飲食サブスクの成功のポイントは顧客データの活用にある!

サブスクリプション市場は、年々拡大を続け、2020年も様々なサービスが提供されています。

その中で、特に注目を集めているのが飲食系のサブスクリプションです。

しかし、多くの飲食店がサービスの提供を始めてはいますが、思うように集客できず苦労しているケースも多いようです。

そこで今回の記事では、飲食サブスクの成功のポイントについて説明したいと思います。

飲食サブスクの現状

サブスクリプションは、定められた額を支払うことにより、一定の期間商品やサービスを利用することができるサービスです。

近年注目を集めているビジネスモデルであり、あらゆるジャンルのサービスが提供されています。

ソフトウェア、動画、音楽などの配信サービスが良く知られていますが、現在では飲食店もサブスクサービスを提供しています。

飲食店サブスクが、世間に広く知られるようになったのは、焼き肉チェーン「牛角」が始めたサービスがきっかけです。

牛角では、月額料金1万1000円で、3480円の90分食べ放題のコースが、その月の間何回でも利用することができる「焼き肉食べ放題PASS」と言うサブスクサービスを3店舗限定で始めました。

この設定料金は消費者にとって非常にお得なものであり、3回利用すれば元が取れることから、想定外の人気を集めることとなります。

対象となった3店舗にはサブスク客が詰め掛け、予約で連日満席となり、一般の客が入れないような状態になってしまいます。

その状況を重く見た牛角は、「焼き肉食べ放題PASS」の販売を中止し、それ以前の購入者に対しては、対象の店舗を増やすと言う対応を行いました。

この一連の騒動が大きな話題となり、牛角のサブスクだけでなく、飲食店のサブスクが注目を集めるようになったのです。

この騒動の後、牛角は、メニューや利用時間を限定したサブスクサービスの提供を始めましたが、短期間で販売を終了しています。

これらのサービスはあくまでも試験的に販売されたものであり、どのようなサービスが効果があるのかを現在も模索している段階と言えます。

なぜ飲食店はサブスクサービスを始めるのか?

この牛角の一連の騒動により、飲食店のサブスクは一躍有名となりましたが、それ以前から居酒屋での飲み放題サブスク、コーヒー店のコーヒー飲み放題サブスクなど、飲食店のサブスクは存在しており、これをきっかけにさらに大きく広がりを見せています。

このような飲食店のサブスクが広まりを見せる背景には、集客が難しくなっているという現状があります。

消費者の選択肢が増えている中では、相当の魅力がなければ消費者はわざわざお店まで足を運んではくれません。

従来のように、消費者がお店を探して来店してくれるのを待つと言う時代ではなくなっているのです。

このような状況の中で、多くの飲食店がサブスクサービスの提供を始めるのは、店舗にとって多くのメリットが存在しているからです。

そのメリットとしてまず挙げられるのは、前述の牛角の例のように、話題になりやすく、SNSでの拡散も期待できるということです。

また、飲食店サブスクのほとんどは、定期券方式であるため、店舗のリピーターを獲得することができると言うのもメリットの一つです。

さらに、定期券方式は、先に代金を支払ってもらうことができ、売り上げを先に立てることが可能となるのです。

これにより、資金繰りの改善も可能となりますし、収益を安定させることができるのです。

飲食店のサブスクには、このようなメリットがありますが、中でも注目すべきであるのが、顧客のデータを収集することが可能となるということです。

一般的に飲食店は、利用客が来店し飲食した代金を支払うことで、その関係性は終了となります。

店舗側は来店した利用客の名前を聞くことはないですし、利用客もわざわざ名乗ることはないのです。

つまり、店舗側は、利用客の名前や住所などの情報を知ることはなく、あくまでも利用客は匿名の客であったのです。

しかし、現在の飲食サブスクサービスでは、スマートフォンから購入をして、画面を見せることでサービスを受けることができる仕組みとなっています。

これにより、従来では不可能であった、利用した客の情報を入手することが可能となるのです。

つまり、従来では匿名であった利用客が、サブスクでは記名の顧客となり、年齢や居住地と言った個人情報を入手することができるのです。

この顧客データの入手と言うのは、どのようなビジネスにおいても非常に重要なことです。

飲食店においても、顧客の名前や住所が分かれば、DMなどでのマーケティングが可能となりますし、どの居住区域から来店する顧客が多いのかが分かれば、販促活動に効果的に役立てることができるのです。

飲食店は、このようにサブスクサービスを提供することで、顧客のデータを収集し、それを最大限に活用することができるようになるのです。

まとめ

以上のように、飲食店がサブスクサービスを提供するのは、大きなメリットがあるからです。

しかし、サブスクサービスを提供したからと言って、すべてが上手くいくわけではありません。

これだけ、サブスクサービスが増えている状況では、他のサービスよりも得となるサービスでなければ支持を得ることはできないのです。

しかし、顧客にとって得となるサービスを提供するためには、店舗は損をすることにもなります。

サブスクを成功させるためには、この損をどのように捉えるかが重要となるのです。

サブスクによって得られるメリットを有効に活用し、サブスクによって被ることになる損を投資コストとして捉えることができれば、それが結果として、顧客から支持されるサービスに繋がっていくのです。