D2Cビジネスで知っておくべきユニットエコノミクスの考え方

ここ数年、消費者の消費形態が大きく変わり、顧客と企業との繋がりも大きく変化しています。

この変化を象徴するビジネスモデルこそ、「D2Cビジネス」でしょう。

D2Cと聞くと、デジタルを中心とした直販型のビジネスモデルだと思われがちですが、アパレルや生活用品など実体のあるものを取り扱う企業を中心に、導入が始まっているのです。

ですが「D2C」と聞くと言葉は新しいものの、そもそも「顧客との繋がり」という概念から見ると、新しいモデルではありません。

ですがやはり、D2CはインターネットやWebマーケティングによって進展し、発展したビジネスモデルであり、Webやデジタルを積極的に活用し、存在感を増す企業が増え改めてD2Cビジネスが注目されているのでしょう。

D2Cビジネスを行う際、「ユニットエコノミクス」という言葉を耳にすることが多くなるでしょう。

ユニットエコノミクスとは、ビジネススタートを飛躍させるためには、非常に重要な概念です。

そこで今回は、D2Cビジネスで知っておくべきユニットエコノミクスの考え方についてお話させていただきたいと思います。

これからD2Cビジネスの展開を検討されている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

ユニットエコノミクスとは

ユニットエコノミクスとは、顧客一人を獲得するためにどれほど儲かって、どれほど損をしているのかということを客観的に判断する指標です。

D2Cビジネスでは今、特に定期通販モデルが多くなっています。

定期通販モデルでは、まず新規顧客獲得のための活動を行い、獲得した顧客により長く自社商品やサービスを利用し続けてもらうことで初めて利益が生まれます。

ですのでビジネス開始当初は、先行的に投資をしてその投資した分を時間をかけて回収していきます。

だからこそD2Cビジネス開始当初はどうしても赤字が出てしまい、なかなか利益を回収できなければ赤字の状態が続いてしまいます。

ですが、今現状は赤字であったとしても中長期的に見て儲かると分かれば、顧客獲得を進めるべきだという判断基準になるでしょう。

つまり、赤字であることは悪いというわけではなく、D2Cビジネスは中長期的に儲けるためのビジネスモデルだという根拠を持ってビジネスを進めることが重要です。

特にD2Cビジネスはスタートアップ企業が多く、初期段階で赤字を出しビジネスの急成長を狙いますので、ビジネスが健全な状態ではないものの、できるだけ早く健全な状態にすることが重要です。

ユニットエコノミクスの考え方

一般的にユニットエコノミクスの計算は、

「解約率」「ARPU」「LTV」

以上の3つの指標を用います。

解約率は「月末の解約者数/月初の利用者数」という計算式で算出することができます。

ARPUは顧客一人当たりの平均売上でありますので、月々で計算することが多い指標です。

たとえばD2Cビジネスとしての定期通販型モデルで、初回価格、二回目以降の定期価格を考え、初回価格が1,500円、二回目以降の定期価格が3,000円で毎月の比率として新規顧客が20%、継続顧客が80%であるとしましょう。

この場合、(1,500円×20%+3,000円×80%)÷100=2,700円という計算方式になります。

この結果はもちろん高いほうが良いのですが、あまりにも高額であると解約率も高くなってしまいますので、解約率をしっかり見極めプライシングを行いましょう。

そして、LTVは「ARPU÷解約率」で算出することができます。

大前提として、ユニットエコノミクスはプラスでなければなりません。

もしスタートアップ企業の初期時期のように、まだマネタイズが出来ていない場合ではマイナスになることは避けられないのですが、基本的にはその状態から早く抜け出しプラスになるように調整しなければなりません。

目安としては、LTVが顧客獲得単価の3倍以上であれば健全な状態だと言われていますので、中期的に自社が目指す指標をしっかり明確にしておきましょう。

目標値を明確にしておくことで自社には今何が足りていないのか、何をすべきなのかということが分かってくるでしょう。

まとめ

以上、D2Cビジネスで知っておくべきユニットエコノミクスの考え方についてお話させていただきました。

D2Cビジネスでの初期段階では、ビジネスの成長が求められます。

赤字を出しながらも日々の成長が求められるD2Cビジネスだからこそ、ユニットエコノミクスの考え方は欠かすことができません。

もちろん、LTVやCPAは常に変わり続けるものでありますので時間が経てば不健全になってしまうという場合も少なくはありません。

D2Cビジネスの将来性を判断するための指標としても、この考え方をしっかり学び、D2Cビジネスに活かしてくださいね。