アメリカで誕生し、世界的に広まっているD2Cビジネスは、日本でも高い注目を集め、多くの企業がブランドを立ち上げています。
しかし、大きく成長するアメリカのD2C企業と比べ、日本のD2C企業はそれほど大きく成長することがありません。
その理由はいくつか考えられますが、最も大きな理由はD2Cビジネスを取り巻く環境に差があるということなのです。
そこで今回の記事では、日本のスタートアップD2Cが成長できない理由について説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
D2Cは、アメリカで誕生し、数年の間に大きく成長したビジネスモデルです。
今では、アメリカだけでなく、世界中に広く普及し、日本においても多くのD2Cブランドが誕生しています。
新しいビジネスモデルであるがため、新しく立ち上げられた企業が多いですが、既にアメリカでは、多くのD2C企業が評価額10億ドル以上と言われるユニコーン企業にまで成長しています。
しかし、日本では、新しく立ち上げられたD2C企業が、それほど大きく成長するケースはありません。
成功しているD2Cブランドはありますが、企業としての規模はそれ程大きくはないのです。
これは、日本とアメリカのD2Cのような新しいビジネスを取り巻いている環境の差が影響していると考えられます。
日本は、企業に対して、常に利益を求める意識が非常に強い国であり、スタートアップ企業に対しても黒字化を強く求めます。
一方、アメリカでは、将来性がある企業であれば、その時点では赤字だとしても、融資を受けられたり、上場が可能であったりするのです。
結果的にその企業がつぶれてしまうこともありますが、大きく化けることも多く、とにかく挑戦している企業を後押ししようと言う風潮があるのです。
例えば、アメリカのスニーカーのD2CブランドであるAllbirdsは、上場する時点では数十億円の赤字を出している状況でした。
しかし、これほど大規模な赤字であっても、将来が期待できることから上場が可能となったのです。
このようなスタートアップを取り巻く環境の差が、日本とアメリカのD2C企業の大きな差となり、日本のD2C企業の動きを小さくしているのではないかと考えられているのです。
また、コロナ禍で浮き彫りとなったのが、日本とアメリカの変化に対する対応の差です。
コロナ禍では、まず、不要不急の外出を控えることが求められました。
この際に、アメリカは迅速なオンライン化を実施し、学校や自治体、金融機関などオンラインで可能なことは徹底してオンライン化を進めたのです。
一方、日本でも、外出の自粛が求められましたが、オンライン化が徹底しているわけでもなく、自治体や金融機関などでは、いまだに窓口に赴かなければならないことも多いのです。
印鑑を不要とする動きも見られましたが、実際には、そのためにわざわざ出社しなければならない企業も多いようです。
これは、日本とアメリカの流行の規模の違いも大きいですが、何よりも問題であるのが、日本には変化を嫌う風潮が根強くあることです。
先ほどの印鑑のケースでも分かるように、印鑑の必要性は薄れてきているにもかかわらず、いまだに印鑑にこだわり続け、この有事にも、結局はその印鑑文化から抜け出すことができないでいます。
このような日本の変化を嫌う風潮は、当然ビジネスにも大きく影響を与えます。
特に、新しいビジネスの場合、新しいと言うだけでなかなか受け入れてもらえないことが多いのです。
これでは、新しいビジネスが大きく成長することは考えられません。
この差を埋めていかなくては、今後もD2Cのような新しいビジネスの成長を妨げることになるのです。
このように、日本とアメリカでは、新しいビジネスを取り巻く環境に大きな差があり、その差は、日本の国民性や文化などが影響していると考えられています。
特に、これは、これまでビジネスの中心となっていた世代においては顕著であり、改善するためには、これらの世代の意識を改革していかなくてはなりません。
一方、これからの時代を担う若い世代の意識は大きく変化しています。
現代の若い世代は、デジタルを利用することにより、既に世界と通じており、異なる文化や意識も受け入れる柔軟さを持っているのです。
そして、もちろんこの世代は、新しいビジネスにも高い関心を持ち、D2Cビジネスに対しても期待を寄せています。
日本において、新しいビジネスが成長するためには、この若い世代の力が必要となってくるのです。
日本は、世界的に見ても独自の文化を持った国であり、これはビジネスの在り方に大きく影響を与えています。
特に、新しいものや変化に対しての警戒心が強く、受け入れるまでに時間がかかる傾向が高いのです。
そして、これがD2Cのような新しいビジネスの動きを小さくしてしまっていると考えられるのです。
これを改善していくためには、意識の改革が必要となるため、そう簡単に実現はできません。
しかし、現代の若い世代の意識は、既に大きく変化しており、この若い世代の力に期待が寄せられているのです。