D2Cは、商品の企画、製造、広告、販売まで、すべての工程を自社で一貫して行うビジネスモデルであり、近年、急速に成長しています。
このD2Cが成長を遂げているのは、デジタル化が加速している現在の状況に、最も適しているビジネスモデルであるからだと言えますが、他にも重要なポイントがいくつもあるのです。
そこで今回の記事では、D2Cに必要なポイントについて説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
Contents
現在D2C市場は、急激に拡大化しており、その理由の一つとして挙げられるのが、広告業界の変化と考えられています。
従来の広告は、企業やメーカーが広告代理店を通し、マスメディアで全配信を行うと言うのが一般的でした。
これはマス広告と呼ばれ、興味を持った消費者が商品を店頭で購入すると言う仕組みであったのです。
しかし、近年、スマートフォンが消費者に本格的に普及したことにより、消費者の居場所がマスからデジタルへ変化してきているのです。
これにより、広告もマス広告からデジタル広告へと大きく変化をしているのです。
このデジタル広告は、企業やメーカーがSNSなどを利用し、興味のある消費者だけに直接配信することが可能な広告です。
それぞれの消費者に合わせ、コストをかけずに広告の配信が可能となり、広告配信にかかるリスクを最小限に抑えることができるのです。
また、最近では、アドテクノロジーの進化により、より正確なターゲティングが可能となっており、さらに的確にターゲットとなる消費者にアプローチすることができるようになっています。
つまり、マス広告からデジタル広告へと広告業界が大きく様変わりしたことにより、新しいブランドが、消費者にリーチできる販売チャネルを、従来より簡単に、しかもコストをかけずに構築することができるようになったのです。
これにより、新規ブランドであっても、業界に参入することが容易となり、D2Cと言うビジネスモデルがもてはやされるようになったのです。
また、消費者の側の消費行動や心理の変化も、理由の一つとして挙げることができます。
技術が進化し、市場の商品の機能や品質にそれほど差がなくなったことにより、消費者の商品やサービスに求める価値観が大きく変化しているのです。
従来では、消費者の多くは、商品を購入する際に、商品の機能的な価値を重視していました。
例えば、冷蔵庫であれば、食品を冷やす機能、凍らせる機能などを重視したのです。
しかし、現在では、冷蔵庫の性能にはそれほど差はなくなり、どの商品を購入しても冷蔵庫として機能としては十分と言える商品が揃っています。
その中で、消費者は、冷蔵庫の他の面に価値を見出していくようになったのです。
例えば、インテリアと合うようなデザインやカラーであることや、一見冷蔵庫には見えないデザインと言った、情緒的な価値に重きを置くようになっているのです。
つまり、商品の性能ではなく、そのブランド独自のコンセプトや世界観を提供している商品やサービスを、消費者の多くが選択するようになったのです。
さらに、ビジネスモデルの変化も理由の一つです。
近年、従来の売り切り型のビジネスモデルに代わり、サブスクリプションと言うビジネスモデルが広く普及しています。
このサブスクリプションは、従来の企業が起点となるビジネスとは異なり、顧客起点で拡大させていくビジネスです。
音楽や動画配信などから広まったこのサブスクリプションは、現在では、既に消費者の生活に根付いており、モノを購入し所有するという常識が、モノを必要な時に利用することに代わってきているのです。
この変化により、資金力のある大手企業でなくても、既存の市場で勝負することが可能となったのです。
現在、D2Cが注目を集めているのには、上記のような理由があり、今後もこの流れは続いていくことが予想されています。
しかし、いくら、D2Cが時代に合っているからと言っても、すべてのD2Cブランドが成功できるわけではありません。
D2Cには、従来とは異なる特徴があり、その特徴を重要なポイントとして正しく理解することが大切なのです。
そのポイントのまず1つ目はデジタルファーストであることです。
現在では、まずデジタルを第一に考えることが重要です。その後事業が安定し、さらなる事業の拡大を考えた場合に、実店舗や卸などの展開が見えてくるのです。
2つ目のポイントは、消費者に有益な体験を与える価値のあるプロダクトを作り出すことです。
現在の消費者は、企業起点で提供される商品やサービスでは満足しなくなっています。
消費者が求めるのは、その商品やサービスを利用することで価値のある体験ができることなのです。
3つ目のポイントは、サプライチェーンのスリム化です。
デジタルファーストを実現するためには、物流などサプライチェーンのすべてを管理することが必要になります。
これは、大変なことではありますが、これによりコストの管理が可能となり、顧客接点に一貫性を持たせることもできるのです。
4つ目のポイントは、消費者とダイレクトに対話をすることです。
デジタルファーストを実現すれば、商品の企画段階から消費者と直接対話することが可能であり、それを商品販売後も続けることができます。
そして、そこで得られた実際の消費者の声を商品やサービスの改善、新たな商品開発、マーケティングの改善に繋げることが可能となるのです。
5つ目のポイントは、顧客データを管理し、活用することです。
D2Cでは、すべての工程が自社の管理下に置かれるため、精度の高い顧客データを活用することが可能となります。
顧客とコミュニケーションをとることも重要ですが、顧客の行動をデータ化し、分析することも重要であり、両者をうまく活用していくことが必要となるのです。
6つ目のポイントは、ブランドの世界観を貫き、棄損しないことです。
D2Cは、一貫したブランディングが行いやすく、ブランドの世界観を従来よりも容易に構築することができます。
それにより、消費者を熱狂的なファンとすることも可能となりますが、この世界観と言うのは簡単に棄損されてしまうものでもあるのです。
例えば、商品の性能を下げたり、安易に価格を下げてセールを行うと言うような事で、簡単に消費者は離れてしまうのです。
作り上げたイメージを保つためには、ブランドの価値を下げるような行為をしないことが重要なのです。
D2Cが注目度の高いビジネスモデルであっても、誰もが簡単に成功できるわけではありません。
成功するためには、今回説明したように、D2Cがなぜ求められているのか、D2Cに必要なことは何かということを、正しく理解することが大切なのです。