サブスクリプションビジネスをデザインするための「デザイン思考」

サブスクリプションビジネスは、消費者がモノやサービスを利用した期間や量に対して対価を支払う、課金提供型ビジネスモデルです。

従来までのように、モノやサービスを購入するのではなく、商品やサービスを一定期間利用するための権利に対して定額料金を支払う仕組みですので、顧客自身のライフスタイルに合わせて、より効率的に、そして実用的にモノやサービスを享受することができ、また企業も継続的な利益を得ることができるようになりますので、企業と顧客共に需要が高まってきているのです。

今のサブスクリプションビジネスでは、「デザイン思考」の知識が重要になっています。

デザインと聞くと、アートやインテリアなどを連想される方が多いかと思いますが、デザイン思考とは、一般的なデザインを生むための「考え方」を、モノ作りやITシステム、サービスの開発に適用した考え方です。

1960年代末から1980年にかけて、アメリカにて語られており、今では日本でも、課題解決のための思考方法として認知されるようになってきました。

そこで今回は、サブスクリプションビジネスをデザインするための「デザイン思考」について、詳しくお話させて頂きたいと思います。

今後サブスクリプションビジネスにデザイン思考を活用していきたいと思われている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

デザイン思考の基本的な考え方

デザイン思考は一言で言うと、理想側から発想する思考法です。

デザイン思考の対義語は分析思考と考えられており、この場合の分析思考は確認されている事実から発想する思考法、と意味されます。

デザイン思考での「問題」は、現在もしくは将来に対するネガティブな状態のことであり、分析思考での「課題」はその問題を解決するための施策や対策を意味します。

デザイン思考では、まず最初に問題が解決された状態の理想とするイメージを決めます。

そしてそのイメージに近づけるためには何が必要なのか、どのようにそれに備えるのか、ということを考えていきます。

分析思考の場合は、基本的に現状を前提として、何が原因で問題が発生しているのか、この原因はどのようにアプローチをすれば良いのか、という課題を設定し、改善策を考えていきます。

これらの大きな違いは、理想の状態に対し、ゼロベースで考えるのか、それとも現状を踏まえて考えるのか、ということでしょう。

どちらが良いアプローチであるか、ということは異なってきますので、意識的に選択すると良いでしょう。

デザイン思考が活用できる場合

・イノベーションを起こしたい場合

デザイン思考のイノベーションを起こしたい場合の代表的な成功事例は、Apple社が生んだiPodでしょう。

多くの音楽を手軽に持ち歩きたい、固定概念に捉われない、人間工学の専門家を交えた開発プロジェクトによるUI設計ということが、デザイン思考的な評価ポイントです。

従来までよりもとにかく手軽に音楽を持ち歩きたいということに着目し、企業概念や音源に関する市場認識や固定概念に捉われずに製品化し、開発プロジェクトを立ち上げたことにより短期間で作り上げたことで世界に驚きと感動を与えたことが、成功へと繋がりました。

・改善効果の停滞が発生している場合

商品やサービスの改善を進めていくと、どうしても改善効果に停滞が訪れる時があるでしょう。

PDCAサイクルを回し、課題の改善を継続して機能させることは重要なのですが、そもそもの課題は、問題の要因に対して設定するのですが、問題そのものを根本から解消するような課題設定をしているか、ということがポイントです。

実は、適切な課題設定を行うということは非常に難しく、特に今のビジネスの施策や活動では、この課題設定が原因となって、改善効果の停滞が発生することも多いのです。

顧客観点が多様化し、課題そのものが複雑になっていることが影響していますので、この場合はゼロベースで発想を生み出すデザイン思考のアプローチは非常に有益になるでしょう。

・全方位へ価値提供をしたい場合

デザイン思考の前提として、人を中心として考える上、デザイン思考を成立させるための「理想」の描き方は、製造者、販売者、購入者、利用者すべての関係者がより良い状態になる、ということが必須条件です。

全ての関係者がより良い状態に至るためには、まず利用者の体験を中心に機能設計を行わなければなりません。

利用者の体験価値が高ければ、その上流関係者は必然的に価値を享受することができるようになりますので、全ての関係者に高い満足度を与えることができるのです。

もちろんビジネスの場では、経済活動と利益とのバランスが重要なのですが、まずはエンドユーザーの体験価値を最大化する、ということを中心に考え、全方位へ価値を提供していきましょう。

まとめ

以上、サブスクリプションビジネスをデザインするための「デザイン思考」についてお話させて頂きました。

テクノロジーの発展と共に、私たちの生活にサブスクリプションが浸透しており、今後もさらにサブスクリプション市場が拡大することが予想されています。

顧客行動のデータや分析もさらに詳細に行うことができますので、基本的な機能の充足と高い付加価値の獲得、全体最適の実現、イノベーションの期待のため、ぜひデザイン思考を積極的に活用してくださいね。