日本とアメリカのD2Cの違いとは?

現在市場では、D2Cと言うビジネスモデルが注目を集めています。

このD2Cは、2010年にアメリカで誕生し、現在は中国や日本を中心に世界中に広まりを見せていますが、日本におけるD2Cは本家のアメリカのD2Cとは違いがあります。

そこで今回の記事では、日本とアメリカのD2Cの違いについて説明したいと思います。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

D2Cとは何か?

D2Cは、Direct to consumerの略称で、商品の企画、製造から販売までを、仲介業者などを挟まずに、自社でそれらすべてを一貫して行うビジネスモデルです。

また、D2Cは基本的に、商品の販売を自社ECサイトでのみ行うと言う特徴があります。

実店舗を持つ場合もありますが、それは展示場としての役割であり、販売を行うことはありません。

このD2Cと混同されやすいビジネスモデルとして、BtoCがありますが、これは、対消費者であるという点で似てはいますが、BtoCは基本的に仲介業者を挟むため、その点で大きく異なります。

また、SPAと混同されることもありますが、SPAは実店舗での販売も行うため、こちらもその点で異なります。

仲介業者などを挟むことなく、自社ECサイトを中心として販売を行い、基本的に実店舗での販売を行わないのがD2Cの大きな特徴なのです。

D2Cのメリット・デメリットとは?

上記のように、D2Cは、消費者に商品を届けるまでのすべてを自社で行います。

そのため、商品の企画の段階からブランドの世界観を構築することが可能であり、自社ECを利用して一貫したブランディングを自由に行うことができると言う大きなメリットがあるのです。

そして、これにより、ブランドのイメージを常に保つことができ、顧客をブランドのファン化することが容易となるのです。

また、このブランディングやマーケティングは、主にInstaglamやFacebookなどのSNSを活用して行われます。

従来のように、リスティング広告などのマーケティングを行う必要がないため、マーケティングコストがかからないと言う点も大きなメリットです。

さらに、仲介業者を通さない、実店舗を持たないと言う特徴も、大幅なコストの削減を可能としているのです。

ただし、メリットばかりが取りざたされるD2Cにおいても、デメリットは存在します。

そのデメリットの一つが、商品やブランドの認知度が全くないため、ユーザーに認知されるための難易度が高いことです。

また、D2Cの大きなメリットでもある、全てを自社で行うと言うことは、言い換えれば、全てを自社で行わなければならないと言うデメリットにもなります。

他社の力を借りることはできないため、自社内で、商品の製造から、マーケティング、ブランディング、販売に至るまでの幅広い知識やノウハウが必要となるのです。

日本とアメリカにおけるD2Cの違いとは?

D2Cは、2010年頃にアメリカで誕生し、世界に広まったビジネスモデルであり、前述のように、自社で商品の企画、製造から販売までを、仲介業者などを挟まずに一貫して行うのは、日本だけでなくどこの国においても共通です。

しかし、日本とアメリカのD2Cでは異なる点も存在しています。

アメリカにおけるD2Cは、最先端の分野において、多くのユーザーの支持を集め、膨大な投資を受けることで成立しています。

そのため、ビジネスの規模としては非常に大きいのが特徴です。

一方で、日本のD2Cは、ビジネスとしての規模はアメリカよりも小さいため、地味な印象を受けます。

これは、日本では、多少価格が高くても質の良いものであれば売れる傾向が高いからです。

日本には、古来より受け継がれた伝統工芸など、丁寧なものづくりにこだわる風習があります。

そして、そのこだわりは熱狂的なファンを生み、その強いつながりによってビジネスが成立してきたのです。

このこだわりのものづくりと言うのは、日本人には親しみやすく、受けが良いものであり、大々的にアピールをしなくとも消費者からの支持を得ることができるのです。

また、その一方で、日本には価格が安くても、十分に質が良いものも多く存在しています。

つまり、これは、コストパフォーマンスが良い商品のことを指していますが、現在の日本は技術の進化により、商品の性能や品質が全体的に向上しているのです。

そのため商品に明確な差がなくなり、安い価格で、十分使用できる質の良い商品が市場に溢れるように存在しているのです。

実際に、100円均一ショップなどにも質の良い商品がありますし、アパレルであれば、ユニクロやしまむらなどで、低価格で質の良い商品をいつでも購入することが可能です。

そのため、日本においては、価格が安くてそれなりに質の良いものではなく、価格が高くてもこだわって作られた質の良いものが、ユーザーからの支持を集めることができるのです。

一方アメリカには、これらのような価格が安くても、十分質の良いものと言うのはなかなかありません。

価格が安ければ質が悪く、質が良ければ価格は高いのが当然なのです。

従って、アメリカのD2Cにおいては、安くて質の良いものが高い支持を得る傾向が高くなるのです。

まとめ

D2Cは、アメリカで誕生したビジネスモデルではありますが、日本では、日本人の気質に合うように、アメリカとは異なる進化を遂げています。

そもそも、アメリカと日本人のビジネスの捉え方やモノづくりには大きな違いがあります。

そのため、仕組みは同じであっても、その内容は変化していくのが当然のことなのです。

アメリカではユーザーに高い支持を得ているモノであっても、それが日本で受け入れられるとは限らないですし、その反対に、日本人がこだわって作った商品がアメリカで受け入れられるとは限らないのです。

それぞれの国には、それぞれの特色があり、それに合わせてビジネスモデルも変化していくのが当たり前のことなのです。