サブスクリプションは、ソフトウェアの配信サービスをきっかけとして、短い間に急速に成長したビジネスモデルです。
現在では、このビジネスモデルは、あらゆる業種に広まっており、多種多彩なサービスが提供されています。
この成長は今後も続いていくことが予想され、もはやサブスクビジネスは、国内ビジネスの主流となりつつあるのです。
そしてその流れは、大手企業にも広まり、国内外の大手企業が続々とサブスクビジネスに参入し、サービスを展開しています。
しかし、大手企業だからと言って、簡単に上手くいくわけでもないのです。
そこで今回の記事では、大手企業におけるサブスクリプションについて説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
大手企業によるサブスクリプションサービスは、現在も続々と増え続けています。
しかし、大手だからと言って、すぐに成功する訳ではなく、事業を拡大している企業もありますが、他のサブスクと同様に、集客に苦戦しているケースもあるのです。
また、大手企業の場合、そもそもの事業の規模が大きいため、サブスクビジネスにおいても、その規模に合った成果が求められます。
年商が数千億から一兆円超とも言われる大企業から見て成功と言えるのは、100億円以上のスケールなのです。
このことから考えた場合、現在大企業が展開しているサブスクサービスは、必ずしも成功していると言えないのです。
この大企業のサブスクサービスとして、真っ先に名前が挙がるのが、トヨタ自動車が展開する「KINTO」と言う自動車のサブスクサービスです。
このサービスは、トヨタ自動車の新車を、月額2万円台からの定額制の仕組みで利用できると言うものです。
自動車保険などの維持費も料金に含まれるため、手軽に高額な自動車を利用できるサービスとして、サービス開始時には高い注目を集めました。
しかし、ふたを開けてみれば、想定したほど顧客を集めることはできなかったのです。
このサービスは、消費者のニーズが所有から利用へと変化し、自動車を購入する人が減ってきているということから、人気が出るものと思われていました。
しかし、実際には、それほど高い関心を引くことができなかったのです。
その理由は、このサービスが自動車を購入するよりもお得なサービスとは言い切れなかったからです。
自動車は高額なものであり、簡単には購入することができません。
そのため、従来では、月々のローンを組んで支払いを行っています。
このサービスは、この従来のローンの支払額と比べ、それほどお得さを感じることができない価格設定であったのです。
その上、サブスクサービスの場合、いくら支払いを行ってもその自動車は自身の所有となるわけではありません。
それであれば、従来通りに自動車を購入したほうが良いと考える消費者が多いのも当然と言えます。
このような状況を受け、トヨタ自動車は、サービスの内容を改善し続けています。
このサービスの改善により、利用者は徐々に増えてはいますが、トヨタ自動車の事業規模を考えた場合、このサービスは成功しているとは言えないのです。
しかし、トヨタ自動車側から言わせれば、サブスクサービスは、現在のところ主力事業ではありません。
例え現在赤字であっても、サブスクビジネスが社会的に広く浸透し、サービスの内容も充実してくれば、近い将来メインの事業に比する事業へと成長すると期待していると考えられます。
資金に余裕のあるトヨタ自動車のような大企業にとっては、今のこのサービスはあくまでも行投資と言う位置づけのように見受けられるのです。
一方、大企業の成功例として名高いのが、大企業ソニーのゲーム事業によるサブスクサービス「PS Plus PlayStationPlas」です。
このサービスは、ソニーが販売しているゲーム機プレイステーションに、サービスの加入者限定で特別に特典が付けられると言うもので、人気のタイトルを追加の料金無し、もしくは月額850円と言う定額で提供しています。
サービス開始時から順調に顧客を獲得しており、現在ではゲーム事業全体の売り上げの6割を占めるまでに成長しています。
このサービスが注目されるのは、そもそもゲーム業界が流行に左右されやすく、利益変動が激しいと業態として知られていたからです。
その中で、従来の売り切り型のビジネスモデルを定額制のビジネスモデルとして収益化させたことで、ゲーム業界だけでなく、他の業界からも注目を集めるサービスとなったのです。
このサービスが前述のトヨタ自動車と異なるのは、年商が推定でも4.000億以上と見られ、ソニーの事業規模から見ても成功していると言えることです。
また、このサービスは、現在も順調に成長を続けており、今後も成長が期待できるのです。
今やサブスクは、どのような業種であっても無視できないビジネスとなりつつあり、大企業も続々と参入してきています。
しかし、大企業だからと言って、簡単に事業を拡大できるわけではありません。
今回説明したように、集客に苦戦している企業も、大幅に事業を拡大している企業もあるのです。
そして、それらのサービスの差は、企業の差と言う訳でもありません。
順調に成長しているソニーのサービスは、そもそもサブスクとの相性が良いのです。
それに対し、トヨタ自動車のサービスのようなモノを扱うサービスは、コストも増えるため、収益化するには時間がかかるのは当然とも言えるのです。
サブスクは、導入できない業種はないと言われてはいますが、扱う商材によって相性はあります。
その点から考えても単純に比較することはできませんし、今後急速に伸びていくことも考えられるのです。