一昨年より続くコロナ禍の影響は、多くの業界に及んでおり、大幅に需要が縮小している業界も多くみられます。
その中で、家電業界は、巣ごもり需要の影響により、大幅に需要を増やし、売り上げを伸ばしているのです。
しかし、そのような好調な状況であるにもかかわらず、家電業界で現在最も注目を集めているのが、サブスクサービスなのです。
そこで今回の記事では、家電業界のサブスク化が進む理由について説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
このコロナ禍では、多くの業界が良きにつけ悪しきにつけ何らかの影響を受けていますが、家電業界は、いわゆる巣ごもり需要の波に乗った形となり、多くの企業やメーカーが売り上げを伸ばしています。
これまで、需要の多くを占めていた外国人観光客による需要は、コロナ禍の影響で激減しましたが、テレビや冷蔵庫、洗濯機など、大型家電の買い替えや、テレワークやオンライン授業の普及によるパソコンの需要拡大、さらに、在宅時間の増加による利便性の高い調理家電類などの需要が大幅に増加したことにより、利益が押し上げられた形となっています。
その好調の家電業界の中で、最近、高い注目を集めているのが、家電のサブスクサービスです。
これは、他のサブスクサービスと同様、従来のように家電を購入し、所有するのではなく、定められた料金を支払うことで、家電を利用することができると言うサービスです。
このサブスクサービスは、他の業界では、既に広く普及していましたが、ここにきて、家電業界全体がサブスク化を加速させてきています。
家電の販売が好調である今、なぜサブスク化に踏み切る企業が増えているのかと言うと、それは、このコロナ禍の影響を受けた需要の拡大がいつまでも続くものではないと考えられているからです。
特に、大型家電は、一度買い替えてしまえば、それ以上の需要は望めませんし、頻繁に買い替えるほど安価なものではありません。
また、世界的な半導体の不足の影響により、需要の拡大に応えることができていない製品もあるのです。
さらに、消費者のニーズがこのコロナ禍を経て、さらに大きく変化していることも理由の一つなのです。
家電製品は、従来では、量販店などで購入し、所有するのが当たり前でした。
現在でも、日常的に必要不可欠な冷蔵庫や洗濯機、テレビ、エアコンなどの家電は所有するのが一般的です。
しかし、生活するうえで、必ずしも必要ではない家電と言うのも多く存在します。
例えば、オーブンやオーブントースター、炊飯器やコーヒーメーカー、電気ポットなどは、どの家庭にも絶対に必要な家電ではありません。
利便性が高く、あれば便利ではありますが、無くても困らないものでもあるのです。
コロナ禍では、これらの家電製品の需要も伸びましたが、消費者の中には、このような家電製品は所有するのではなく、利用したいと考える人も多いのです。
このような考え方は、年代が低くなるほど顕著となっており、特に、現代の消費の中心となる世代とこれから消費の中心になるその下の世代では、多くがこのような考え方をするようになっているのです。
そして、この考え方は、このコロナ禍でさらに顕著となってきています。
在宅時間が増えたことにより、家電を使用する機会が増えはしましたが、その一方で、コロナ禍により経済的な問題も増えています。
また、現在は、問題がなくても、収入がこの先どうなるのか分からないと言う不安を抱えている消費者は多く、そのような消費者は積極的にモノを購入するのではなく、できるだけお得なサービスを利用したいと考えるのです。
また、このような消費者は、お金を払う以上、失敗をしたくないと考える傾向が強くあります。
そのため、必要不可欠ではない家電製品などは、一度使用してから、必要かどうかを判断したいと考えるのです。
コロナ禍において、好調に売り上げを上げている家電業界が、続々とサブスク事業に参入するのは、上記のような理由があるからなのです。
現在の需要の拡大は、あくまでもコロナ禍の影響によるものでしかありません。
これからは、現代の消費の中心となっている世代のニーズに合わせていくことが必要であり、それがサブスクの導入なのです。
現代の消費者がモノを所有することではなく、利用することを求めているのですから、モノを扱う家電業界は、サブスク化することで、それに対応していくしかないのです。
多くの業界が打撃を受けたコロナ禍において、家電業界は、大幅に売り上げを上げてきました。
しかし、この需要の拡大は、一時のものに過ぎません。
コロナ以前より、消費者のニーズは変化しており、そのニーズを汲み取っていくことが、今後の家電業界にも求められているのです。
そのために、現在の家電業界では、サブスクサービスを提供する企業が増えており、今後さらに市場は拡大していくと予想されているのです。