なぜD2Cは失敗するのか?

近年、D2Cと言うビジネスモデルが高い注目を集め、様々なD2Cブランドが誕生しています。

しかし、成功しているブランドは一部であり、それ以外では収益を上げることができずにいる企業も多いのです。

そして、その原因のほとんどはD2Cのメリットだけを見て、デメリットを見ていないからと言えます。

そこで今回の記事ではD2Cは失敗する原因について説明したいと思います。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

DSCが注目される理由

D2Cがこれほど高い注目を集めるのは、一般的には、インターネットが広く普及したことにより、顧客と直接繋がることが容易となったためとされています。

これは、間違いではないですが、実際にはもう少し複雑な事情があり、その一つが、消費者のニーズが多様化したことです。

インターネット以前は、トレンドが予測しやすく需要の予測も容易であっため、企業は大量に商品を生産し、販売することが可能でした。

そして、その商品を様々な中間業者を通して販売していたのです。

しかし、インターネットが広く普及し、消費者による情報の収集が容易になると、消費者のニーズは多様化し、従来通りのビジネスではニーズを満たすことができなくなったのです。

トレンドを予測するどころか、トレンド商品自体が存在しなくなり、消費者のニーズを満たすためには、それぞれのニーズに合わせ多様多種な商品を用意する必要が生じるようになったのです。

しかし、商品の量ではなく種類が増えるということは、生産や在庫管理にかかるコストが上がるということです。

これにより、収益も上がればよいですが、ただ闇雲に商品の種類を増やしたからと言って、消費者の多様化したニーズを満たせるわけではありません。

そのため、多くの企業は、いくつかの商品を最小のロットで生産し、その中で実際に売れた商品だけを追加生産するようになります。

しかし、これもまた、商品の原価や販促にかかるコストを高騰させることになり、結果として収益はさらに圧迫されてしまったのです。

そして、この状況を改善するために各企業が考えたのが、まず消費者のニーズを的確に捉える事であり、そのニーズに沿った最適な商品を提案していく事です。

この消費者のニーズをとらえるためには、消費者と直接つながることが必要であり、それがインターネットであり、SNSであったのです。

また、D2Cが収益を上げやすいビジネスモデルであると言われていることも、高い注目を集めている一つの理由です。

D2Cは、企業が消費者に商品を直接販売するモデルであり、そのために、従来は間に入っていた中間業者が存在しません。

これはつまり、中間マージンが発生しないことを意味しています。

この中間マージンは、状況に応じて設定金額は異なり、人気の高い小売業者の場合、売り上げの35~45%を引かれてしまうこともあります。

この中間マージンが発生しないと言うのは、企業にとっては非常に大きなメリットとなるわけです。

また、自社で販売を行うということは、それにかかわるデータをすべて自社で保有することが可能となります。

つまり、自社の顧客のニーズを直接取得することができるため、需給予測が立てやすくなり、生産効率を向上させることもできるのです。

さらに、D2Cでは、流通においても中間業者を介在する必要がありません。

直接消費者に商品を届けることが可能であるため、物流コストを大幅に削減することができるのです。

このように、DSCは、生産から販売までを一貫して行うことができるため、コストの削減が可能であり、収益性を高めやすいビジネスモデルと言えるのです。

D2Cで失敗する理由

このように、DSCは、現在のSNS時代に即した、高収益のビジネスモデルであることから、高い注目集めているのです。

実際に、導入を検討している企業も増加しているようですが、誰もが簡単に成功できるわけではありません、と言うよりも、実際のD2Cはビジネスモデルの中でも非常に難易度が高いのです。

DSCは、前述のように、多くのメリットのある高収益のビジネスモデルです。

しかし、このメリットは反対から見れば、全てデメリットでもあるのです。

商品の生産から販売、流通まで全てを一貫して行うことができると言うのは、裏を返せば、全てを自社で行い、従来の中間業者の役割も担わなければならないということなのです。

特に問題となるのは、自社ECサイトの構築、マーケティング、データ管理です。

これらは、従来であれば、専門業者に委託されることが多く、自社でノウハウを持っていないケースが多いのです。

そのため、自社内で行うためには、ノウハウを持った人材を確保する必要があるのです。

このように、高いスキルを持った人材を揃え、自社内ですべての業務を完全に遂行できて初めて、DSCビジネスが動き始めます。

つまり、これができなければ、DSCで成功することは困難なのです。

まとめ

現在の市場では、D2Cと言う言葉が独り歩きをし、誰でも簡単に高収益を上げることができるかのように考えられています。

しかし、D2Cとは簡単に成功できるビジネスモデルではありません。

特徴をよく考えてみれば分かるように、従来のビジネスモデルと比べると非常に難易度が高いビジネスモデルなのです。

導入を考えているのであれば、この点を理解し、しっかりと準備を行うことが重要なのです。