商品販売やサービス提供を行われている企業の方は、ここ最近「サブスクリプション」という言葉を耳にする機会が多くなったことでしょう。
サブスクリプションとは、定期購読のように消費者が企業に定額の利用料金を支払うことで、一定期間自由にその商品やサービスを利用することができるというビジネスモデルです。
サブスクリプションビジネスが流行しだしたころ、音楽や動画、電子書籍と言ったデジタル商材こそサブスクリプションとの相性が良いと言われていたのですが、ここ数年でサブスクリプション市場はさらに拡大し、今では飲食やアパレル業界においてもサブスクリプションサービスの提供を始めています。
だからこそ、自社でもサブスクリプションサービスの提供を始めたいと思われている方も多いのではないでしょうか。
どのような事業においても、損益分岐点に関する分析を欠かすことが出来ないのですが、特にサブスクリプションビジネスでの損益分析点の動きは、従来までの売り切り型ビジネスとは異なっています。
そこで今回は、サブスクリプション事業者は知っておくべき、損益分岐点の動きについてお話させていただきたいと思います。
今後サブスクリプションビジネスの展開を検討されている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
サブスクリプションビジネスと売り切り型ビジネスとの大きな違いは、「ゴール地点」です。
従来の売り切り型ビジネスでは、消費者に商品を購入してもたうこと、もしくは契約してもらうことがゴール地点でしたので、そこまで達成すれば顧客との関わりはなくなってしまっていました。
ですがサブスクリプションビジネスにおいては、自社が提供するサービスを契約した時点がスタートになり、そこからいかにして顧客に長く利用し続けてもらうことができるか、ということに注力することこそ、ビジネスを存続させるためのポイントになります。
つまり、売り切り型ビジネスは一度商品開発が終わればマーケティングに投資をしなければなりませんが、サブスクリプションサービスの場合は顧客に継続して利用し続けてもらうためのサービス改善が第一となりますので、必然的に損益分岐点が高くなる傾向にあるのです。
サブスクリプションビジネスの損益分岐点にはどのような特徴があるのでしょうか。
前述したとおり、サブスクリプションビジネスではサービスの契約こそスタート地点であるため、ビジネスとして利益を上げていくためには、契約をしてもらってから継続してサービスを利用してもらうことが重要なのです。
ですが、サブスクリプションサービスの場合顧客獲得のための営業コストや広告コストが必要になります。
ですので継続して利用してもらわなければコストを回収することができず、赤字になってしまう場合があるのです。
大手企業の場合、運営に余裕がありますし比較的高い継続率を見込むことができるサービスの場合には、無料お試し期間を一週間~三カ月も設けていることが多いのですが、この場合無料お試し期間の分、利益が発生するまでに時間がかかってしまうのです。
つまりこの場合でも損益分岐点もシフトしてしまいますし、無料お試し期間によって顧客獲得単価も下がってしまうことがあるでしょう。
サブスクリプションビジネスにて、より利益を上げたいと考えられている場合、よくある利益率向上の戦略として、クロスセルやアップセルを用いている企業が多いでしょう。
クロスセルは、今契約している商品やサービスのプランに加え、さらに新しい商品やサービスを契約してもらうことを言います。
そしてアップセルとは、今契約しているプランよりもさらにグレードの高いプランを契約してもらうことを言います。
これらをうまく用いることで、より顧客単価の上昇に期待することができるでしょう。
サブスクリプションビジネスは、いかに顧客が自社サービスを選び続け、いかに長く利用してもらうことができるか、ということが重要なポイントです。
顧客に選ばれるサブスクリプションサービスは、お得で便利で悩みが解消されるような顧客視点から作られたサービスであるということを忘れてはいけません。
サブスクリプションサービスを提供している企業の中には、新規顧客獲得を重視している企業も多いのですが、実際既存顧客に注力し、既存顧客の口コミなどから新規顧客を獲得するほうが、ビジネスが成功しやすい傾向にあるのです。
だからこそ、自社を利用してくれている既存顧客に喜んでもらうことができるようなサービスを提供することも大切なのです。
以上、サブスクリプション事業者は知っておくべき、損益分岐点の動きについてお話させていただきました。
サブスクリプションビジネスを成功させるためには、まずは既存顧客第一主義の考えを持ち、顧客視点に立って顧客に満足してもらうサービスを提供することが大切です。
サブスクリプションビジネスを展開する場合は、これらのポイントを考慮し、損益分岐点を理解した上で導入してくださいね。