今、企業と顧客が新たな関係を作り出していると言われている「D2Cビジネスモデル」。
海外のみならず、日本でも注目されており、どんどん導入事例も多くなってきています。
D2CとはDirect to Consumerの略称であり、ブランドやメーカーが、自ら商品を企画、製造し、自社内独自チャネルで顧客に直接商品を販売するビジネスモデルのことを言います。
このビジネスモデル自体は過去にもあったのですが、ここ数年アパレル業界や美容業界を中心に、D2Cビジネスの展開が多くなってきているのです。
一般的に考えるとユーザーが商品注文後、自社商品を仲介業者に委託し、小売店に並べて販売しますが、D2Cではブランドやメーカーが直接ユーザーの元に届けられるまでの過程をすべて担います。
ECサイトなどで注文を受けた後、独自の流通網や宅配便により顧客の自宅へ送られますので、他社の事情に左右されないこと、商品やサービスに対して柔軟に調整することができるため、自社のこだわりを反映させたプロダクトアウトなモノ作りを行うことができます。
さらにPDCAを素早く回転させることができるという点においても、D2Cの特徴ですよね。
そしてそんなD2Cでは、「PR」が重要であることをご存知でしょうか。
そこで今回は、D2CブランドPRに大切なこととは何か、ということについてお話させていただきたいと思います。
D2Cビジネスの知識を得たいと思われている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
PRと聞くと、アピールする、宣伝すると同様の意味で理解する方も多いかと思いますが、実際はそうではありません。
PRは「Public Relations」の頭文字を取った略称であり、直訳すると「公衆との関係」という意味になります。
ただそのブランドを知ってもらうだけではなく、人々と広く、そして良い信頼関係を作るという意味も込められているのです。
当然D2CにおいてのPRも「ユーザーと信頼関係を作る」ということにあり、ブランドに対して好意を持っている人に対し、良い情報が勝手に広まっていく仕組みを作ることなのです。
PRを大切に思うD2Cブランドに共通して言えることは、「ユニークな文脈」と「社会性との掛け合わせ」です。
ユニークな文脈と社会性、そしてトレンドなどが掛け合わさることで、PRのストーリー全体に整合性が生まれ、結果的に人々がさらに広く伝播するきっかけになるのです。
・Warby Parker(ワービーパーカー)
眼鏡のD2Cブランドとして人気が高いWarby Parkerは、2017年に99年ぶりにアメリカで起きた「日食」を見逃しませんでした。
この日食という一大イベントに合わせ、Warby Parker自らが日食用メガネを製造し、その日食用メガネの無料配布を行ったのです。
そして無料配布と同時に、積極的に日食の情報発信を行いました。
もしこれが、自社眼鏡の知名度のみを上げようとする単純な狙いであれば、それほどまで人を惹きつけることはなかったのですが、日食というまたとないチャンスを、人々といっしょになって楽しむ姿を見せ、人々の気持ちに寄り添った行動をとったのです。
この出来事以降、Warby Parkerは知名度だけでなく、好感度や親近感も高まり、非常に高いPR効果があったでしょう。
・Everlane(エバーレーン)
感度の高いミレニアル世代から人気を集めるアパレルD2Cブランド、Everlaneも良いPR事例の一つです。
Everlaneは「Choose What You Pay」という企画を行いました。
アパレルブランドといえば、常に新作を出し続けなければならず、その在庫を余らせないためにはセールを行いますよね。
ですが、Everlaneではただ単に値下げを行って売ることはありませんでした。
その際の企画こそ、Choose What You Payであり、Everlaneが提案する3段階の中から顧客自らが購入価格を決めるような仕組みを取りました。
通常そうなると、顧客は安い価格のものを選ぶのが当然ではないか、と考えてしまうのですが、実際にEverlaneの熱心な顧客はあえて高い価格で購入しており、ある意味Everlaneに投資しているのです。
なぜこのような状態に導くことができるのか、それにはEverlaneが掲げている「徹底的な透明性」に教官し、Everlane社を通じて社会へ貢献したいという気持ちが、そのような行動を起こさせるのでしょう。
EverlaneにとってChoose What You Payは、ユーザーとのコミュニケーションのためのPR施策の一つなのです。
以上、D2CブランドPRに大切なこととは何か、ということについてお話させていただきました。
「ユニークな文脈」と「社会性との掛け合わせ」の2つを念頭においてPR戦略を考えることこそ、今までにない新たな施策のひらめきに繋がりますので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。