リカーリングとサブスクは何が違うのか?

ここ数年、サブスクリプションビジネスが急速に市場を拡大し、あらゆる分野に広く普及しています。

日々新たなサービスが誕生しており、一般への認知度も向上しているのです。

しかし、ビジネスの界隈では、サブスクはそれほど目新しいビジネスではなく、リカーリングという、似たようなビジネスも以前から存在しているのです。

そこで今回の記事では、リカーリングとサブスクの違いについて説明したいと思います。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

リカーリングとサブスクの違いとは?

ビジネスは、一般的に大きく2つの種類に分けることができます。

その一つがフロー型と呼ばれるビジネスで、先ほど述べたように、従来の継続性のない一度限りの取引で終わることが多いのが特徴です。

小売店や飲食店などは、このフロー型ビジネスの典型的な例であり、従来型のビジネスのほとんどはフロー型とも言われています。

もう一つのビジネスが、ストック型と呼ばれるビジネスであり、消費者と一定の期間契約を結び、商品やサービスを提供し続けることで、継続的に収入を得る仕組みとなります。

電気やガスなどのインフラや塾や会員制のスポーツジムなどがこれに該当し、リカーリングもこのストック型ビジネスの一つの種類です。

そして、サブスクリプションビジネスも同様の特徴を持つ、ストック型ビジネスの一つの種類なのです。

これらのビジネスは、異なるビジネスであるとされていますが、その違いは明確に定義されているわけではありません。

一般的には、サブスクビジネスは定額、リカーリングビジネスは従量課金と課金の仕組みによって分けられています。

例えば、消費者がプリンター本体を購入したうえで、トナーやインクといった消耗品を追加で購入し続けるサービスは、代表的なリカーリングビジネスです。

他にも、スマートフォンを購入し、通話や通信料として継続して支払いを続けるサービスも同様です。

このように、何らかの契約をしたうえで、使用した分の料金を支払うのがリカーリングビジネスなのです。

一方、サブスクビジネスは、消費者が商品やサービスを一定の期間利用する権利を購入するというものであり、利用している期間の料金は定額に設定されています。

代表的なのが、定められた月額の利用料を支払うことにより、一定の期間音楽が聴き放題となるサービスです。

リカーリングビジネスのように、使用量によって料金が変動することはなく、利用する商品やサービス、プランなどによって料金体系が異なるのが特徴となります。

しかし、サブスクビジネスにも従量課金の仕組みを持つサービスは存在しています。

また、先ほど述べた、塾やスポーツジムなどのビジネスがサブスクに分類されていることもあるのです。

サブスクビジネスは、ストック型ではありますが、現在では、ストック型ビジネス全てがサブスクビジネスとして捉える向きがあるのです。

実際に、現在提供されているサブスクサービスには、定額制とは異なる課金の仕組みのサービスがいくつもあり、大きく分けて9種類もの仕組みが存在しているのです。

この中には、一般的にリカーリングと呼ばれるはずのサービスもありますし、その多くが従来ではストック型と呼ばれていたサービスなのです。

つまり、現在では定額制ではないストック型のビジネスでも、サブスクビジネスとされていることが多いのです。

先ほども述べたように、リカーリングとサブスクの違いは明確に定義されているわけではありませんし、リカーリングの仕組みのサービスをサブスクと呼んだからといって、それが間違いというわけでもないのです。

そして、これは、他のストック型ビジネス全体においても同様なのです。

サブスクの本質は顧客と繋がること!

このように、サブスクビジネスとリカーリングを含む他のストック型ビジネスは、はっきりと分けられている訳でないのです。

ただし、これはビジネスの仕組みに関してです。

サブスクビジネスには、これまでのビジネスとは大きく異なる特徴があり、この特徴は、ビジネスの仕組みよりも重要なものなのです。

その特徴というのが、顧客との繋がりを重要と考えるということです。

ストック型ビジネスやリカーリングビジネスでは、顧客と接点を持つのは、従来の一般的なビジネスと同様に、料金の支払い時のみであることがほとんどです。

長期的に継続して利用している場合でも、企業側から顧客に関わることはありません。

一方、サブスクビジネスは、顧客と積極的に関わり、関係性を構築することを重要視しています。

顧客との関係性が構築できていれば、継続して利用してくれる可能性が高くなりますし、簡単に辞めることも無くなるのです。

これがサブスクビジネスにおいて、最も重要な要素であり、これができていなければ、それはサブスクビジネスとは言えないのです。

ビジネスの仕組みが、ストック型なのか、リカーリングなのか、サブスクなのかというのは、大きな問題ではなく、顧客とどのような関係を築いているかが、サブスクビジネスにおいて最も重要な事なのです。

まとめ

リカーリングもサブスクは、基本的にはストック型ビジネスの中の一つの種類です。

しかし、この分類はそもそも曖昧なものであり、今では、さらにそれが曖昧となっているのです。

現在では、リカーリングの仕組みでも、ストック型ビジネスの仕組みでも、サブスクと呼ばれることがあり、そしてそれは間違いではありません。

サブスクビジネスであるかどうかは、仕組みで判断できるものではないのです。

サブスクビジネスの本質は、今回説明したように、顧客と繋がる事であり、顧客との関係をどのように考えているかということが最も重要なことなのです。