D2CビジネスにおいてM&Aの失敗を回避するためのポイント

近年、メーカーやブランドが消費者に直接商品を販売する、D2Cというビジネスモデルが大きな注目を集めています。

スマートフォンの拡大や、SNSが日常生活に広く普及したことにより、D2Cの市場規模も年々拡大傾向にあるのです。

D2Cビジネスは、従来まで必要であった中間コストを抑えることができ、顧客情報を収集しやすいので、アパレルや美容品メーカーを中心に日本でも徐々に広がりを見せています。

従来までのビジネスモデルでは、商品そのものが持つ機能が重視されていたのですが、D2Cでは商品の機能はもちろんですが、商品独自の世界観や顧客ニーズに合ったライフスタイルを提供していることが大きな特徴です。

また、コロナ禍による不確実性が増す今、企業は自社事業の成長のため、そしてポストコロナにおいて一段と飛躍するための有効手段の1つとして「M&A」を活用すると良いと言われています。

そこで今回は、D2CビジネスにおいてM&Aの失敗を回避するためのポイントについて、詳しくお話させて頂きたいと思います。

今後D2Cビジネスをより効率よく進めていきたいと思われている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。

M&Aの失敗を回避するためのポイント

戦略上の目的を明確にする

M&Aの失敗を回避するためには、なぜM&Aをするのか、自社ビジネス領域や市場、ビジネス能力を、どういう方向へ持っていき、そしてどのような目的でM&Aを行うのか、という自社の戦略上の目的を明確に整理することが重要です。

目的を整理し、明確化することは、一見当たり前のようにも思えるのですが、実際にはどのように整理していけば良いのか、M&Aの戦略上の目的としては「競合排除」「シナジー追求」「新天地開拓」というように、大きく3つに分けられます。

競合排除を目的としたM&Aは、上記3つの目的の中でも最も防衛的であり、市場の成長があまり期待できなくなった時に取られる方法です。

成熟市場の中で、自社の競争優位性を維持、もしくは高めることを目的としており、自社のビジネス領域にいる競合他社のビジネス、もしくは企業ごと買収したり合併したりすることで、売上を拡大する方法であり、売上高と収益を増やし、効率を上げることができます。

シナジー追求を目的としたM&Aは、上記目的の中でも最も攻めであると言えるでしょう。

自社領域のみに限定せず、成長市場や新しい商品を自社内に取り込み、時間を買うためにM&Aを行う時にとられる方法です。

新天地開発を目的としたM&Aは、成功することが非常に難しいM&Aです。

自社とシナジーが低い領域にテリトリーを広げ、売上を増やすM&Aですので、利益を買うという派手なM&Aです。

失敗に終わってしまうことが多いので、よほどの厳しい基準と実行力、そしてぶれないリーダーシップが必要でしょう。

買収条件を整理する

買収条件を整理するための判断基準としては、売上や原価率、主要経費率、利益率、成長率などの「財務面」、販売や生産、処理能力、稼働率、保留率などの「事業面」、販路開拓力や技術力、開発能力、体制、品質管理体制などの「能力面」、財務経理管理体制や労働管理体制、法務、知的財産管理体制などの「管理面」です。

上記4つの側面を判断基準とし、M&Aの目的はどの側面のどの判断基準を大切にするのか、目的数値はどのように設定するのか、ということを決めていきましょう。

この際注意すべきポイントは、財務面や事業面は定量評価になりますので、客観的に判断しやすいのですが、能力面や管理面では定性調査が主になりますので、関係者間で認識をすり合わせておかなければなりません。

また、判断基準設定を固め過ぎないということも大切です。

事前に認識をすり合わせていても、M&Aを進めていくうちに、さまざまな情報が出てきますので、定めすぎても定めすぎなさすぎてもだめなのです。

そして、自社リソースの限界値にも注意しなければなりません。

どこまで投資するのか、どこまで人材を充てるのか、どれだけ時間を費やすのか、買収後はどれだけ支援を続けるのか、など、自社での限界値を把握しておくことが重要です。

M&A体制を整備する

社内でM&Aの体制を整備することも重要です。

まずは常設のM&A担当部署を設置しましょう。

常設のM&A担当部署がなければ、もし良い案件を見つけた場合でも、スムーズな対応が難しくなってしまったり、適切な判断をすることができずに、高値で掴んでしまうことがあります。

そして、知見の蓄積や統一的な基準を保つためにも、担当部署を設置した体制作りが重要なのでう。

そして、継続的で横断的な組織作りが重要です。

継続的に行うのであれば、中核的なM&A統括部門を設置し、責任者と担当者は少なくとも1人ずつ置くことが良いでしょう。

日常的に組織横断的なコミュニケーションや情報収集を行い、並行して経理や財務、法務、コンプラなどにM&A担当者を配置し、定期的に情報交換や勉強会を行うと良いでしょう。

このような経験を積み重ねることで、案件が動き出した時には準備がしっかり整った上ライで、社内の総力を集結することができる体制になっているのです。

まとめ

以上、D2CビジネスにおいてM&Aの失敗を回避するためのポイントについて、詳しくお話させて頂きました。

M&Aに対して、失敗するイメージを持たれている方が多いかと思いますが、M&Aについてしっかり理解し、失敗要因を事前に把握しておくことで、十分に失敗を回避することができ、ビジネスにも有効活用することができます。

D2Cビジネスにも非常に役に立ちますので、ぜひこの機会にM&Aの知識を深めてくださいね。