D2Cビジネスを成功させるための「ベネフィット」

製造者が消費者と直接やり取りをする、D2Cというビジネスモデルが通信販売業界で急激に広がりをみせています。


D2Cビジネスは収益性が高く、ブランドイメージを浸透させることができるなどのメリットがありますが、商材によっては向き不向きがありますので、しっかり知識をつけて挑まなければなりません。

D2Cビジネスにて顧客に対し、直接販売することで新しい結びつきが生まれるので、非常に魅力的な販売方法なのですが、どんな商品でもD2Cビジネスと相性が良いわけではないのです。

ECビジネスを行っていると、どうしても多くの人に好まれるような商品を開発したくなるのですが、D2Cビジネスは「狭く深く」を追求し、顧客のニーズをしっかり探り、そこに訴えかけるための広告戦略を考えなければなりません。

また、商品力やブランド力だけでなく、その背景にあるブランドストーリーに共感し、新しいファンが生まれることも目指していますので、なぜその商品を開発したのか、という原点を深堀したストーリーも重視しなければなりません

D2Cビジネスを成功させるためには、モノを購入してもらわなければ売上には繋がらないのですが、顧客は本当に商品を購入したいと思っているのでしょうか。

そこで今回は、D2Cビジネスを成功させるための「ベネフィット」について、詳しくお話させて頂きたいと思います。

これからD2Cビジネスをスタートさせようと思われている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

ドリルの穴理論

D2Cビジネスを学んでいると、「人々は4文のインチのドリルを欲しいのではなく、4文の1インチの穴である」という言葉を目にすることがあるでしょう。

この言葉はマーケティングの世界で古くから使われている格言です。

この言葉の意味を考えるには、ある人がホームセンターにドリルを買いに来たところ、たまたまドリルの在庫がなかったので販売することができず、その人は帰ってしまった、という状況を思い浮かべてみましょう。

この場合、ドリルを販売していないので、売上になっていないのですが、ここで重要なことがその人は本当に「ドリル」が欲しかったのか、ということです。

さまざまな考え方があるかと思いますが、一般的に考えられる答えよしては、その人はドリルが欲しいのではなく、ドリルによって開けることができる「穴」を求めていることが考えられ、穴をあける手段としてドリルを求めていることが考えられるでしょう。

そのような相手に対して、ドリルの種類やスペック、他商品との比較を説明したとしてもまったく意味がなく、むしろ穴あけサービスやキリの提案のほうが適切だと考えられます。

商品なんて欲しくないし買いたくない

人の結局の真理というものは、「商品なんて欲しくないし買いたくない」のです。

あるD2Cビジネスを成功させた事業者は、その企業が顧客に販売しているものは「本来いらないモノ」と話しています。

その通り、商品は本来いらないモノであり、だからこそ購入者に対しては購入したことで得られる「価値」や「満足感」を十分に感じてもらい、そのためのストーリーを作ることが重要なのです。

顧客は別に、その商品を購入するために自分の大事なお金を使いたくないと考えているのですが、なぜそれでもモノを購入するのか、それはそこに「ベネフィット」があるからです。

たとえばダイエットサプリメントの購入を検討している人は、「痩せたい」ということではなく痩せることにより「着たい服を着たい」「健康的な生活を送りたい」「自己管理をしてビジネスで得をしたい」「異性からモテたい」「家族と共に過ごすために長生きしたい」などのベネフィットを求めているのです

このベネフィットを求めているからこそ、その商品を購入するのです。

プロダクトアウトとマーケットイン

マーケティング用語で、プロダクトアウトとマーケットインという考え方があります。

プロダクトアウトは、企業が良いと思うものを作り、それを消費者に売るという考え方であることに対し、マーケットインは顧客目線で顧客ニーズをしっかり分析し、その結果に忠実に基づいて商品開発を行う、という考え方です。

言わば、プロダクトアウトは販売者都合で、マーケットインは購入者都合ということです。

前述したドリルの例で考えると、その人はなぜ穴をあけたいのか、いくつ穴をあけたいのか、穴をあけたい素材は何なのか、一時的に穴をあけたいのか、今後も定期的にあけたいのか、ということを考え、そのベネフィットである、穴の最終目的までを把握しながら情報提供をできているか、ということを考えなければなりません。

ECビジネスではつい、プロダクトアウトになってしまいがちですが、特に顧客の需要が重視されるD2Cビジネスで、市場が拡大し、競合他社が増える中では、改めてベネフィットを見つめなおすことが重要なのです。

まとめ

以上、D2Cビジネスを成功させるための「ベネフィット」について、詳しくお話させて頂きました。

人がモノを購入する理由、大事なお金を払う理由は「ベネフィット」に対して、ということをお分かり頂けたでしょうか。

マーケットインの視点を持ち、顧客に適切で魅力的な価値を提供することができているか、ということを定期的に見直し、ビジネスを整えることこそ、D2Cビジネスを成功させるポイントなのです。

ぜひこの機会に、自社D2Cビジネスでのベネフィットを考え直してくださいね。