2000年代後半頃より徐々に、D2Cというビジネスモデルが注目を集めています。
D2Cは、インターネットやスマートフォンの普及に伴い、ECコマースが拡大し、国内外でどんどん需要が伸びているビジネスモデルです。
D2Cとは、ブランドやメーカーが自社内で企画し、製造した商品を、消費者に直接的に販売する仕組みのことを言います。
流通業者を介すことなく、自社独自のチャネルにて商品販売を行いますので、従来までのビジネスで必要であった仲介手数料などを大幅に削減することができ、高品質な商品を低価格で販売することができることが特徴です。
D2C事業者として、一つの目標であることは、「上場」そして「株式公開」でしょう。
これらを達成するためには、IPOを考える方が多いかと思いますが、近年IPOより「ダイレクトリスティング」が注目を集めていることをご存知でしょうか。
最近アメリカの企業で行われているので、耳にされたことがある方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、D2Cビジネスを行う上で注目すべき「ダイレクトリスティング」について、詳しくお話させて頂きたいと思います。
今後より効率よくD2Cビジネスを進めたいと思われている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
そもそも上場とは、証券取引所で自社の株式取引を開始することを意味します。
証券取引所の中にも市場の区分があり、上場企業とは実際に株式を発行することができる企業のことを意味しています。
そしてIPOは、Intirial Public Offeringの略称であり、直訳すると「最初の公開の売り物」という意味であり、未上場企業が新規として株式を証券取引所に上場し、投資家に株式を取得させます。
株式上場にて、通常は新しく株式が公募されたり、上場する前に株主が保有している株式が売り出され、これらの株式を証券会社を通じて投資家に配分します。
これらの意味をふまえた上で、ダイレクトリスティングを理解していきましょう。
ダイレクトリスティングは、新株を発行せず、既存の株式を売り出します。
新株を発行しないので、その新株を引き受ける証券会社も必要ありませんし、発行条件を決める必要もないので、IPOにて必要とされる主幹事証券の決定、そしてロードショーなどの手順を踏まずに企業を上場させることができます。
従業員や既存投資家が所有している、発行済みの株式を上場している市場で売却することができますので、引受証券会社を決めるための手数料も不要で、ロックアップ期間も必要がなく、株式が希薄化しないのです。
なぜダイレクトリスティングが注目されているのか、それは近年IPOでの公募価格が適正な水準に設定されていないと問題視されていることが大きな要因です。
企業にとってプラスと考えられるのは、上場した初日に株価が急騰することだと勘違いされてしまいがちですが、実際のところは公募価格が低すぎることが問題なのです。
投資銀行が公募価格を決める際、大手機関の投資家を優遇し過ぎるがあまり、IPOにて不適切な価格設定や株式配分を行っているのではないか、という懸念が高まってきてしまっているのです。
つまり、IPOは主要投資家との株価交渉で決まるのですが、ダイレクトリスティングの場合は単純に市場の需要と供給によって決まりますので、IPOのような懸念が払拭されるのです。
ダイレクトリスティングは、株の販売をサポートしてくれる引受証券会社がいませんので、企業が独自の魅力で勝負しなければなりません。
ある程度知名度を持っている、理解されやすい、直近の資金ニーズがない、などであれば、ダイレクトリスティングに向いていると言えるでしょう。
簡単に言うと、上場する前から既に広く認知されており、当面の資金に余裕があれば、ダイレクトリスティングを行う方が効率良くビジネスを進めることができるでしょう。
もし自社がこれらの条件に当てはまっていると考えられる場合は、ぜひダイレクトリスティングの選択を検討してみてはいかがでしょうか。
以上、D2Cビジネスを行う上で注目すべき「ダイレクトリスティング」についてお話させていただきました。
今、日本では公募価格と初値の乖離が深刻だと言われており、今後の日本企業にもどんどんダイレクトリスティングを選択する企業が多くなってくると言われています。
D2Cビジネスを行う上でも、このビジネスの方針を決める選択は、企業の将来を決める非常に重要な選択になりますので、もし自社がダイレクトリスティングに向いていると考えられるのであれば、ぜひこの機会にダイレクトリスティングの知識を付け、今度のD2Cビジネスに活かしてくださいね。