランドは、カテゴリーをあえて絞らずに、ブランド全体にそのコンセプトを徹底させたのです。
これによって、無印良品と言えば、シンプルと言うイメージを作りあげ、それを消費者に広く認知させ、この概念をを確立したのです。
この事例は、世界的にも知られている好事例であり、D2Cブランドもこのような事例を参考に、この概念を構築していくことが求められているのです。
今回説明した概念は、D2Cブランドに限らず、ブランドを作り出すためには、欠かせないものです。
既に、これを確立しているブランドは、今回説明した事例にように、長く消費者から支持されるブランドへと成長しています。
しかし、これは簡単にできることではありません。長い時間をかけ、地道にブランドを構築していくことが重要となるのです。