D2Cは、デジタルを活用したビジネスモデルとして、若い世代を中心に人気を集めています。
しかし、日本の人口は若い世代よりも圧倒的にシニア世代が多いのが現状であり、ビジネスにおいてもシニア世代を無視することはできないのです。
これはD2Cでも同様であり、デジタルに慣れていないシニア世代を取り込むことが求められているのです。
そこで今回の記事では、D2Cでシニア世代を取り込むための方法について説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
D2Cは、商品の企画から販売に至るまでのすべての工程を、広告代理店や小売店などの中間業者を介さずに自社で内製する仕組みのビジネスモデルであり、ここ数年の間に急速に成長しています。
特にアパレル業界に広く普及しており、多くのブランドがこのビジネスモデルを採用しています。
このD2Cは中間業者を介さない代わりに、デジタルを最大限に活用するという特徴があり、マーケティングにはSNSを活用し、販売には自社ECを利用するのが基本的な仕組みとなっています。
自社ですべてを内製する事からブランドの世界観やイメージを統一することが容易であり、商品そのものだけでなく、ブランドの世界観を強く訴求するブランドが多いというのも特徴の一つです。
このD2Cは、アメリカで誕生したビジネスモデルであり、現在は世界中に広く普及しています。
日本国内においても定着しつつありますが、デジタルを活用するという特性上D2Cを利用する消費者は限られており、デジタルネイティブと呼ばれる世代を中心としたデジタルに親和性の高い世代が主にD2Cを利用しているのです。
このデジタルネイティブと呼ばれる世代は、1980年以降に生まれたミレニアル世代、Z世代と呼ばれる若い世代であり、この世代が現在D2Cのターゲットであり、今後は消費全体の中心となると言われています。
そしてこの世代の大きな特徴が、成長する段階もしくは生まれた時からインターネットやスマートフォンといったデジタルが身近にあった為に、デジタルに対し全く抵抗がないということです。
それ故にこれらの世代はデジタルネイティブ世代と呼ばれ、日常生活にデジタルが欠かせないものとなっているのです。
これらの世代はデジタルに抵抗がないわけですから、インターネットを利用した消費にも積極的であり、実店舗での買い物よりもオンラインショッピングを好む傾向があります。
しかしその一方でこれらの世代はそもそもが消費に消極的で倹約傾向が高く、慎重に消費活動を行う世代でもあるのです。
この世代の消費に対する考えは無駄な消費をせず、本当に必要なもの、欲しいと思ったものを購入するというのが一般的です。
従来のように、高級ブランドや安価なトレンド商品などにはあまり関心がなく、ブランドに関係なく自身がそれを気に入るかどうかを判断の基準とするのです。
この特徴は、D2Cのブランドの世界観を追求するという考えと合致するものであり、それ故にこれらの世代はD2Cを利用することが増えているのです。
このように、D2Cはデジタルに精通し、ブランドの世界観に共感してくれる若い世代をターゲットとしているのです。
しかし、日本は少子高齢化が著しく進んでいる国であり、若い世代よりも圧倒的にシニア世代のほうが多いのです。
そして、このシニア世代はシニアと一言に言ってもその年齢層の幅は広く、若いシニア世代の中には現役のシニア世代も多く存在しています。
この若いシニア世代は消費にも積極的であり、ビジネスとして無視することはできない存在です。
デジタルネイティブ世代には及ばなくても、デジタルに関心の高いシニアも多いため、現段階ではD2Cでもこれらの世代を取り込むことが必要なのです。
D2Cにおいてシニア世代を取り込むためには、若い世代とは異なるアプローチが必要となります。
しかし気を付けなければならないのが、シニア世代をターゲットとする場合に年寄扱いをしてはいけないということです。
シニア世代に入ったばかりの世代は現在も活発に行動し、自身もまだ若いと考えていることがほとんどです。
実際に現代のシニア世代は、健康にも気を配っているため若々しい人が多いのです。
このシニア世代の価値観を無視して年寄り向けのアプローチを行っても、シニア世代に受け入れられることはありません。
シニア世代のライフスタイルや価値観を正しく理解し、それに即したアプローチをすることが重要なのです。
ただし、年寄扱いをしないからと言って若い世代と同じコンテンツを提供するのは問題があります。
シニア世代は年寄扱いを好まないとはいえ、実際には視力や理解力は衰えているのです。
そのためシニア世代に向けたアプローチは、シンプルで分かりやすいことが必要です。
複雑なコンテンツは画像の多様などはシニア世代を混乱させてしまうことがあるため、メッセージは明確に伝える必要があるのです。
また、シニア世代はECの利用に慣れておらず抵抗感もあるため、分かりやすいサイトを構築しなくてはなりません。
購入手続きの手順を簡略化する、ボタンを大きく見やすくするなど、とにかく分かりやすくすることが必要なのです。
シニア世代は多くのブランドのターゲットから外れていますが、実際に多くのお金を使ってくれるのはこの世代であり、若い世代よりも人数が多いのです。
ECの利用に不慣れで抵抗感を持っているシニア世代は多いですが、一度利用すれば継続して利用してくれる可能性は非常に高くなります。
それ故に、上手く取り込むことができれば大きな収益に繋げることができるのです。
デジタルに抵抗を持つ世代を取り込むのは簡単なことではありませんが、抵抗がある一方で利用してみたいと考えているシニアも多いため、シニアの特性を理解し、今回説明したように上手くアプローチすることが重要となるのです。