大企業のサブスクが苦戦する理由

サブスクリプションは、近年急成長しているビジネスモデルであり、現在では、大企業までもがサブスクビジネスに注目し、取り組みを始めています。

そして、この大企業のサブスクは、確実に成功できると考えられていました。

しかし、ふたを開けてみれば多くの大企業サブスクが苦戦しているのです。

そこで今回の記事では、大企業のサブスクが苦戦する理由について説明したいと思います。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

大企業にも広がるサブスクリプション

サブスクリプションビジネスは、従来の売り切り型のビジネスとは異なり、顧客に継続して利用してもらうことで売り上げを積み上げていくストック型のビジネスモデルです。

ビジネスが軌道に乗れば、安定した収益を確保することが可能となるため、多くの企業がこのビジネスに関心を示しています。

特に現在は、厳しい状況に置かれている企業が多く、名の知れた大企業であっても、近年激しい競争の中にあります。

その中で、新しい収益源を確保するためにこのビジネスに取り組む企業が増えているのです

しかし、大企業がこれまで収益を上げてきた従来の売り切り型ビジネスとストック型のサブスクビジネスは根本から大きく異なります。

考え方はもちろんですが、組織の体制やビジネスにおいて注意しなければならない指標もまるで違うのです。

そのため、ビジネスの転換が上手くいかず、事業の拡大に苦戦している企業が多いのです。

はたから見れば、大手企業には、サブスクに限らず、新しい事業を成功させるための材料は十分に揃っているように見えます。

そして、実際に、小規模な事業者と比べれば、潤沢な予算、豊富な人材、顧客、知名度、ブランド力と成功する条件は全て揃っているのです。

それにもかかわらずサブスクビジネスを成功させることができないのは大企業のサブスクと言う事業に対する評価が、既存の事業と比べると圧倒的に低いからなのです。

大企業のサブスクが苦戦している理由

大企業にとって新しい事業であるサブスクビジネスの評価が低ければ、本来では、大企業には豊富にある経営の資源が十分に配分されません。

そして、この評価は、新しい事業ということを差し引いても正当とは言えないのです。

既存の事業を抱える大企業は、これまでの売り切り型のビジネスを基本として考えています。

しかし、先ほども述べたように、従来のビジネスとサブスクビジネスは根本から大きく異なるのです。

従来の売り切り型ビジネスでは、一度で取引が終了し、全ての利益が確定します。

一方、サブスクビジネスは、一定の間隔で売り上げが入り、それを継続して繰り返すことで利益を回収するのです。

顧客が継続して利用することで始めて利益が生まれるのです。

つまり、従来では一度で100万の利益を獲得していたものが、サブスクでは、一度で月額10万円の利益となりこれまでと同じ利益を得るためには、10回これを繰り返さなくてはならないことになるのです。

これまでのビジネスと比べれば、サブスクでは長い間赤字が続くことになります。

サブスクビジネスでは、この期間を我慢すれば、安定した収益を確保することが可能となり、予算が潤沢にある大企業であれば、この程度の赤字の期間を持ちこたえることは容易なことです

さらに、将来的に得ることができる収益を考え、サブスクへの投資額を増やしていけばそれだけ将来の収益も積みあがっていくことになるのです。

しかし、従来の売り切り型のビジネスに捉われている大企業はいまだに多く、実数値でしか判断できなくなっているのです。

サブスクビジネスは、収益を実数値ではなく、期待値で判断する必要があります

一度で期待できる売り上げと、それを回収するまでにかかる期間を的確に予測することが必要なのです。

ビジネスがこれほど違うのですから、参考にすべきである指標も異なります。

ビジネスには、それぞれ重要な指標があり、サブスクビジネスでは、サブスクビジネスに必要な指標に基づいて判断をすることが重要となるのです。

この両者の根本的な違いを理解しなくては、サブスクビジネスが成功するはずもありません

大企業がサブスクビジネスを成功させるためには、企業全体が頭を切り換えていかなくてはならないのです

まとめ

サブスクビジネスが、ここまで広く普及したことによって、名の知れた大企業までもがサブスクビジネスに関心を示し、取り組みを始めています。

しかし、その多くは事業を拡大するどころか、いまだ苦戦しているのです。

その理由は、今回説明したように、サブスクビジネスが大企業の多くが抱えている従来型のビジネスとは大きく異なるからなのです。

サブスクビジネスの特性を正しく理解していないために、従来型のビジネスからの切り替えが上手くいかず、苦戦を強いられているのです。

大企業には、サブスクを成功させるための条件はすべて揃っています。後は、サブスクの本質を理解し、企業全体で転換を図っていくことが必要なのです。