実例から学ぶサブスクビジネスの難しさ

一般的なビジネスから見た場合、サブスクビジネスは、立ち上げやすく、利益を得やすいビジネスに見えます。

これは、多くのメディアがサブスクのメリットだけを強調していることが大きな原因です。

しかし、実際には、簡単に立ち上げられて利益も得やすいビジネスなど存在しませんし、サブスクビジネスも簡単なビジネスではないのです。

そして、そのサブスクの中でも、特に問題となるのがモノを取り扱うサブスクサービスです。

そこで今回の記事では、サブスクビジネスの難しさについて説明したいと思います。

なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。

増えるモノのサブスク

サブスクは、ソフトウェアの配信サービスから始まり、動画、音楽などの配信サービスによって一般にも広く普及したビジネスモデルです。

そして、現在では、これらの配信サービスにとどまらず、ありとあらゆるジャンルのサービスが提供されるようになっています。

その中でも、特に増えているのがモノを取り扱うサブスクです。

このモノを取り扱うサブスクは日に日にその数を増やしており、その種類は多岐に渡ります。

また、モノそのものを売るサービスやモノを貸出すサービスなどモノの扱い方にも種類があるのです。

そして、それらのモノを扱うには原価がかかり、さらにモノそれぞれによって原価率が大きく異なるのです。

そのため、その投資分を回収する期間にも大きな違いが生じます。

特に、モノを貸し出すサービスの場合、モノが故障や破損、劣化してしまうことが多々あります。

このメンテナンスや交換に対するコストも考えておかなくてはならないのです。

レンタル系サブスクの難しさ

例えば、現在人気を集めているアパレル商品のレンタルサービスの場合、返却された際にクリーニングが欠かせません。

そのため、クリーニングにかかるコストが問題になります。

また、何度も着用し、クリーニングを繰り返すため商品はすぐに劣化してしまいます。

さらに、アパレル商品にはシーズンや流行があり、扱える期間が限定されてしまうのです。

そして、このどちらにしても、商品としての価値はなくなってしまいます。

価値の無くなった商品は廃棄することになりますが、トレンドの洋服の場合そのスピードが早く、廃棄率が高くなるのです。

一方、家具などをレンタルする場合は、シーズンや流行がそれほど影響せず、耐久性も高いので、アパレル商品ほどコストは発生しません

しかし、破損した場合には修理費用が高額になることもあり、廃棄にコストがかかることもあります

このように、モノを取り扱うサブスクでは、取り扱う商材それぞれに様々なコストが発生するのです。

そして、サービスを提供している限り、それを継続していかなくてはならないのです。

そのため、このようなサブスクを運営していくのであれば、事前に商材に合わせて収支を綿密にシミュレーションする必要があるのです。

また、レンタル系のサブスクサービスは、商品の管理が煩雑になると言う問題もあります。

モノを売るサービスとは異なり、商品の在庫管理だけでなく、商品の貸出し、返却の入出庫管理が必要となるのです。

つまり、アパレル商品であれば一度の取引において、商品の発注検品仕入れ受注貸出し返却クリーニングと工程が増えることになり、管理が通常よりも難しくなるのです。

例えば、定期購入型のサブスクであれば、顧客によってある程度購入する商品は決まっており、それを発送すれば良いわけですが、レンタル系サブスクの場合、注文のたびに発送する商品は異なりますし、さらにその商品は一定期間の後に返却されてくるのです。

この物流に関する問題は、サブスクを立ち上げる時点であまり深く考えられておらず、立ち上げ後に困る企業が多いのです。

モノを扱うサブスクには物流はつきものです

特に、レンタル系サービスの場合、適正な在庫管理をするためにはシステムを構築する必要があります。

そして、これらの問題もまた、サブスクを立ち上げる前に綿密に計画しておかなくてはならないことなのです

さらに、レンタル系サブスクには、顧客対応が難しくなると言う問題もあります。

レンタル系サブスクは、モノを売るサブスクと比べ、サービスの仕組みが複雑です。

また、レンタル系サブスクの中には、気に入った商品をそのまま買い取りできるサービスを提供しているところもあるのです。

そのため、顧客からの質問や連絡などが圧倒的に多くなってしまうのです。

サブスクは顧客重視を掲げているビジネスですから、こういった対応を疎かにすることはできず、顧客対応の負担が大きくなってしまうのです。

まとめ

このように、モノを扱うサブスクには、その扱うものによって様々な問題が発生するのです。通常であれば、このような問題は、サブスクビジネスを立ち上げる前に対策を考えておくべきことです。しかし、サブスクは簡単なビジネスと言う思い込みなどから、これらの問題を事前に理解していないケースが増えているのです。どんなビジネスであっても、簡単に立ち上げられる訳はなく、簡単に成功できることなどないのです。サブスクビジネスを成功させたいのであれば、これらの点を留意しておくことが重要となるのです。