今のアパレル業界にD2Cが必要な理由

アパレル業界は、数年前より低迷が続いていますが、さらに、このコロナ禍において、多くのブランドが打撃を受けており、中には、老舗アパレルブランドが倒産するケースなども報告されているのです。

しかし、その一方で、コロナ禍で飛躍的に成長したアパレルブランドもあります。

それが、アパレルD2Cブランドであり、今後のアパレル業界はこのD2Cブランドが主流となっていくとも言われているのです。

そこで今回の記事では、今のアパレル業界にD2Cが必要な理由について説明したいと思います。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

なぜアパレル業界は低迷しているのか?

現代は、モノが売れない時代と言われ、これまでのような、企業やメーカーが大量に商品を作り出し、大量に消費すると言う時代ではなくなっています。

この状況は、どの業界でも同様ですが、特に、売上の減少が続いているのがアパレル業界です。

アパレル商品は、そもそも嗜好品の要素が強いため、景気などの外的要因の影響を受けやすいことも売上が減少している理由ではありますが、それよりもさらに大きな理由であるが、消費者の意識がこれまでとは大きく変化していることです。

十数年前では、高級ブランドや有名ブランドの商品を持つことは、ステータスとなっていました。

消費者は、こぞってそのようなブランド商品を買いあさり、ブランド品で身を固めていたのです。

しかし、景気が低迷したこともあり、徐々にそのような高級な衣料品が売れなくなり、低価格な衣料品が求められるようになります。

以前は、低価格な衣料品は品質が悪いのが一般的でしたが、近年はこれらの商品も高品質化が進み、高価格なブランド商品を買わなくても、満足できる品質となっています。

これにより、消費者の衣料品に対する低価格志向が急速に進み、ブランド品のような高価格帯の商品が売れなくなったのです。

そして、さらに現在では、衣料品だけでなく、消費者のモノに対するこだわりが薄れており、低価格な商品であっても、必要のない商品は購入しないと考える消費者が増えているのです。

コロナ禍で躍進するアパレルD2Cブランド

このような消費者の意識の変化によって、アパレル市場は縮小してしまっているのです。

そして、さらにこの状況を悪化させたのが、新型コロナウイルスの流行です。

これにより、外出の自粛や営業時間の短縮などが求められたため、実店舗を持つアパレルブランドは、大幅に売り上げが減少してしまったのです。

中には、店舗数を減らす企業や倒産するアパレル企業もあり、アパレル市場全体が大打撃を受ける結果となりました。

しかし、その中で、アパレルのEC化が加速し、EC化が遅れていたアパレル業界のEC化率が、他の業界を上回るようになっているのです。

これにより、ECで大幅に売上を伸ばすアパレル企業も登場しています。

その中でも、大きく成長しているのがアパレルD2Cブランドなのです。

アパレルD2Cブランドは、コロナ禍以前より急増していましたが、需要の拡大を受けて、さらにその数を増やしています。

その理由の一つは、アパレルD2CがそもそもECサイトを販売の軸とした、デジタルを活用するビジネスであることです。

これまでも、ECサイトで販売をするアパレル企業は多くありましたが、基本的には、実店舗での販売が主となっていました。

しかし、D2Cでは、実店舗を持つ必要はなく、これまでのアパレル業界のように、多くの中間業者を介する必要もないのです。

この特徴から、アパレルD2Cブランドを立ち上げる企業が増加しているのです。

ただし、アパレルD2Cブランドが増えている理由はそれだけではありません。

先ほども述べたように、アパレル市場は年々縮小していますし、消費者はモノを買わなくなっているのです。

その中で、アパレルD2Cが成長しているのは、必要ないモノを買わなくなっている現代の消費者の心を掴むことに成功しているからなのです。

アパレルD2Cブランドが求められる理由

現代の消費者がモノを買わなくなったのは、モノが増え過ぎていると感じているからです。

現在の市場は、ありとあらゆるもので溢れ、何でも簡単に手に入れることができます。

特に、アパレル業界は、従来より衣料品を大量に生産し流通させています。

しかし、その多くは、売れないまま廃棄されているのです。

このような現状に、現代の消費社は疲弊し、不快感を持つようになっています。

中でも、現在消費の中心となっている若い世代は、消費に対し、堅実な考えを持ち、社会問題に対する関心が高い傾向があります。

このような消費者は、必要ない製品を大量に生産するアパレル業界の悪しき仕組みに、強い憤りさえ感じるようになっているのです。

このような考えを持つ消費者が求めるのは、廃棄されるほど商品を作らないこと、必要な商品だけを作ることです。

低価格な商品を大量に生産して余らせるのではなく、品質の良い商品を必要な分だけ生産し、消費者はそれを長く使い続けることが、現代の消費者がアパレル商品に求めていることなのです。

アパレルD2Cブランドが、現代の消費者から支持されているのは、この問題に対し、熱意を持って取り組んでいるブランドが多いからです。

そして、この問題に対し、消費者はさらにブランドに対し、取り組みを行うことを求めるようになってきていいます。アパレルD2Cブランドだけでなく、アパレル業界全体が、考え方を変えていかなくては、生き残ることができない時代になっているのです。

まとめ

アパレル業界は、現在においても、大量に商品を生産しており、廃棄される量は増え続けています。

これは、環境の破壊だけでなく、労働環境の問題など様々な社会問題を生み出しており、抜本的な改革が求められているのです。

そして、現代の消費者は、これらの問題に対し、高い関心を持ち、改善を求めるようになっているのです。

この中で、消費者の支持を獲得するためには、そして、これらの問題に対し、真っ向から取り組みを行うことが必要であり、それに応えているのがアパレルD2Cブランドなのです。

アパレル業界も、今後生き残っていくためには、業界全体で、アパレルD2Cブランドに続いていくことが重要となるのです。