今注目を集める「D2C」は「SPA」と何が違うのか?

2000年代後半から徐々に注目を集めている「D2C」ビジネスモデル。

特にアパレル業界や美容業界に携わっている方であれば、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

D2Cは、インターネットやスマートフォンの普及に伴い、ECコマースが拡大し、海外はもちろん日本国内でも需要が伸び続けているビジネスモデルです。

D2Cの仕組みは、ブランドやメーカーが自社内で企画、製造した商品を自社ECチャネルを用いて消費者へ直接販売する仕組みのことを言います。

メーカー直販型とも言われるこのビジネスモデルは、D2CだけでなくSPAと類似する点が多いので、D2CとSPAを混合して理解してしまっている方も多いのではないでしょうか。

D2CとSPAは、同一のビジネスモデルと認識されていることも多いのですが、実はその本質には大きな違いがあることをご存知でしょうか。

そこで今回は、今注目を集める「D2C」は「SPA」と何が違うのか、ということについて詳しくお話していきたいと思います。

今後D2Cビジネスの展開を検討されている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

「SPA」とは

SPAとは、Speciality store retailer of Private label Apparelの略称であり、日本語では「製造小売」と呼ばれています。

メーカー直販型のビジネスモデルとして知られており、アパレル分野を中心にその市場が拡大しているのです。

企業が商品の製造から消費者の手元に届くまでを一貫して行われており、たとえば大手ファッションブランドである「ユニクロ」「ZARA」などが、SPAビジネスモデルを導入した代表的なブランドですね。

消費者ニーズや時代のトレンドを敏感に素早くキャッチし、そしてそれを自社内で製造し販売することで、早く消費者のもとへ商品を提供することができますし、仲介業者を介していないためにコストを削減し利益率を求められることも大きなメリットでしょう。

「D2C」とは

D2Cとは、Direct to Consumerの略称であり、SPAと同様にブランドや企業が商品の企画から製造、販売までを一貫して担うビジネスモデルです。

ですがD2Cでは、流行やトレンドを追い、時代に沿ったモノを提供するのではなく、自社のオリジナルストーリーや哲学、世界観を重視しています。

商品はもちろんWebサイトやSNS、店舗までも、一貫したブランドの世界観を提供しており、「ただ商品を販売するのではなく、それにまつわるライフスタイルを販売する」という考えこそ、多くのD2Cブランドに共通する考え方なのです。

SPAとは違い、D2Cではブランドストーリーやブランドイメージを強く意識した戦略を持っているのです。

「SPA」と「D2C」の違い

効率性と世界観

まず一つ目の違いは、ユーザーに効率性を売るのか、それとも世界観を売るのか、というところでしょう。

上記で説明した通り、SPAビジネスモデルの場合は、他社ブランドよりもいち早くトレンドとニーズを把握して、それをもとにした商品んをいかに効率よく商品化し、消費者の元へ届けることができるか、ということを重要視しています。

「より良い商品をより早く」そしてその結果「利益率を高める」ということに注力しています。

それとは違いD2Cビジネスモデルの場合は、最重要視すべきものはブランドの世界観であり、ブランドイメージやライフスタイルを重視し、商品をただのモノと捉えるのではなく、もう一歩踏み込んだ先のブランドストーリーの構築が重要になってきます。

SPAのようにトレンドや流行に左右されず、あくまでも自社が定めた一貫した世界観に基づいた商品やサービスを提供し、この世界観に教官したユーザーが商品を購入するという仕組みになっています。

アプローチ方法

二つ目の違いは、ユーザーへのアプローチ方法でしょう。

SPAビジネスモデルの場合、効率性を重視し、効率的に利益率をあげることを目的としているため、リスティング広告やWeb広告などを活用し、的確にユーザーにアプローチをすることが基本でしょう。

ですがD2Cビジネスモデルの場合、企業やブランドが発信するSNSやオウンドメディアこそ、ビジネスのマーケティングの中心となるものです。

そうなるとSPAのような即効性は意識できないものの、ブランドの世界観を伝えるには非常に良いマーケティングツールなのです。

ですので、SNSやオウンドメディアとD2Cビジネスモデルは、非常に相性が良く必要不可欠だと考えられています。

また、SNSではユーザーとコミュニケーションがとりやすく、良好な関係を築きやすいので、中長期的にLTVの向上を目指すことができるでしょう。

まとめ

以上、今注目を集める「D2C」は「SPA」と何が違うのか、ということについてお話させていただきました。

両者の本質に大きな違いがあることをお分かりいただけましたでしょうか。

どちらにおいてもアパレル業界などとは非常に相性がよく、今注目を集めているビジネスモデルですので、自社ブランドに合っているほうがどちらなのか、しっかり検討して決断してくださいね。