サブスクリプションは、従来のように商品やサービスに対して対価を支払うのではなく、定められた料金を支払うことにより、商品やサービスを一定の期間利用することができる仕組みのビジネスモデルであり、略してサブスクと呼ばれています。
このサブスクは、近年、著しい成長を遂げており、2020年現在においての市場は、1兆円規模に拡大化しています。
しかし、市場がこれほど成長していることに、利用者である消費者はそれほど高い関心を持っていないようなのです。
そこで今回の記事では、サブスクブームに対する消費者の意識について説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
サブスク市場がここまで拡大化した理由は、サブスクサービスが消費者に広く普及したこともその理由の一つではありますが、それよりも大きな理由は、サービスを提供する企業にとって、非常に魅力的なメリットがあるからだと考えられます。
この企業側から見たサブスクの魅力と言うのは、定額制の仕組みであるため、継続して安定した収益を得ることができるという点です。
継続利用が前提であるため、サービスを契約した利用者は、月額利用料を先払いしてくれますし、会員制であるため、その月の収益が見立てやすいのです。
継続して利用してくれる利用者が増えれば増えるほど、収益は安定しますし、顧客が増えることにより、新規の顧客獲得にかかるコストを削減することも可能となるのです。
しかし、これはあくまでも、順調に顧客を獲得できている場合であり、すなわちサブスクビジネスの理想にすぎません。
すべてのサブスクが順調に顧客を獲得できているわけではありませんし、新規に参入したからと言って、すぐに顧客を獲得できるわけではないのです。
また、サブスクは前述のように企業にとってメリットのあるビジネスではありますが、同時にデメリットももちろん存在します。
長期的に継続して安定した収益を得るためには、顧客に継続して利用してもらわなくてはならないのです。
従来のビジネスのように、ただ商品やサービスを提供しているだけでは、顧客は継続して利用してはくれません。
サブスクは、いかに顧客に長く継続して利用してもらうことができるかが重要であり、そのためには様々な施策が必要なのです。
特に重要となるのが、徹底して顧客視点に立つことです。
サブスクで大切なのは、顧客一人一人とコミュニケーションをとり、そのニーズに対応することなのです。
これにより、顧客一人一人と関係性を構築することが可能となり、長く利用してもらうことができるのです。
上記のように、サブスクビジネスには、メリットもあれば、デメリットも存在します。
しかし、市場に溢れているサービスの中には、このデメリットを理解していないケースも多いのです。
顧客のニーズに沿うのではなく、従来のように、ただ企業側が用意した商品やサービスを提供しているだけのサブスクが多いのです。
こういったサービスは、一時的に新規の顧客を獲得することはできるかもしれませんが、継続して利用してくれる可能性は低くなり、そうなった場合、サブスクビジネスとしては成り立たなくなってしまうのです。
目先の利益に気を取られ、新規の顧客を獲得するだけでは、サブスクを成功させることなどできないのです。
このように、サブスクは企業側にとって非常に魅力的なメリットがあり、それゆえにデメリットを考えずに事業を展開しているケースが多くみられるのです。
消費者側から見た場合にもサブスクはメリットが多く、魅力的なサービスです。
消費者がサブスクに魅力を感じるポイントとしては、以下のようなものが挙げられます。
●あらゆるサービスが展開されているため選択肢が多い
●安価で利用できる
●必要な分だけ利用できる
●定額制のため払い過ぎることが無い
●購入や支払いの手間を省くことができる
●手軽に試すことができる
●高額の商品やサービスを手ごろな価格で試すことができる
●所有や廃棄の手間がかからない
これらのことから分かるのは、消費者はサブスクに単なる買い物以上の魅力を感じているということです。
そして、これは消費者がサブスクに求めているものでもあります。
従来では、ただ代金を払って商品を購入するのが当たり前でしたが、現在の消費者はさらに進んだサービスを求めており、このニーズに対応していくことがサブスクビジネスにとって最も重要なことなのです。
ただし、これはあくまでも、消費者からみたサブスクのメリットにしか過ぎません。
企業側から見た場合と同様に、消費者側から見た場合にもデメリットはあるのです。
そして、そのデメリットとして挙げられるのが以下のような点になります。
●選択肢が多すぎる
●サービスをいくつも契約しすぎてしまう
●利用しなくても料金が発生する
●解約や休止の手続きが面倒
●思っていたよりも利用することが無い
●購入したほうが得な場合がある
●利用しなくてはと言う義務感が起こる
このデメリットから分かるのは、消費者にとってのメリットは、裏を返せばデメリットにもなり得るということです。
多くのサービスの中から選択すると言うのは、自身に合うものを選べると言うメリットもありますが、比較検討に時間がかかると言うデメリットにもなります。
また、安価で手軽に利用でき、支払いの手間がないと言ったメリットは、安価であるため契約しすぎてしまう、利用していないのに料金は自動的に支払われてしまうと言ったデメリットにもなるのです。
そもそも、サブスクがこれほど普及したのには、従来のビジネスでは、商品が売れなくなっていると言う要因もあるのです。
技術の進歩により商品の性能が上がり、市場には同じような商品が溢れかえっているのです。
消費者はこの大量にある商品の中から商品を選択することに疲れ、目新しいサブスクと言うサービスに強く惹きつけられたのです。
しかし、結局はサブスク市場にもサービスが溢れかえり、消費者が選択しなければならないような状況に陥っています。
現在では、消費者が日常に利用する何もかもがサブスクサービスとなり、どれを選択するにしてもサブスクと言うような状況になっているのです。
これは、消費者にとって、それほど喜ばしいことではありません。
現在、消費者が求めているのは、手軽に、安く利用できることであり、それがサブスクでなければいけないわけではないのです。
実際に、最もお得そうだからと選んだサービスがたまたまサブスクであったと言うケースも多いのです。
つまり消費者は、サブスクと言うビジネスをそれほど必要としてはいないのです。
本来サブスクとは、顧客一人一人のニーズに合わせ、最も適したサービスを提供し、それをさらに追求していくことで、顧客に継続して利用してもらうビジネスモデルなのです。
しかし、その現状は、企業が自社の収益の安定のためにサブスクに参入し、消費者はとにかくお得になるサービスを選択すると言うビジネスに成り下がっているのです。
つまり、消費者の多くは、サブスクを便利に使えるお得なサービスとしか考えていないということです。
この現状から本来のサブスクに戻すためには、まず、企業側がその考えを改め、サブスクと言うビジネスモデルの本質を理解する必要があるのです。