D2Cビジネスは、商品の企画から販売までを自社で内製し、消費者に直接販売をするビジネスモデルです。
SNSなどのデジタルを活用し、ブランドの世界観を追求して提供していくと言う特徴がありますが、基本的には商品を販売する小売業です。
しかし、D2Cブランドの中には、できる限り商品を買わないでほしいと公言しているブランドがあるのです。
これは、既に成功している海外のブランドやD2Cブランドから広まっており、続々と賛同するブランドが出てきているのです。
そこで今回の記事では、D2Cブランドが買わないことを求める理由について説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
海外のD2Cブランドは、その多くが何らかの社会問題に対しての取り組みを行っています。
その中で、現在大きな話題となっているのが、商品を買わないでほしいとまで発言しているブランドが出てきていることです。
これはD2Cブランドに限ったことではなく、認知度の高い有名なブランドまでもが商品を買わないでほしいと言うメッセージを公に発信しているのです。
では、なぜ、これらのブランドが商品を買わないでほしいと公言するのかと言うと、その背景には、深刻な社会問題があります。
その問題と言うのが、アパレル業界が以前より抱えているいくつかの大きな問題であり、その一つが廃棄されるアパレル商品の量の多さです。
日本では、新品のアパレル商品が年間10億枚廃棄されていると言われています。
そして、世界全体では、年間1.700万トン以上と言う、想像もできないほどの量のアパレル商品が、消費者の手元に渡ることなく廃棄処分となっているのです。
そして、この量は年々増加しており、世界的に深刻な問題となっているのです。
これは、利益を追求するアパレル企業が、生産コストを下げるために、大量に商品を生産していることが要因です。
これにより、消費者は、低価格で商品を購入することが可能となりますが、その一方で、大量に売れ残った商品は廃棄されてしまっているのです。
また、このように大量の商品を安く生産するために、安い賃金で労働力を酷使していると言うことも問題視されています。
利益を求めるがために、多くのアパレル企業が開発途上国に工場を置き、生産を行っています。
このような工場で働くのは、主に若い女性や子供であり、先進国ではあり得ない低賃金で、劣悪な労働環境の中、長時間働かされているのです。
さらに、この開発途上国における大量生産には、水や化学薬品が大量に使用されることも大きな問題となっています。
これにより、周辺の環境は破壊され、そこに生息する動植物にも大きな影響を与えているのです。
これほどの深刻な問題を抱えているアパレル業界の状況に対し、多くの企業やブランドから改善を強く求める声が上がっています。
そして、その中には、商品を買わないでほしいと消費者に求めるブランドの声も含まれているのです。
これらの問題に対し、現在、実際に取り組みを始めている企業やブランドも増えてきています。
その流れの中で、D2Cブランドなど海外のブランドを中心として、必要以上に買わない、長く使い続ける、リユースを推進すると言う動きが加速しているのです。
アパレル商品を売ることで成り立つアパレルブランドが、商品を買わないで欲しいとまで公言し、状況を改善しようと取り組んでいるのです。
実際に、アメリカのデニムブランド「リーバイス」は、消費者に対し、できるだけ少なくジーンズを買ってほしいと言うメッセージを発信しています。
同時に、賢く買って、長く着ようと言うテーマでキャンペーンを行っており、アパレル業界の過剰消費と言う問題に警鐘を鳴らしているのです。
このようなアパレル業界の動きに対し、多くの消費者がそれに賛同しており、消費者の意識にも大きな変化が表れています。
特に現代の消費の中心である若い世代は、このような社会問題に対しての関心が高く、そもそもが消費活動にあまり積極的ではないこともあり、既に必要以上にモノを買わなくなっているのです。
しかし、商品が売れなければ、ブランドが成長することはできません。
特に、発展途上にある多くのD2Cブランドは、顧客を集め、売り上げを上げなければ、ブランド自体の存続も難しくなってしまうのです。
これらの社会的な問題を改善していくことは、企業として当然のことではありますが、商品が売れなければビジネスが成り立たないと言う、次の課題も解決しなくてはならない重要な問題とされているのです。
アパレル業界の抱える問題は、以前より問題視されていましたが、ここにきて改善を求める動きが加速してきています。
世界的に、これらの問題に対する関心が高まっており、このような問題を抱える企業やブランドを消費者は支持しなくなっているのです。
この流れは、今後さらに加速すると考えられています。
日本においても、このような社会問題に対する関心は高まっており、多くのD2Cブランドが社会問題に対する取り組みを始めているのです。