常識破りのD2Cブランド「Casper」から学ぶ、D2Cビジネスに重要なこと

ここ数年で、D2Cというビジネスモデルが非常に大きな盛り上がりを見せています。

D2Cとは、Direct to Consumerの略称であり、製造者が直接消費者と取り引きを行うことを言います。

D2Cビジネスの特徴は、ブランドやメーカーなどの製造者が、自社ECチャネルで消費者に直接商品を販売することであり、仲介業者を介さないことです。

2000年後半頃から、日本国内でもD2Cビジネスモデルを採用する企業が多くなってきました。

日本国内だからこそ、確実にD2Cビジネスを成功させたいと考える方も多いかと思いますが、その際は成功しているアメリカのD2Cビジネスが非常に参考になります。

ニューヨーク生まれのD2Cブランド、Casper(キャスパー)をご存知でしょうか?

Casperは2020年に上場し、一気に知名度を向上させたのですが、賛否両論を巻き起こしている常識破りのD2Cブランドとも言われているのです。

実際のところ、Casperには批判的な意見もあるものの、Casperが辿ってきた道程は、D2Cビジネスを知る上で重要なヒントが数多くあるのです。

そこで今回は、常識破りのD2Cブランド「Casper」から学ぶ、D2Cビジネスに重要なことについて、詳しくお話させていただきたいと思います。

D2Cビジネスにご興味を持たれている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

「Casper(キャスパー)」とは

Casperはマットレスを提供しているD2Cブランドです。

マットレス業界というと、古い習慣に縛られていた業界であったからこそ、老舗のマットレスメーカーからしてみると、Casperは常識破りのブランドだったのです。

何が常識破りであったのか、それは

  • 誰でも簡単にオンラインで注文することができること
  • 従来までのマットレスの平均価格よりも圧倒的に低価格でありながらも高品質であること
  • 100日間の無料お試し期間があること
  • 10年の保証が付いていること
  • 使用後のマットレスであっても返品することができること
  • でしょう。

    さらに梱包方法に関しても、マットレスのばねを無くし、真空パックに圧縮することで、極限まで持ち運びしやすい工夫をし、注目を集めました。

    Casperは、ECの利便性を最大限に活かすだけでなく、顧客の心理をしっかり理解し、購入までの心理的ハードルを工夫して下げているのです。

    Casperはただマットレスを販売しているだけではない

    Casperがマットレスを提供していることはもちろんなのですが、ただマットレスを提供していると認識することは大きな間違いです。

    Casperはただマットレスを販売しているのではなく、人の睡眠という大きな領域に対する提案を行い、そして人々に睡眠の文化を浸透させたいと考えているのです。

    それでは実際にCasperが販売しているものは何なのか、Casper創業以降、マットレス以外にもさまざまな商品を販売しています。

    例えば、Glow(グロウ)というライトは、最適な眠りを実現するために開発された商品であり、自然な眠りへと誘導するために、時間をかけて暗くなっていく仕組みです。

    それ以外にも、枕やベッドフレーム、シーツやブランケットなど、寝具に纏わる商品、そして睡眠だけでない心地よいライフスタイルを提案するため、WOOLLYという雑誌を創刊しているのです。

    お分かりいただけたかと思いますが、Casperはマットレスだけを販売しているのではなく、質の良い睡眠を通じて得ることができる、心地よいライフスタイルを提供しているのです。

    「Hke Dreamery(ザ・ドリーマリー)」の存在

    ライフスタイルを提案すると言っても、実際にマットレスを体験してもらわなければ、Casperの考えを伝えることができません。

    ですが、マットレスは衣類などのように簡単に試すことができませんので、どうしても購入となると一定のハードルができてしまいますよね。

    この課題を解決したものこそ、The Dreameryなのです。

    The Dreameryとは、Casperがニューヨークに作った昼寝専用のスペースです。

    45分単位でCasper製のベッドを使うことができるというものであり、このスペースを作ったことにより、購入に対するハードルを大きく下げ、そしてD2CブランドとしてCasperが表現したい世界観と濃密な体験を提供することに成功したのです。

    D2Cブランドが新規顧客獲得の際、オンラインなどを活用することが多く、それに加えオフラインで顧客との接点を作るという流れが多かったのですが、「昼寝専用スペース」という何とも新規性のある場を設けることで、多くの注目を集めたのです。

    まとめ

    常識破りのD2Cブランド「Casper」から学ぶ、D2Cビジネスに重要なことについてお話させていただきました。

    今現状、Casperにはネガティブな論調も多く、さらにCasperを真似たマットレスブランドがどんどん多くなってきているので、Casperを取り巻く環境は楽観視できません。

    ですがこれほどまでに新規性を持たせたD2Cブランドは、今の日本のD2Cビジネスに非常に良いヒントを与えるのはないでしょうか。

    これからD2C業界への参入を考えられている方は、ぜひこのような事例も参考にしてくださいね。