D2Cは、自社ECにおいて消費者に商品を直接販売する仕組みのビジネスモデルであり、全てをデジタルで完結できると言うのが大きな特徴となっています。
しかし、最近ではD2Cブランドが増加し、競争が激しくなった事により、実店舗の運営に乗り出すブランドが増えてきています。
そして、それらのブランドは、実店舗の利点を生かし、売り上げを向上させているのです。
そこで今回の記事では、D2Cブランドを成長させる実店舗の役割について説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
D2Cは、商品の企画、生産から広告、販売に至るまでを自社で一貫して行う仕組みのビジネスモデルであり、マーケティングにはSNSを活用し、販売を自社ECのみで行うと言う特徴があります。
中間業者を介さず、実店舗を持たないため、その分のコストを削減することが可能であり、品質の良い商品を従来よりも低価格で販売することができるのです。
このビジネスモデルは、アメリカで誕生し、2013年頃から日本国内に普及し始めましたが、注目度が高く、短期間で多くのブランドが立ち上げられたため、現在市場は急激に拡大化しています。
そのため、D2Cブランド同志の競争も激しくなっており、顧客の獲得が難しくなっているのが現状です。
こういった事情により、多くのD2Cブランドが、自社ECやSNS以外の新たな顧客獲得のチャネルを模索しています。
そして、そのチャネルとして注目されているのが実店舗の運営です。
実際に、自社ECのみで販売を行っていたD2Cブランドの多くが、実店舗の運営に乗り出しているのです。
ただし、それらのD2Cブランドでは実店舗を販売のチャネルとしてではなく、顧客と接点を持つ場所として考えています。
実店舗で実際に商品を体験してもらい、直接コミュニケーションをとる事で、ECで取り込むことができなかった層にアプローチすることを目的としているのです。
現在では、ECで買い物をするのは一般的なことになりましたが、実際に商品を見てから購入したいと考える消費者は多く存在しています。
また、今ではSNSやECでコミュニケーションをとることも可能ではありますが、これもまた、直接向き合ってコミュニケーションをとりたいと考える消費者は意外と多いのです。
そのため、多くのD2Cブランドが実店舗と言う新たな顧客との接点を作り出しているのです。
実際に、実店舗を活用している事例として、オーダースーツのブランド「FABRIC TOKYO」があります。
このブランドは、ビジネススーツのオーダーメイドを中心として展開しており、低迷が続くメンズアパレル業界において、現在も成長をし続けているD2Cブランドです。
オーダースーツの民主化をコンセプトに、顧客一人一人に合わせた高品質なスーツを、従来よりも低価格で提供しています。
そして、ショールームの形で実店舗を設け、採寸や試着ができるようにしているのです。
そもそも、スーツだけに限らず、アパレル商品は店舗において試着をしてから購入するのが一般的であり、そのためにアパレル業界のEC化は遅れていました。
現在では、試着にこだわらず、日常的にECでアパレル商品を購入する若い世代が増えてきてはいますが、オーダーメイドのビジネススーツとなれば、実際に店舗で採寸してほしいと考える顧客が多いのは当然のことと言えるのです。
そのため、このブランドでは、実店舗において、商品の実物を確認してもらい、採寸ができるようにしているのです。
そして、この採寸したデータは初回に登録しておけば、以降はECから簡単に注文できるようになっています。
このオンラインとオフライン、両者の強みを生かした仕組みが顧客から高い支持を得ており、リピーターを確実に増やしているのです。
このブランドの事例は、ECと実店舗の利点を最大限に活かした好事例と言えます。
実店舗において、顧客に実際に商品を体験してもらい、ECで利便性の高い買い物の体験をしてもらうことにより、顧客満足度を高め、リピート率を高めているのです。
実店舗を持たず、自社ECのみで販売をすると言うのは、D2Cの特徴であり、それによって実店舗にかかるコストを削減できると言う利点がありました。
しかし、D2Cと言うビジネスモデルは、顧客と常にコミュニケーションをとり、顧客の商品体験を重要視するビジネスモデルでもあるのです。
そして、そのコミュニケーションや商品体験と言うのは、顧客と直接向き合うことのできる実店舗であれば尚更実践しやすく、顧客の印象に強く残りやすいものとなるのです。
もちろん、ECやSNSでコミュニケーションをとることは可能ですし、顧客の商品購入後の商品体験を共有することもできます。
実際に、多くのD2Cブランドは、デジタルを駆使して顧客の心をつかみ成長してきました。
しかし、D2Cと言うビジネスモデルが広く普及し、市場が拡大化している現在では、それだけでは生き残ることができなくなってきているのです。
そこで多くのD2Cブランドが、実店舗と言うチャネルの有効な活用を模索しているのです。