現在では、様々な業種からサブスクサービスが提供されていますが、その中でも、注目されているのが、飲食店が提供するサブスクサービスです。
これは、サブスクの定額制の仕組みを飲食店に取り入れたもので、お得な料金で食べ放題や飲み放題のサービスを受けることができます。
このサービスは、消費者からの注目度も高く、利用者も増えてはいますが、その一方で、早期に撤退するケースも増えているのです。
そこで今回の記事では、飲食サブスクが長続きしない理由について説明したいと思います。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
サブスクリプションは、ソフトウェアや音楽、動画配信などのデジタル配信サービスで注目されたサービスですが、現在では、それだけにとどまらず、様々なジャンルのサービスが提供されています。
その中でも、近年特に注目を集めているのが、飲食系のサブスクサービスです。
この飲食系サブスクは、デジタル配信サブスクと同様に、定められた料金を支払うことにより、一定の期間、食べ放題や飲み放題のサービスが受けられると言うのが基本的な仕組みです。
この飲食系サブスクは、数年前から増えつつありましたが、昨年より続く新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、苦境に立たされている飲食業界の間に急速に広まっているのです。
このように、飲食店がサブスクを導入するようになったのは、このビジネスに大きなメリットがあるからです。
そのメリットと言うのが、安定した収益を確保できるという点です。
従来の飲食店の仕組みは、お客様が来店し、飲食するのと引き換えに代金を支払うと言うものです。
つまり、お客様が来店してくれなければ、その日の売り上げはゼロと言うこともあり得るのです。
一方、サブスクは、月ごとや年ごとの定額制で代金を徴収するため、お客様が来店してくれなくても、収入を確保することができるのです。
そもそも飲食店は、外的要因に左右されやすく、売り上げが安定しないと言うデメリットがありました。
そのために、安定した収益が確保できるサブスクビジネスへの注目度が高く、導入する店舗が増えていたのです。
その状況の中で、昨年より新型コロナウイルスの感染が拡がり、国民に外出の自粛が要請されたのです。
これにより、飲食店に来店する人は激減し、多くの飲食店がこれまでにないほど厳しい状況に置かれることとなったのです。
そして、その中で少しでも売り上げを上げるために、多くの飲食店が導入し始めたのが、飲食サブスクなのです。
また、飲食サブスクには、顧客データを獲得しやすくなると言うメリットもあります。
従来の飲食店では、お客様の個人情報を獲得するのは困難でした。
お客様は、お店に来店し、飲食をして、その代金支払って帰ると言うのが、一般的な飲食店の利用の仕方であり、お客様の情報を獲得する手段がなかったのです。
その点サブスクは、お客様と店舗が契約を交わす必要があるため、個人情報を容易に入手することができるのです。
これにより、顧客に最適なアプローチをすることができますし、データを蓄積し、分析することで効率よくマーケティングを行うことが可能となるのです。
しかし、メリットがあれば、デメリットがあるのも必然です。
安定した収益を確保できると言うのは、飲食店にとって大きなメリットではありますが、飲食店ならではの問題点も多くあるのです。
その問題点と言うのが、コストの問題です。
サブスクが成長した理由である、デジタル配信サービスは、コンテンツを提供することで成り立っています。
質の高いコンテンツを提供し続ける必要があり、コンテンツの作成にコストはかかりますが、利用者が増えてもそのコストが増えるわけではないのです。
しかし、飲食店は、店舗の運営自体にコストがかかるだけでなく、利用者が増える度、また利用者が利用する度にコストも増えるのです。
さらに、食べ放題や飲み放題サービスとなれば、利用者は元を取りたいと考え、利用回数が大埴増えることが予想されます。
来店してくれる人が増えるのは良いことですが、それにより採算が合わなくなることも考えられるのです。
実際に、多くの飲食サブスクが、想定外に利用回数が増え、採算が合わないと言う理由から、早期にサブスクサービスから撤退しているのです。
また、サブスクを導入することにより、新たな層を取り込むことができるようにはなりますが、その一方で、これまでの顧客が離れてしまうこともあるのです。
サブスクサービスを導入することで、これまで利用していなかった層が、その店舗に関心を持ってくれます。
これは良いことですが、サブスク利用者が増えることで、これまでの顧客がお店に来店しづらくなるということも良くあることなのです。
こういった従来の顧客を逃さないためには、これらの顧客に配慮する必要があります。
具体的には、サブスクサービスの利用時間を制限する、メニューを制限すると言った対処も必要となるのです。
飲食系のサブスクは、数年前から注目されていましたが、このコロナ禍において、導入するお店が増え、再度注目を集めています。
しかし、デジタルコンテンツを提供する配信サービスとは異なり、飲食系サブスクはコストがかさみやすいのです。
そのため、サービスを導入するお店も増えていますが、一方で、撤退するお店も増えているのです。