D2Cビジネスに必要な、次世代CRM物流の考え方

2010年頃、アメリカで登場したD2Cというビジネスモデルが、今日本でも大きな広がりを見せています。

特にアパレル業界や美容業界で拡大しており、メーカーやブランドが自社内で商品の企画や生産を行い、流通業者を介すことなく、自社ECサイトで直接消費者に商品を販売する、というビジネスモデルなのです。

自社内で開発した商品を直接消費者に販売する手法自体は、IT企業などではもうすでに一般的に採用されているのですが、D2Cは実態のある商品を取り扱うということで新奇性を持っているのです。

D2Cビジネスを行う上では、CRM物流に関する知識は欠かすことができません。

そして、D2Cビジネスでのカスタマーエクスペリエンスを最大化させるためには、「次世代CRM物流」の考え方が重要なのです。

そこで今回は、D2Cビジネスに必要な次世代CRM物流の考え方について、詳しくお話させていただきたいと思います。

今後D2Cビジネスで効率良くビジネスを進めようと思われている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

従来までの物流と次世代CRM物流の違い

従来までの物流の捉え方と言えば、物流はバックヤードであり、CRMやマーケティングとは関係なく、期日までに顧客に届けば良い、どの配送キャリアを使うかだけが問題、とにかくコストを抑えたい、という考えが主流でした。

ですが、次世代CRM物流の特徴は、従来までコストと捉えることができていた物流を「カスタマーエクスペリエンスを高め、売り上げを伸ばすための物流」と捉えていることでしょう。

今後、競合他社との差別化を図るため、顧客とのタッチポイントである物流の場で、CRMを推進していくことが重要ですので、これを実現するためにもただ商品を梱包して発送するのではなく、より魅力的な付加機能を提供するために、物流センターとビジネスパートナーになることが重要なのです。

全体のサービス設計が重要

カスタマーエクスペリエンスを高めるためには、全体のサービス設計が非常に重要です。

たとえば一流のシェフが一流の食材を使うレストランがあるとして、もしそれが人気がないレストランだとすると、スタッフが不愛想なのか、皿やカトラリーが安っぽいのか、注文と異なる料理が出てくるのか、見送りなどの十分なサービスがないのか、などの理由が考えられますよね。

つまり、料理の腕や食材があっても、それだけが評価基準になるかと言われると、そうではないのです。

特に優れていることがあったとしても、顧客対応などすべてを含めて、トータルで良いサービスを提供しなければ、評価されることはありません。

これをD2Cとして考えた場合でも、顧客との接点を洗い出し、全体のサービス設計をすることが非常に重要なのです。

最初に顧客と出会うタイミングで好印象を与えるための仕掛けが必要で、初回購入者のみを対象とした同梱物封入ができるシステムと、それを間違いなく運用することができる物流センターが必要です。

サービス設計の原則

サービス設計を行う上では、「モーメントオブトゥルース(真実の瞬間)」「サービスレベルの統一(桶の理論)」「ハロー効果(近接効果)」の3つの原則を押さえておきましょう。

モーメントオブトゥルースは、顧客が商品やブランドの質を判断する瞬間のことを言い、ECビジネスで考えると、顧客が最初に商品を手にする瞬間、つまり「商品が届いたタイミング」です。

商品やブランドに対する印象が、第一印象で左右されますので、初回出荷時に「また購入したい」と思ってもらうことができるような仕組みが必要です。

サービスレベルの統一は、商品企画からWebサイトの設計、プロモーション、受注対応、出荷に至るまでのすべてを同じサービスレベルで運営することです。

在庫の仕入れやWebサイトの設計が完璧であったとしても、出荷がパンクしてしまえば出荷のサービスによって、商品やブランドのレベルが図られてしまいます。

カスタマーエクスペリエンスを向上させるには、すべて統一したサービスレベルで運用することが重要なのです。

ハロー効果は、商品やブランドがもつ、目立ちやすい特徴に引っ張られてしまい、その特徴以外に対する評価にバイアスがかかることを言います。

ハロー効果を意識して、手厚い顧客対応を実現することで、より好印象を与えることができ、リピートに繋げることができるでしょう。

アフターメールやフォローコールをしっかり行いましょう。

D2C市場が拡大する中で、競合ブランドに勝ち抜くためには、この3つの原則を前提として考え、CRMを重視したサービスの設計が非常に重要です。

そしてこのサービス設計の上で欠かすことができないのが、顧客との重要な接点である「物流」なのです。

次世代CRM物流は、物流センターでの付加価値こそ、カスタマーエクスペリエンスを高め、LTVを最大化させるために必要なのです。

まとめ

以上、D2Cビジネスに必要な、次世代CRM物流の考え方についてお話させていただきました。

ECにおいて、物流はコストと捉えられてしまいがちですが、見方を変えれば、カスタマーエクスペリエンスを高め、売り上げを伸ばすための物流なのです。

他社との差別化を図るためにも、CRMを実現することができる付加機能を持つ物流センターをビジネスパートナーとすることが重要なのです。

今のD2Cビジネスには、次世代CRM物流の考え方は必要不可欠ですので、ぜひこの機会にしっかり知識を得てくださいね。