昨年から続く新型コロナウイルスの流行による外出自粛の影響で多くの企業がECシフトを加速し、EC市場は急激に拡大化しています。
これに伴い、ECを販売の軸とするD2Cも市場を拡げており、ブランドが乱立する状態となっているのです。
このような状況の中で、存在感を示すためには、他のブランドとの明確な差別化が必要です。
そして、そこで注目を集めているのが、物流の面から行うおもてなしなのです。
そこで今回の記事では、D2Cにおけるおもてなしについて説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
おもてなしとは、日本に古くから伝わる言葉であり、現在は、お客様に丁寧な接客をすることと言うような意味で使用されています。
しかし、この言葉の本来の意味は深く、伝統文化である茶道の精神に深い関わりを持っています。
茶道は、単にお茶を味わうものではありません。
お客様を迎える側が、茶器や道具、飾りに至るまで、お客様のためを思い細部まで心を配り、丁寧に準備をするのです。
そして、お客様を迎えたら、精一杯の心を尽くして、お茶を立てます。
何においても、お客様のことを考え、お客様が楽しんでくれるように、最大限の配慮をするのが茶道の心得であり、これが現在のおもてなしに繋がっているのです。
このおもてなしの意味から考えると、ECは、実際にお客様と接することができる実店舗には適わない面があります。
しかし、例えECでもおもてなしを行う方法はいくらでもあるのです。
要は、どれだけお客様の事を考えることができているかということなのです。
実店舗であっても、その心がなければ、おもてなしを行うことはできませんし、実際に、おもてなしとは程遠い接客を行っている店舗も少なくありません。
顔が見えなくても、お客様の事を思っていれば、お客様が喜ぶおもてなしをすることは可能であり、それが結果として顧客満足度や売り上げの向上に繋がっていくのです。
これは、D2Cビジネスでも同様です。さらに、D2Cは、そもそもが顧客との関係性を構築することは重要と考え、顧客を第一に考えるビジネスですから、このおもてなしを実行するのは、一般のECよりも重要なことと考えられるのです。
実際に、D2Cで行うおもてなしの方法として挙げられるのは、顧客の購入履歴や実績などのデータを利用して、商品の購入に対するお礼状を発送したり、特典を与えると言った施策です。
この時、重要となるのが、顧客一人一人に合わせてお礼状の内容や特典を変えると言うことです。
ECで商品を販売するD2Cでは、顧客がどんな商品を購入したか、どの商品に興味を持っているかと言うことが、購入履歴や行動履歴から簡単に分かります。
これは、ECならではのメリットであり、これをおもてなしにも最大限に活かすことが大切なのです。
さらに、商品を梱包、配送する際にも、十分な心配りが必要です。
D2Cブランドは、世界観やイメージを何よりも大切にしており、顧客の多くはそれに共感して、ブランドの商品を購入してくれるのです。
そのため、商品の梱包や配送の際にも、世界観やイメージを棄損しないようにすることが必要となるのです。
具体的には、商品を包装する包装紙や緩衝材、同梱物、それらを梱包する段ボールなど細部に至るまで、世界観を反映した素材を使用すると言ったことが必要です。
SNSやECサイトで訴求しているブランドの世界観と、顧客が梱包を解いたときの印象が異なることがないようにしなければならないのです。
極端な例えでは、緩衝材に新聞紙を使用したり、使い古しの段ボールを使用すると言ったことは、ブランドの世界観やイメージの棄損に繋がります。
そこまで、極端な梱包をするD2Cブランドはないとは思いますが、ブランドのイメージは簡単に棄損されてしまうものであることを留意することが重要なのです。
ただし、現在では、資源を大切にする、ごみを増やさないと言った、サスティナブルな取り組みが世界的に注目されています。
特に、D2Cブランドを支持する世代においては、この取り組みに対する関心が高く、過剰な包装や梱包を好まず、D2Cブランドに対してもそれを求める傾向があります。
この過剰な包装と言うのは、商品に対してパッケージが大きすぎる、商品に対して大きすぎる段ボールを使用する、緩衝材を必要以上に使用すると言ったことです。
これらは、結局は大量のごみとなりますし、顧客自身が処分しなければなりません。
このような包装や梱包に満足する顧客はいませんし、これも結果として、ブランドの棄損に繋がってしまうのです。
コロナ禍において、EC市場が急速に成長しているのに伴い、D2C市場も拡大化を続けています。
その厳しい競争の中で、生き残るためには、顧客から支持されることが必要であり、そのためにはおもてなしが重要となるのです。
このおもてなしについては、D2Cは、直接顧客と接することができる実店舗には適わない面も多々あります。
しかし、D2Cには、今回説明したように、デジタルの利点を生かしたD2Cならではのおもてなし方法があり、これを地道に行っていくことが大切なのです。