モノを購入して所有するのではなく、モノを購入する体験そのものに価値を置き、その価値に対して課金をするサブスクリプションビジネスが大きな注目を集めています。
これまでも、利用することに対して課金するビジネスモデルは存在したのですが、サブスクリプションビジネスはモノそのものを売るのではなく、モノを使って喜びや利益を得ることを本当の目的としています。
音楽や動画配信サービス、ソフトウェアをはじめ、今は自動車業界や旅行業界、飲食業界、化粧品業界までもサブスクリプションサービスの提供を始めており、続々と新しいサービスが生まれています。
サブスクリプションビジネスは、新規顧客獲得時の利益よりも、契約継続から得られる生涯利益の方が大きいので、成功要因は、継続して契約し続けてもらうことです。
従来までのビジネスモデルとは大きくことなり、継続的な収益を見込むことができ、収益の見通しが立てやすいので、サブスクリプションビジネスに関心を持たれている方は多いことでしょう。
ですが実際に、良いことばかりのビジネスモデルというわけではありません。
そこで今回は、サブスクリプションビジネスでの想定されるリスクとは何か、詳しくお話させて頂きたいと思います。
これからサブスクリプションビジネスをスタートさせたいと思われている方は、ぜひこの記事を最後までお読みになって、今後の参考になさってくださいね。
なお、単品リピート通販についての基礎知識等はこちらの記事にまとめていますので、ぜひ読んでみて下さい。
従来までの売り切り型のビジネスモデルの場合であれば、商品販売後に一括で売上が立ったので、製造や仕入れにかかる原価を短期間で回収することができました。
そしてそこで得ることができた収益を、次回の商品製造や仕入れ費用に充てることができました。
ですが、サブスクリプションの場合は、長期利用を前提とした仕組みですので、月々の利用料金を押し延べて設定しており、ビジネス開始直後の売上は、売り切り型のビジネスモデルを大きく下回りますので、製造や仕入れにかかる原価を短期間で回収することはできません。
ビジネス開始後から継続して爆発的に利用が伸び続ける、という場合でない限りは、初期投資コストに対し、短期的に売上が低迷してしまい、赤字が続きます。
投資額の回収期間が長期化するというリスクがありますが、長期的な視野を持つと、顧客が増えれば増えるほど、単純な販売も出ると比較すると売上が伸びますので、十分に挑戦する価値があるでしょう。
投資額の回収期間が長期化してしまうというリスクを克服し、ビジネスを軌道に乗せるためには、イニシャルコストを企業原資で賄うか、イニシャルコストを抑えたビジネス計画を立てなければなりません。
そのためには、仕入れや調達段階で必要になるイニシャルコストを、ランニングコストに転換させると良いでしょう。
物品が必要な場合には、リースやレンタルを活用し、管理業務にはSaaSなどのクラウドサービスを利用することをおすすめします。
クラウドサービスではなく、オンプレミスによりシステムを構築していると、開発費や調達費用により膨大なイニシャルコストが必要になりますし、もし収益が期待できなくなった場合には大きな損失になってしまいます。
クラウドサービスを利用していれば、このような場合であっても途中解約が可能ですので、マイナスを最小限に抑えることができます。
また、サービス内容やターゲット設定、価格設定などの戦略を明確化し、シェアの奪い合いが起きないようにしましょう。
ターゲットが重なり、シェアの奪い合いが起きてしまえば、サブスクリプションビジネスとしての収益拡大を望むことができません。
サブスクリプション市場へ参入することで、ビジネスモデルが変革されると、収益構造も一変し、企業全体に影響を及ぼします。
そして収益を拡大させるために、顧客との長期的な関係構築と、継続的なLTV向上の根幹を意識しなければなりませんので、さまざまな顧客とのタッチポイントを意識してサービスの改善を行っていきます。
マーケティングやセールス、カスタマーサクセス、エンジニアなども巻き込んで、組織横断的な取り組みが望まれます。
サービスの立案段階で、改善サイクルをスムーズに回すことができるよう、業務と分析のプロセスを設計しましょう。
以上、サブスクリプションビジネスでの想定されるリスクとは何か、詳しくお話させて頂きました。
サブスクリプションビジネスは非常にメリットが多いビジネスモデルのようにも思えますが、もちろんのことながらリスクもあります。
リスクは伴うものの、このリスクの回避や軽減に向けて、事前にしっかりと戦略を立てれば、十分に対処することができるでしょう。
サブスクリプションビジネスをより確実に成功させるためにも、事前にしっかりリスクを理解して、スムーズにビジネスを進めてくださいね。