D2Cビジネスにおけるクラウドファンディングの参考事例

ここ数年、D2Cビジネスというビジネスモデルがトレンドになっていることでしょう。

消費者の消費形態が大きく変化する中で登場したビジネスモデルであり、世界観を構築するブランドが多く取り入れているビジネスモデルです。

Direct to Consumerの頭文字を取った略称であり、企業やブランド、メーカー自らが商品の企画や製造、販売を行い、広告代理店や小売店を介すことなく、消費者と直接取引を行う仕組みです。

D2Cブランド立ち上げ時、多くの人が「クラウドファンディング」を検討するのではないでしょうか。

特に新規事業としてD2Cビジネスを始める場合、初期顧客の発見だけでなく、顧客の心情やニーズをしっかり把握することができる、非常に大きなチャンスになるのです。

そこで今回は、D2Cビジネスにおけるクラウドファンディングの参考事例をご紹介していきたいと思います。

D2Cビジネスでクラウドファンディングを検討されている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

D2Cビジネスクラウドファンディングの参考事例

「しぐにゃる」

猫砂のD2Cビジネスブランド「しぐにゃる」は、商品企画や開発において、クラウドファンディングを活用しました。

猫砂とは、猫の健康状態を知らせてくれる砂であり、猫の尿のpH値などにより、砂が5色に変化する仕組みになっています。

猫は病気になっても判断し辛いと言われていますので、猫の命に関わるものになるのです。

だからこそ、クラウドファンディングによって支援を集めたところ、多くの猫好きがこの猫砂に共感し、支援をした結果、最終的には931もの支援者から480万円を超える支援金額を集めることに成功したのです。

なぜしぐにゃるがクラウドファンディングに成功したのか、それには優れたPR戦略が影響しているでしょう。

しぐにゃるは、誰が広げるのかという「ターゲット設定」なぜ広げるのかという「文脈形成」無名ブランドがどのように信頼を得ることができるのかという「信頼度」を考えたのです。

なぜ、どのように、誰が、ということを設計することで、自然に情報が拡散されるという状況を作ることに成功したのです。

「ALL YOURS」

アパレルD2CブランドのALL YOURSは、服のみでなく、その服を着る人をメインとして考え、服作りの哲学のもと、流行や見た目にとらわれることのない、柔軟な発想で服を作り続けているのです。

結果的に5,000万円もの支援額を集めることに成功したため、日本国内のD2Cブランドとして考えると、クラウドファンディングを最も活用しているのはおそらくALL YOURSと考えられることでしょう。

ALL YOURSで最も印象的であることは、顧客のことを「お客様」と呼ばず「共犯者」と呼んでいることではないでしょうか。

そして共犯者と共にブランドを作り上げるスタンスを取っているため、ブランドに余白があり、人々が自分事にしやすく、よりクラウドファンディングに適しているのです。

ブランド側が「商品を購入してください」というスタンスでは、なかなか見向きがされなくても、「一緒にブランドを作ってくれませんか?」と言われると、それに参加したくなるということが人の心理でしょう。

「Allbirds」

海外の靴のD2CブランドであるAllbirdsも、クラウドファンディングに非常に参考になる事例でしょう。

Allbirdsを立ち上げた創業者の一人、ティム・ブラウン氏は、良いアイデアは合ったものの、すぐに商品化をすることなく、Kickstarterによってクラウドファンディングを始めました。

なぜAllbirdsがクラウドファンディングを成功させたのか、それはそのアイデアを元に自社内で商品を完成させるのではなく、そのアイデアとなる構想をオープンに広げることで、人々の注目を集めたのです。

言うならば、ウールで制作しやシンプルで美しい靴、というアイデアに対し支援を集め、人々のリアルな反応を見て、構想を進めたのです。

このように、クラウドファンディングは商品が完成していない場合でもアイデアがあれば、より多くの支援を集めることができますし、限りなく完成品に近い試作品を出すハードルを下げることができ、顧客の反応を近くで見ながらアプローチの方法も変えることができます。

支援者は、購入者になるのですが、アイデアを出し、そのアイデアを広げさらなるアイデアへと繋げる「仲間」にもなるのです。

まとめ

以上、 D2Cビジネスにおけるクラウドファンディングの参考事例をご紹介させていただきました。

これらの事例全て、異なるアプローチでありながらも、どの事例であっても顧客の心情をしっかり理解して共感を得て、顧客と共にブランドを作っていることが分かるでしょう。

そもそもD2Cビジネスは、顧客と直接的に繋がるビジネスモデルですので、クラウドファンディングとは非常に相性が良いと考えられているのです。

特にD2Cビジネスの立ち上げ時の場合は、クラウドファンディングは絶対的に活用すべきと考えられますので、ぜひこれらの事例を参考に、クラウドファンディングの活用を検討してくださいね。