近年、D2Cというビジネス用語を目にする機会が多くなってきました。
D2Cは、マーケティングの本場であるアメリカでの成功事例が目立つようになり、日本企業からも注目を集めているビジネスモデルです。
D2Cとは、Direct to Consumerの頭文字を取った略称であり、ブランドやメーカーが自社内で企画し、製造した商品を、卸売業者や店舗などの中間業者を介すことなく、消費者に直接商品を販売する仕組みです。
アメリカではスタートアップ企業がD2Cを活用して以降、大きな成功を収めている事例が注目を集め、日本でも大手企業を中心に積極的な取り組みが多くなっています。
特にアパレル業界や美容業界、食品業界などに採用されるケースが目立っています。
D2Cビジネスのブランドマーケティングにおいて、重要な役割を果たすものが「ブランドストーリー」です。
いかに魅力的なブランドストーリーを作成し、顧客の心に訴えることができるか、ということがD2Cビジネスの成功へと繋げるポイントになるでしょう。
そこで今回は、D2Cビジネスで顧客の心に訴える「ブランドストーリー」の作るポイントについて、詳しくお話させて頂きたいと思います。
これからD2Cビジネスをスタートさせようと思われている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。
自社のルーツや提供している価値を象徴的に伝え、顧客の感情に訴えかけていき、自社のコンセプトや共有したい価値観を伝えるものが、ブランドストーリーです。
人は常に物事をストーリーとして認識しており、人の心境に変化や気付きを与え、そして記憶に残っていきます。
人は物事を点として捉えているのではなく、線で繋ぎながら理解しているのです。
これは商品を購入する際も同じことが言え、消費者が購入するものは商品そのものではあるのですが、実際に商品という点を見ているのではありません。
市場にモノが溢れている今の時代、消費者は「自分らしい選択肢のひとつ」として購入します。
ブランドストーリーの目的は、企業がその商品をなぜ作ったのか、なぜ消費者のもとに届けているのか、という線を伝えることなのです。
ブランドストーリーの根本的な部分を支えるのは、自社の存在意義です。
なぜ自社が世の中に存在すべきなのか、提供すべき価値は何なのか、自社の原点となる部分に立ち返り、再確認しなければなりません。
自社の存在意義を明確化する上では、ブランド創業の動機がヒントになるでしょう。
既存企業が見過ごしてきた世間の課題、そしてまだ解決されていない問題に気付いたからこそ、ブランドの立ち上げを決意した事業者は多いことでしょう。
だからこそ、まずは自社の原点に立ち返り、存在意義を再確認することが重要です。
ブランドストーリーを構築する際、明確にターゲットを設定することが重要と言われているのですが、ここでのターゲットとは、今現状想定できる顧客に限定しない、ということが重要です。
理想的な顧客像は、顧客となるべき層や商品を手にするべき層として設定しましょう。
ブランドストーリーは、商品一つ一つに設定するのではなく、企業が一貫して伝えていくものですので、普遍的でなければなりません。
自社が消費者に対し届けたい価値や実現したい価値は何なのか、コアとなる世界観を定めておかなければなりません。
そのためにもブランドカラーやロゴ、プロダクトデザイン、パッケージまでのすべてを、世界観を形成するための要素であることこそ、ブランドストーリーだけができるものになり、ブランドストーリーのスタートになるのです。
ブランドストーリーに必要な要素は、それが顧客に向けられて語られていること、感情に訴えかけること、シンプルなメッセージであること、オリジナリティがあることです。
これらは必ず満たしておくべき要素ですので、効果的なブランドストーリーを構築するためにもしっかり意識してくださいね。
以上、D2Cビジネスで顧客の心に訴える「ブランドストーリー」の作り方について、詳しくお話させて頂きました。
消費者は感情でモノを購入することに意味を感じていること、そしてブランドが発信する世界観への共感こそ、商品購入のきっかけになることから、D2Cビジネスにおけるブランドストーリーの重要性は非常に高まってきています。
どんどん拡大し続けるD2C市場の中で、安易に価格戦争に突入するのではなく、価格によらず消費者に選ばれるD2Cブランドであるためにも、ぜひこれらのポイントを意識して、魅力的なブランドストーリーを作成してくださいね。