現代の消費者は、あまり消費活動に積極的ではなくなっており、これまでのようには、ものが売れなくなってきていると言われています。
しかし、実際には、売れているヒット商品や注目されているブランドもあり、全く売れていないわけではないのです。
これは、消費者がものを購入する際に重きを置いていることが大きく変化していることが理由であると考えられており、そこで重要視されているのがベネフィットなのです。
そこで今回の記事では、D2Cの成功に欠かせないベネフィットについて説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
現代は、市場にはものが豊富に存在し、ありとあらゆるものが簡単に手に入る恵まれた時代です。
しかし、それほど満たされているにもかかわらず、現代はものが売れない時代と言われています。
これは、全くモノが売れていないと言うわけではなく、以前のようには売れなくなっているということです。
これには、いくつも要因がありますが、特に、大きいのが、現代の消費の中心となっている若い世代が積極的にものを買わなくなっていると言うことです。
現代の若い世代は、前述のように、ものが豊富にある恵まれた時代に育っています。
そのため、既にある程度満たされており、それ以上にものが欲しいとは考えないのです。
だからと言って、この世代が、ものを買わないわけではありません。
その商品が、自身に必要であるか、本当に欲しいのかを十分に吟味したうえで、購入するようになっているのです。
そして、この世代が、購入するかどうかを判断する際に重要視しているのが、この商品を購入したことで、何が得られるか、どのような価値があるかということなのです。
この消費者が商品を購入することで得られる価値は、ベネフィットと呼ばれ、マーケティングにおいては、以前から重要と考えられている概念です。
具体的には、消費者がものを購入するのは、そのもの自体が欲しいのではなく、そこに付帯するベネフィットを求めているということになります。
例えば、消費者がダイエットに関する商品を購入しようと考えた場合、それは、単に痩せる事だけが目的ではないのです。
痩せることによって、健康的な生活ができる、異性との出会いが増える、これまでできなかったファッションに挑戦できると言うようなことが、消費者が求めるベネフィットなのです。
このベネフィットは、現代に突然求められるようになったわけではありません。
従来から消費者は、商品を購入する際には、このベネフィットを求めており、前述のように、マーケティングにおいても重要視されていたことなのです。
それを示しているのが、マーケティング業界で古くから知られているドリルの穴理論と言う格言です。
これは、アメリカの学者レビットが提唱した「人はドリルが欲しいのではない。人が欲しいのは穴である」と言う理論です。
詳しく説明すると、一人の男性がホームセンターにドリルを買いにきます。
しかし、ドリルは売り切れで、店員がそう伝えると男性はそのまま帰ってしまいます。
これから分かることは何かと言うと、これでは売上は全く上がらないということです。
売上に繋げるために、考えなければならない事は、この男性は本当にドリルが欲しかったのか、どのような理由でドリルを求めていたのかということです。
この男性がドリルを買いに来たのは、ドリルで穴を開けるためであり、それは言い換えれば、穴を開ける手段としてドリルが欲しかったのです。
つまり、これは、ドリルそのものが欲しいのではなく、穴を開けることが目的であり、その手段はドリルでなくても構わないということなのです。
この男性に対して、店員が売上に繋げるためにすべきであったのは、穴を開ける他の手段を提案することであったのです。
この格言が言わんとしているのは、この男性の本当のニーズはドリルではなく、穴を開けると言う、自身に課せられた課題を解決する方法であったということです。
これがベネフィットであり、マーケティングにおいては、このように古くから重要な事とされてきたのです。
そして、このベネフィットが、現代はさらに重要性を増してきています。
今、このものが売れない時代に、商品を売るためにはベネフィットを感じてもらうことが欠かせないこととなっているのです。
D2Cビジネスは、現代の若い世代がターゲットとなっているため、今回説明したベネフィットは欠かすことのできない要素となります。
しかし、現在のようにD2C市場が急速に成長し、競争が激しくなる中では、このベネフィットを重要視するブランドは減り、ただ商品を売ることだけが目的となっているブランドが増えてきているのです。
これでは、従来の売り切り型のビジネスと何ら変わりがなく、現代の若い世代に受け入れられるはずもありません。
D2Cビジネスを成功させるためには、現代の若い世代が求めているベネフィットを感じてもらうことが必要なのです。